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「ひとりでできない」農業

雪の多い3月。
季節が啓蟄に入ったのを機に畑を起こす気まんまんでいたわたしですが、朝起きたら雪が積もってる…の繰り返しで今に至ります。
今日も雪。春の雪は重く、そして風も伴います。
焦る気持ちと、「いや、焦って無理に作業して、去年たくさん痛い目にあったでしょ」という冷静な心の声が戦っています。

今日は春分の日。
農園かふぅは1歳になりました🌼
1年前のわたしは野菜について、畑について、本当に何も知らなかった。
けれど一つの季節をめぐってひとまわり成長したように思います。それと同時にまだまだ、スタートラインに一応立てているだけで知らないことが山ほどある。
もっと知りたい、分かりたい、、という気持ちに燃えています。

無知の知。
何も知らないのに、全てを分かった気になっていたあの時とは違って、
今は知らないということを知っている。それだけできっと強い。
これからまた一年、たくさんのことを自然から教えてもらえることを楽しみにしています。

ごみ拾いから始まる畑の開墾

去年は長野県上田市の真田という地域で親戚から畑を借りていました。今年も引き続きお借りしますが、新たに小諸市でも畑を借りることができました。
小諸の畑は4-5ヶ所に点在しており、その多くは小さな木が生え始めているような、かなりの放棄地です。
状態の良い畑から使い始めますが
まずは土づくりから…とはいきません。
畑には空き缶やビニールのゴミ、折れた支柱などたくさんのごみで溢れています。
大きめのバケツに溢れるくらいのごみを2-30分で拾えちゃいます。
プラスチックごみを畑にすき込むわけにはいかないのでとにかく、拾う。
畑はごみ捨て場じゃないんだけどな〜

草刈り中に草刈機の刃で切ってしまった缶。
跳ねて目に当たったらめっちゃ危ない


「ひとりでできない」農業

堆肥舎や育苗用のハウスを立てるのに最高な土地も小諸でお借りできました。
元は畑だったけれどだいぶ木が生えてしまったところ。
日当たりを良くするために木を切ろう!
と最初は安い手鋸で切っていました。
細い木でも時間がかかって腕が疲れる…
これはチェーンソーで切らないとだな、🤔でもわたしに扱えるだろうか…と困っていたところ
近所にすむ、地主さんの親戚がやってきてチェーンソーでサクサクっと木を切ってくれました。
昔大工をしていたそうで、細い木は「使い捨て鋸」という道具でサッサと切っていく。わたし、その木切るのに10分くらいかかるのに…
作業に合う道具を使う、という教訓を得ました。笑

見えづらいけど民家側に木が倒れないようロープで引っ張っています。


他にも切りたい木があってお願いすると、この後予定があるのだそう。
予定を合わせるために連絡先を聞こうとしたら、
「あなたがいるときに来るから大丈夫」
という不思議な待ち合わせ方に。笑
大体お互いが都合のいい日を確認しあって、
「まあ昼過ぎくらいだね」
とすごくアバウトに決めて去っていった。
聞くとその方は、御年86歳。(には見えない)
昔はこんな風にゆるーく都合を決めるのが当たり前だったのだろうか、なんか、すごく新鮮でよかった。
(ちなみにその約束の日には来なくて、次の日にやってきた。笑
どちらにせよわたしは作業しに行っているから気を揉むこともなく。その緩やかな繋がりがとても気に入った。)

おかげさまでとってもすっきりした

すっきりしたその土地で、先日はハウスを立てるための整地をしました。
祖父、父、夫が助っ人に。
緩やかな傾斜があるので地面をトラクターで削って平らにします。
「ちょっと耕してレーキで土を移せばいっか〜ひとりでもできるか〜」とのんきに構えていたけどちょー大変だった…

この日のMVPはおじいちゃん👴🏼
トラクターをかなりワイルドに使って
土を削ってくれました笑
これからハウス建てるよ



別の日は、真田の畑で耕耘作業。
近くの親戚の借りていたトラクターが壊れてしまったので、上田の祖父の家からトラクターを持っていくことに。
トラクターを運ぶのに2トントラックが必要だな…🤔と思っていたら
父親の会社の同僚の方々が4トントラックを引っさげて手伝いに来てくれることに…😳

すごい迫力…

仕事でも農業に関わることがあるらしく、将来的には就農するのもいいな…と思っているそう。
快く作業を手伝っていただきました。
またいつでも呼んで!と颯爽と帰っていった…ありがたい…。

おかげさまで無事耕耘完了


就農する前に、いろんな農家のところへ見学に行きました。
そのたびに「ひとりでやるの?すごいね〜」
と聞かれるたびに誇らしい気持ちで
「そうなんです〜!」と答えていました。

今は、決して
「わたしひとりで農業やるんです」
とは言いません。それを誇らしいとも思いません。
そばで協力してくれる夫や、
何かあればアドバイスをくれる祖父や
近くでなにかと手を貸してくれる人たち
のおかげさまで成り立っています。
そもそも土地も、機械も全部借り物。
本当に、ありがたいな〜という気持ちでいっぱいです。

もしわたしにたくさんの資金があって
土地も機械も全部自力で揃えられたら
何不自由なく自分のペースで、自分のコントロール下で農園を営めるかもしれません。

でも、わたしは人に頼りながら、そばで助けてくれる人たちと共に農家をやっていきたいな〜と思うようになりました。
もちろん貰いっぱなし、助けてもらいっぱなしではなくてわたしに出来ることで恩返しをしながら。

「結い」
農村社会では、人手の必要な大掛かりの作業の時に共同で助け合いながら作業をしたそうです。
わたしが学生時代にいったラオスの農村でも、稲刈りは近所の人を集めて順々にみんなの田んぼを回って行っていました。

早速、助けてもらったうちのひとり、元大工のおじいちゃんからはある小屋の整理を頼まれています。「もう歳だから「ずく」なくてね。やってもらえると助かるわ」と。
(※ずく、とは長野の方言で気力とか根気という意味)

恩をおくり、おくられながら
畑仕事を続けていきます。

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