【壺中天代表坪谷さん×FAR EAST代表佐々木対談(後編)】軍隊組織の解体から目標管理入門へ
前回に引き続き、FAR EASTラジオ「カタリベのカイ」第7回目のゲストとして坪谷邦生さんをお迎えし、代表佐々木と対談。軍隊組織の解体から地域の盆踊りで目標管理入門大活用の取り組みについて、そして時空を超えた普遍的価値についてなど…深堀トークの様子をお伝えします。
軍隊組織解体、葛藤の先に行き着いた…
佐々木:我々もちょっと前までは生粋の軍隊組織で、一糸乱れぬ意思統制ができているレッド組織でもあったなと思います。それで30人〜50人ですかね、そんなとこまでは意思統一が出来ていたんですけども、だんだん伝わらなくなってきたなと。距離的な遠さや頻度も含めて、間接的に物事が伝わって通用しなくなってきて、そのままどんどん人数が増えて180人ぐらいまでになった頃に、綻びがあちこちで起きるわけです。それが互いに干渉し合って大きなスパイラルになり、これでは駄目だと試行錯誤してきたんです。
坪谷さん:軍隊は軍隊の素晴らしさとかメリットがあるんですが、やっぱり他律的なんですよね。他人に律されて動く他律組織。社長の声が届いてる範囲までの人にしか正しく動けないし、声が届きにくくなる人は律してくれるものがないので間違った動きを悪気なくしてしまいますね。自らを律する人たちを創っていかないと、人数が増えるとうまくいかなくなるってことでしょうね。
佐々木:やはりシステムだけいれてもダメなんですよね。組織も一つの生態系ですから、自ら律する者たちが集まって、全体調和がとれている状態で組織は機能する。システムを入れましたというだけでは全く機能しないですね。そうは言っても、スクラップアンドビルドということで階層構造をなくしたんです。それやると組織崩壊しますよって他者からも助言をもらっていたんですけどね。その結果、崩壊はしなかったものの、ミドル層の流出は一気に起きました。ここで働く意味合いをポジションと同時に見失った人たちもいましたね。そこからですね、いろいろと綻びが表れてきて、目標管理入門が出てきた。パラダイムシフトを自分自身で経験してきたので、僕の中では必要なプロセスでしたね。
坪谷さん:どんな綻びがあったのでしょうか?
佐々木:まずは理念のが形骸化ですね。言葉のエネルギーが減衰していくのを感じていました。でも軍隊もいいところがあって、ゲリラ戦ですとかね、局地戦だとか本当に窮地の修羅場を生き抜くためにという場合には、すごくきっと役に立つ場面があると思うんです。ですが長期的になったときに、やはり自分のライフステージも考えていくという個々の事情も当然に出てきますので、「いつまでもこれについて行けないよ」っていうことが出てくる。自分の長いライフプランと相入れない部分がどんどん噴出してそれが一つの塊になっていくんですね。やはり、坪谷さんが仰ったように、自分で決める、自分で夢を持つ、自分で期待する、そして関係性の中で感謝される、貢献できる、役に立っているという実感が必要だと思いましたね。そして、自分はできる、自分は少しでも成長してる、そういったことを感じるようなプロセスをがないといけないなと。
坪谷さん:社長はやはりそのまま見てらっしゃる感じがします。上手くいかなくなったときに、これだと上手くいってないなっていうのを、曇りなく見てらっしゃる感じがして。
佐々木:割とね、おじさんなんですけど、素直なんですよ。
坪谷さん:自己正当化をしようとされて、上手くいってないことに目をつぶったり、歪曲して捉えて、誰かのせいにしたり、自分の問題ではないってしようとされる方がすごい多いように思います。でも社長は、企業のフェーズ的に上手くいってないな、このままだとまずい、という状況をそのまま曇りなく見て、一度壊すぞって決めるっていうのは、素晴らしいなと思います。それこそ自律ですね。自分で経験されて、自分ができてない弱みもしっかり認識して、自分で決めて自分で進むっていうプロセスを、失敗もお認めになりながら進んでらっしゃるっていうのを社長が背中見せてるのはめちゃくちゃ素敵だなって。社長の姿を見て、自分たちもそうやったらいいんだって思える、それが自律組織になると思います。
