「終わらせること」は次への一歩
8月24日は、
荻窪のレストラン、ninifuniでのラストマルシェでした。その日はninifuniさんの最終営業日でした。
私が初めてマルシェに出店したのがちょうど一年前。閉店の日を一緒に過ごせたことはとても光栄でした。
去年の4月、研修の傍ら、自分の農園を始めたとき、勢いで始めたものの販路を全く考えておらず…苦笑
友人であるninifuniの店主さんがお店を五日市から荻窪に移転したあとお店に伺ったときに、何か一緒にやろう!ということに。
あれよあれよとマルシェに出店することになりました。
春は売り先がなく、せっかくの野菜を無駄にしてしまうことが多かった私にとって
「自分の野菜を売る」経験はとても自分を勇気づけてくれました。
初めての出店以降、
月に一回、長野から野菜を持っていき、お客さまに直接売る。
前日・当日の早朝に野菜を収穫し、袋詰めし、高速をとばして東京まで行き、夕方までぶっ通しで野菜を売り、車で帰る。
そんなことを繰り返してきました。
側から見たら、なんでそんな大変なことしてんの?儲かるの?と疑問が浮かびそうなんですが、採算度外視しても好きなんです、とても。
野菜の特徴や美味しい食べ方、今の畑の様子を伝えたり、珍しい野菜を見て面白がってもらったり。そんな瞬間がとても嬉しくて続けてきました。
野菜に、背景や情報や想いをのせて売る、ということが自分にとてもしっくりきます。
それに加えて
東京は多様な人・モノ・情報が常に溢れて流れていることもあり、長野では得られない刺激と学びをたくさん持って帰り、自分の糧にしていました。
毎回、きてくださるお客さんの数は10人程度なので丁寧に、密にコミュニケーションをとってきました。
「食に関心がある」という共通事項が多いので話題は尽きることなく。
今回最後のマルシェでは、お名前やお顔を見て「この人は前回これを買ってくれたな」とか「これを好きだと言ってくれたな」と思い出すことが多々あり、感慨深いものがありました。
出会った皆さまとの繋がりは今後も大切にしていきたい。
また出会える場所を東京で再びつくれたらいいね、とマルシェに参加していた他のメンバーやninifuniさんと計画中です。
それ以外に、
新宿のレストランkibokoさんで、5月から毎月第4日曜日にマルシェをしています。
そちらでもお会いできたら嬉しいな…とも思っています🌿
(情報はInstagramのストーリーなどで共有していきます!@farm.kahuをご覧ください🕊️)
終わらせるということ
今回とても印象に残ったのは「店を閉める」という決断をした彼女のポジティブさ。
コロナ禍から五日市でお店を始め、そして荻窪に移転してから1年半。きっといいことも悪いことも、色んなことを経験されてきたのだと思います。
マルシェの後は常連さんやマルシェメンバーとおつかれさま会をしました。
その際に、ninifuniさんが仰ったこと。「続けていくうちに(経営の難しさなどから)どんどん、自分がお客さまから払っていただいている金額に対して満足できるサービスをできなくなってきた。一度、ここでこの流れをストップしないといけないと思った」と。
ズルズルと続けるのではなく、一度立ち止まる、という決断をするのは、なかなか簡単にできることではないと思います。
彼女は一度「店という場所」を手放したことによって次にどんな未来を描いていくか、考える時間を得たのだと思います。現に、これからのことを語る彼女は希望に溢れています。
閉店の日に、こんなに賑やかで楽しいおつかれさま会をできるのは彼女だからこそだなあ〜と、
私にはないものをたくさん持っている彼女に尊敬の念を覚えました。
(フリーの料理人として活動していく方針もあるみたいなので今後も要チェックですよ✔️)
今、私も独立して農園を始めて5ヶ月目が終わろうというところ。「自分が満足できるより良い未来」に向かうために何を手放し、終わらせるか決断を迫られている時だったのでこのお話がとても心に響きました。
手放し終わらせることで新しい何かが始められる。
終わらせること、「閉店」という響きになんとなく物悲しさを覚えていた私にとって
今回の出来事はそれをポジティブに捉えるきっかけになりました。
農業を日々していると、反省点、次回に活かすことが都度頭に浮かびます。
でも、夏から秋へ野菜を準備していく中で
じっくり腰を据えて頭を整理する時間を作ることが難しく…
「一旦ストップしてゆっくり考えたいのにできない」もどかしさや辛さがありました。
今日は朝から雨。これをいい機会に一度立ち止まり、ゆっくりと考えを巡らせる日にしたいと思います☕︎