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「動いている庭」をつくる

やっと梅雨入りしたな、と思ったら数日前から猛暑日が続いています。
長野に暮らし始めて3年目、どんどん暑さに弱くなっている気がします。
長野県は、比較的湿度が低く、太陽が少し翳れば涼しい風が吹く。
(日が照っていると標高が高い分、太陽にジリジリと焼き付けられますが…)
特に去年は標高1000mの高原で研修をしていたので、余計、体が暑さになれなくなったのかも。
東京に暮らしていた頃、あの尋常じゃない暑さに耐えていたのが嘘みたい。

標高1000mの元研修先は雲海がのぞめる場所でした

最近は、朝5-6時から畑仕事をして、お昼は15時ごろまで休んでいます。
暑い中で畑をしても、ただただ疲れるだけで生産性も高くない。
昨日は16時ごろまでずっと暑くてちょっと焦りました。笑
これからの暑さを思うと、お昼間は、ゆっくり昼寝したり、少し事務作業や家事をしたり。そんな時間に当てたい気持ちです。

最近の畑はというと、夏野菜が取れ始め、
春に作付けした葉物や根菜は全て終わり。秋に向けて畑の準備を進めています。
写真を見返してみると、野菜の生長が本当に早い!!
あっという間に旬を過ぎ去っていく野菜たち。

最近の「季節野菜の定期便」
春のなごりと夏のはしりが混在しています💐
BASEにて販売中🛒



この品種のレタスは比較的暑さに耐えて、美味しい時期も長いな、とか
かぶは植え付けてとりどきを逃すと、虫にやられて肌が汚くなるな、とか
日々野菜と向き合いながら勘所を掴んで行ったので、来年の春作に生かしたいところです。

春ものをとりおわり、耕耘🚜

「動いている庭」

春先に読んだ本がとても興味深かった。
ので今回は本を読んで、実践してみていることの経過報告を。
プチブックレビュー的な?感じです。

この本に出会ったのは、まだ学生だった2020年のこと。
コロナ禍で生活がガラッと変わり、
リモートでの講義や毎日のパソコン作業に疲れて、気分転換に、と公園に出て散歩をする日々でした。公園の芝生には、美しい野の花がたくさん咲いている。
コロナ以前はひたすら忙しく日々を過ごし、「散歩」なんてすることのなかった私がその時気づいたことでした。

散歩して見つけた風景

そんな中で出会ったこの本の書き出しに、一気に惹かれてしまいました。

道端で思いがけない庭に出会うことがある。自然が庭をつくったのだ。そうは見えないけれど、こうした庭は野生のものだ。

ジル・クレマン 動いている庭

一目惚れして(ひと読み惚れして?)買ったはいいものの、内容は案外専門的で難しい。なので、挿絵や写真を眺めるだけ。
そうして積読として4年ほど眠ることになりました。笑

でも、ずっと気になっていて。
一体、「動いている庭」ってなんだ?と。
そして、植物に対する解像度や、関心が4年前よりもぐんと高まった今なら読めるんじゃないかな、と思って読んでみました。
やはり、哲学的・専門的な内容多くて興味のある部分だけ読んでしまいましたが、それでも面白かった。

「動いている庭」とは。
...
「人間の関与を最小限にとどめ、そこにすでにある植物を生かし、それらに変化を委ねられた庭」

ということらしい。

今まで、イングリッシュガーデンに代表されるような「庭;ガーデン」というものは、綺麗に刈り込まれ、区画が整備され、枯れかけた花はこまめに取り除かれるような、
完璧で、人のコントロール下にある庭だった。

それと対照的に、「動いている庭」は、例えばそこが放棄地や荒地であるならば、
そこにすでに生えている植物をいくつか残しながら、一部は取り除き、一部はその土地の土壌の性質にあった種を蒔き、その後の変化を見守る、
筆者の言葉を借りるなら
「自然の表現に大きな余地を残す」庭なのだ。

本の中では、「動いている庭にまいた種子のリスト」もあり、酸性土壌に向くもの、低木、多年草、つる植物、一年草、球根などなど…が具体的に、事細かに挙げられている。(リストは膨大な量、その上9割は知らない植物の名前なので、なかなか想像するのが難しかったが…)

「動いている庭」を実践する

私が管理している畑は何枚かあって、そのうちの1つは0.2アールほどのとても小さい畑。かつ桑の木が生えていて、夏場は日陰になる部分が多いところです。
でも、私はそこの畑を、「小さい面積ながら、複数の環境が混在している場所」としてとても気に入っています。日陰で育ちやすい植物もあるから、それを活かせたらいいなとずっと思っていました。

桑の木があり、道路側は日陰
側から見たら荒れてる畑に見えるよね…

この畑には、去年秋に種を蒔いた、
ルッコラ・小松菜・野沢菜・人参などなど、菜花の収穫のためや、タネとり用として残しておいた野菜たちがありました。
普通だったら、種を取り終わったら、全て刈払い機で刈って、トラクターなどで土を起こすところ。
ですが私はそれをせず、草を生えるままに生えさせてみました(雑草も。)

そうすると、この土地がどんな土地か分かってきます。
例えば一部はスイバがたくさん生えていて、ああきっとここは酸性の場所なんだなとか
背の高い雑草の影になっているところにはハコベがまとまって生えていて、ここは湿った土なんだよなあ
とか

背の高い草の陰にハコベ。


今年からは、この小さな畑を、「動いているハーブガーデン」にしようと実験中です。
植え付ける場所だけ、三角ホーで表面の雑草を剥がし、堆肥と牡蠣殻石灰を少し入れて植え付けて、基本的に機械を入れることはしないようにしています。(耕すとしても鍬を使っています。機械を入れると他の雑草を踏み倒したりするので、小さい畑だとかえって使いづらいのです。)

植え付けるところだけ、草をとる

あと、もう一つ初めての試みは、
小松菜のタネとりをしようと思っていたところを踏み倒して、不耕起でバジルを植え付けてみたこと。
小松菜のとう立ちした株には、めっちゃアブラムシついてるし、大丈夫か…?と思ったけれど、せっかく実験の場としているのでやってみています。

踏み倒した小松菜の株

植え付けるところだけ草を剥ぐと、周りは雑草の防壁みたいになります。
スイートバジルは、虫に狙われやすい植物なんですが
雑草の防壁で守られているところはほとんど被害がなく…
この畑は、雑草が伸びるままにさせている分、多様な虫が畑に住み着いているのですが(ということは、害虫も多くいるということ)、雑草の防壁は意外と効果が高そうで、面白いな〜!と思っています。

雑草の防壁

そして、私の野望。
この畑を野良パクチーだらけにすること!
去年の夏に植えたパクチーが、春先にこぼれだねでたくさん生えてきました。
今はそのこぼれだねパクチーが種をつけ始めたところ。
その子たちは刈り取らずに放置して、またたくさん種を落としてもらおうと思っています。
野良パクチーの方が、野生味が強く、少しセロリのような力強い香りを持つような気がします。
春先は、パクチーの周りだけ、生育を助けるために草とりをして、「パクチーの島」を作りました。
勝手に増えていくのを見守ります。

パクチーのタネ
青い実も食べられます◎
パクチーの島、
奥には花を咲かせようとするにんじん🥕


今後も、経過を少しづつ報告できればと思っています。
うまくいくようなら、勝手に育ってくれて私も助かるので、面積を増やそうかと。
今後の報告も楽しみにお待ちください!







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