佐々木:全身全霊で必死にもがきながらやってただけなんですけどね。決してかっこいい姿は皆さん見てないはず。
坪谷さん:かっこ悪い方がいいと思います。社長だってそんだけ失敗してんだから、自分たちも当然失敗するよねって思って自律できると思います。
地域の盆踊りでも目標管理を大活用
佐々木:実は目標管理入門を応用して、盆踊りイベントをやったんです。盆踊りって、今全国で衰退してて消え入りそうですよね。でも実は、縄文時代からある祖霊信仰の踊りなんですね。皆が一堂に集まって、森羅万象に感謝してっていうことを改めて感じる機会として盆踊りを復活させたいということで、地元飯能で銀行さんを巻き込んでのお祭りを興しました。まず銀行さんたちとミーティングをやったんですが、その中で一番CSFになりそうな古参で真面目で勤め上げてきた方がいましてね。「この盆踊りイベントは金融機関がやることに意味があるのか、そういうノリに今さらついていけない、僕はそういうタイプじゃないから...」っていう人がいたんです。その人にターゲットを定めて、「あの人を本気にさせよう!」とKPIが決まりました(笑)。
坪谷さん:最も弱いところに全力投球ですね(笑)。
佐々木:関わる中で段々とその方の踊りが上達していってですね、実は裏でコソ練をやっていたことが分かりまして。それで週に1回の追跡をやって役割を付与しながら進めてきたんです。段々と熱の影響の輪が広がり、どんどん参加人数が増えて、せいぜい300人しか入らないような会場だったんですけも、当日は1000人を超えてもの凄いスーパー盆踊りになったんです。そんなふうにして、小さなステップも全て目標管理入門を反映させてやったんですけど、事業だけではなく、地域活性事業にも生かすことができましたね。
坪谷さん:これまでソース(根幹や魂と呼ばれるような方)と仕事をさせていただいたときに、やはりこっちも熱くなる経験をしてきたんですよね。ソースといわれる方々も、やはり「熱」という言葉だったり、「火をつける」「火種を」とかっていう表現をされることが多くて。それで周りの人が燃え上がっていくんすよね、おっしゃるエントロピーの法則はやっぱりあるんですね。
佐々木:カルロ・ロヴェッリの量子重力論「時間が存在しない」ということを想定したときに、出来事と出来事との間にある「関係性」のみが残るというんですね。これでまた目標管理にも戻るんですよ。つまり時間というものが実際あるようでないんだというときに一体何が残るんだといったら「関係性」なんだというのが最新の物理学でも言われてるところを見ると、坪谷さんの仰る関係性を重視されている組織開発や目標管理に繋がっていくんですよね。
坪谷さん:そうですね。人と人との間と書いて人間と書くので、人間の本体はそれぞれの人じゃなくて、「間」こそが本体じゃないかなと。色んな人との関係性の束の集合体がその人を作っている。自分の影響力を発揮すると考えたときに、使えるものって関係性のみなんで。何かそう思うと、全部関係性のみなんじゃないかと思います。これは大乗仏教の考え方「縁起」でも同じことが云われていて、最新の物理学でも大乗仏教でも、「全部全て関係性だよ」っていっているのは面白いことですよね。
佐々木:はい。曇りなく見れば、歴史の古今東西で露見される普遍的な価値と人間存在の意義みたいなものが表れて繋がっていることを実感できますね。
全ての事は縁起・関係性から始まった
坪谷さん:リクルートマネジメントソリューションズで人事コンサルタントをやっていた頃なんですが、コンサルティングって切り刻む仕事だったんですよね。ロジックと合理でお客さんを助けようと思ってやってるんですけど、コンサルとして価値発揮をしようと課題をセットして、課題を握って課題に向けて構造を作って切り刻むんですよ。企業という生身の社長や従業員の方々が必死にやってきたものを、ある種鋭利な刃物で切るような作業をするのがコンサルティングだと途中で気づくんです。こんなこと自分やりたかったのかなと。等級っていうのを決めて評価をしっかりしましょう。これ大事なんですけど、めちゃくちゃ頑張ってるある社員の方を「基準に照らすと君は降格だよね」って決める瞬間って本当は人間としての情とか思いやりとかがあるんですが、コンサルで入ると、スパンってやらざるを得ない瞬間があるんですね。自分の業績も上がるし、お客さんの業績も上がる。でも、何だか自分の内側だけボロボロなんですよ。その頃、河合 隼雄やユングの心理学の本を久しぶりに読むと、えらい沁み入ってですね。コンサルティングをしていく中で、いろんなものを切ってロジックで合理で説明するっていうことに疲れてたんですね。結果は出る、成果は出るけど、それだけじゃ駄目だ、何か大事なものがないなと。それで、関係性やご縁にいきました、関係性を大事にしないと、人も組織もうまくいかないんじゃないかなって。そういう強い思いがあってそれが目標管理入門に入ってるのかもしれないですね。
佐々木:「縁起」ってのはうちの社内でもよく使われる言葉ですね。ビジネスチャンスという言葉に置き換えてしまうと乾燥気味になるんですが、全て縁から事が始まりますね。この事業をどうやって起こしたのか、これは何で思いついたのかという問いをよくもらいますが、全部「縁」なんです。
坪谷さん:盆踊りの話も、ビジネスチャンスとかそこで名刺交換ができたとかっていうと、まるで違うものになりますよね。私は「共に味わう」ということを大事にしています。どういうときに広報の島居さんが一緒に来るかっていう話でいうと、広報的にに大事なときという言い方もできるんですけど、私はやっぱり楽しそうなときに来てもらうのが良いと思ってまして。「良かったよね」と一緒に味わいを楽しむことが先で、結果的にビジネスもも上手くいくと思っています。
佐々木:おっしゃる通りですね。今回もこの盆踊りやろうとしたときに、僕に何の得があるんですかって言われた方もいらっしゃったんですよね。経済合理性は全くありませんと。それでも終わってみて皆さんおっしゃったのは「貴重なご縁をいただきまして」とみんな言うんですよ。皆が一つになって目標を定めて、それを一つ成し遂げる経験をできたんですよね。だから、「縁起」大事だと思います。今回も坪谷さんの本との出会いもまさにご縁で、「これだ」って読んだ瞬間に感じ取りましたね。曇りなき目で見ないと、縁は見逃しますからね。
対談を終えて感じたこと
坪谷さん:感動しましたね。まずは、本を書いてよかったなって。魂を込めて作ったつもりなんですが、当たり前なんですけど色んな受け取られ方をするんですよね。すごい褒めてくれる人もいれば、けなす人も当然いるので、どう届くか分からないっていうのが本を書くということ。そんな中で、今日社長とお話して、ここまでの真意とか想いを汲み取ってくれる人が、今現実に目の前にいるって、こんなにもパワーをくれるんだなっていう感動ですね。あとは、盆踊りのお話も、私が理想とする組織の形、こうなってくれたらいいなと願っていたことが現実に既に起きてるという感動。自分が魂を買い込めて書いたものがちゃんと伝わったという感動と、自分がこういうものが起きたら素晴らしいといったものが既に起きていたっていう感動。この二つの感動がありましたね。
佐々木:目標管理入門には本当に感動したもんですからね、実践して色んなものを我々も体験できましたし、気づきも得られました。その著者にこうやってお話いただくことに感謝感激なんです。それ自体だけで。今回合点がいったのは、坪谷さんがやられてることは、本当に人類の存続、人間の存在意義においてすごく大切なことだと思うんです。これは学問の派を越えてですね、最も大切なことを追求されてるんだなということを改めて思って、これが最も説得力がありました。だから僕が伝えるよりも、本を渡せば伝わっていくものなんですよ。各々がそういったものを大切にしてる会社ですから、だから見事に伝えてくれたなという風に思います。改めて感服いたしました。
【ラジオ後編】坪谷さん✖️代表佐々木対談 "軍隊組織の解体から目標管理入門へ"
▼対談前編の記事もご紹介します。
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