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【壺中天代表坪谷さん×FAR EAST代表佐々木対談(前編)】組織に血を通わせる魂の書とは…

FAR EASTラジオ「カタリベのカイ」第6回目・7回目のゲストとして坪谷邦生さんをお迎えし、代表佐々木と対談。『図解目標管理入門』を軸に組織変革を起こしてきたFAR EAST社の生身のストーリーや実践について熱く語り合いました。


対談ゲスト 坪谷 邦生(つぼたに くにお)
株式会社壺中天 代表取締役壺中人事塾 塾長
20年以上、人事領域を専門分野としてきた実践経験を活かし、人事制度設計、組織開発支援、人事顧問、書籍、人事塾などによって、企業の人事を支援している。 主な著作『図解人材マネジメント入門』、『図解組織開発入門』、『図解目標管理入門』、『図解労務入門』など。
▶️坪谷さんXアカウント@tsubo92

坪谷さんとFAR EASTとの出会い

佐々木:昨年から「図解目標管理入門」を社内のバイブルとして活用してきましたので、今回バイブルの著者に会うことができ、とても光栄です。どうしてまた坪谷さんはFAR EASTに興味を持ってくださったのでしょうか?

坪谷さん: SmartHRさんのイベントで人事の伊井文さんと共演したことがきっかけですね。SmartHRを使われている企業の方々の登壇の場作りというのをSmartHRさんから依頼をいただいだのですが、実は人の話をまとめるのとかそんなに得意じゃなくて、初めお断りをしていたんですよ。ただ、SmartHRの担当の方がすごい熱量で「絶対FAR EASTさんと会った方がいい!」と何度もプッシュをいただいて。その担当の方とは一緒に目標管理のイベントをいっぱい作ってきて凄く信頼している方なので、「何かあるんだろうな」と思って、正直なところ「渋々」イベントに行きました…。
当日イベントに行ったら、文さんが熱かったんですよ!すごい想いがあるお話をプレゼンいただいて、こっちも熱量がすごく上がってですね、その後控え室でも5・6時間くらい人事談義で盛り上がりましたね。その中でFAR EASTさんがOKRをどう考えてきたかとか、実は前の仕組みを作ったんだけど、社長から全部ストップだって声がかかって、目標管理入門をベースに作り直そうっていうのを皆でやってきたんだと聞いて、すごい嬉しかったんです。そこからですね、「FAR EAST本社へ行こう!」という話が何度か挙がり、ついに今日実現できました!

書籍「図解目標管理入門」は突然目の前に現れた…

佐々木:本って出会いだと思うんですね。本当にジャストタイミングで自分の前にいつも現れるんですよ。我々もコロナもあり、当然のように商品のライフビジネスのサイクルがあって、コモディティ化も進む事業もあり、八方塞がりのような状況になってくるわけですね。我々中小企業にとっては向かい風なことが起きていましたが、八方塞がっても、さらに十六方あるとするとまだ八方空いてると、なるほど360度としたら更に空いてると考えて、そういうふうにして逆境の中で活眼を開いたときにですね、「図解目標管理入門」が目の前に現れたんです。本を読んだ後に何かのサイトで見たんですけども、若きときに、坪谷さんが人事面で苦労したと。その時の自分に贈る本を書いたという内容が書いてあり、「なるほどな」と思いましたね。今の我々もまさに暗中模索、さてどこに解があるのかというような状況なので、「若き日の坪谷さんご自身に贈った本」と知った時に腑落ちしましたね。だから説得力あるんだな思いました。どっかから拾い集めたものを図鑑のようにやっているわけでは全然なくて、文脈がばしっと通っている、信念が通っている、本から熱量が伝わってきたんです。感動したわけです。心が動いたってことですね。それですぐにAmazonでどんと買い集めて、今までの制度「全部やめ」っていう話になり、いきなり方向性を変えるからみんな戸惑ったんですけれども。その熱量がね、エネルギーを減衰しないで僕はそのまま本を社員や取引先の銀行さんにも渡していましたね。

坪谷さん:今日FAR EASTさんにお伺いして、初めに思ったことが、メンバーの方を社長がご紹介いただくときに、「この人はこんな良いところがあって、ここが素晴らしいんですよ」と仰っていて、一人ひとりの本質的な人間観を見ているんだなと思いましたね。会社が形骸化する時は、人を「機能」で見始めたときに形骸化していくと思うんです。魂がこもらなくなるんで。でも社長は、機能ではなく一人の人間として向き合うことを大切にされていることが伝わってきました。
それで、私の本からも同じことを社長はしてくださってたんですね。「坪谷っていう人が機能として何かを寄せ集めて体系的に良いことを言ってる」じゃなくて、「この人は苦しかった昔の自分に対して贈ろうという想いがあって書いているんだ」というところを根幹で受け取ったから感動したということを聴いて、私自身も感動しています。

佐々木: 制度を変えるってね、社運を懸けることなんです。それが単なる乗り物じゃなくて、本当に自分たちの中を突き動かしてくれるものでなくてはいけないんです。目標管理入門にも書かれていた「仏作って魂入れず」な状態が一番残念な結果というか、ものすごくエネルギーをロスしている状態で終わってしまいますよね。

坪谷さん:そうですね。いろんな会社に関わらせていただいて、上手くいくときと上手くいかないときのパターンがあって。上手くいかない時は、魂が入っていない時で、仕組みだけを入れようとする。良い仕組みは入るけれども側だけ入るので魂が入らない。「型」と「血」が二つ揃ってはじめて「形」になるので。私は、型の方はお助けできることはいっぱいあると思っているんですけど、血を通わせるとか魂を込めるところって、その会社の人たちにしかできないんですよね。なので、どんな形であれ、社内の人が「この組織を本気で良くしたい」という意志がある時がだいたい上手くいくパターンだと思います。

佐々木:目標管理入門を読んだ時にまさに魂を吹き込まれたような気がしましたよ。それでいて独善的なところを全く感じない。すごい柔軟さと説得力と、熱量を感じた本ですね。社内でも理解の差も、向き合う姿勢も、色々です。「この本を読んでても色々引っかかっちゃうんで、ドラッカーの本を読みます」と言う方もいますが、どっちでもいいと伝えています。各々が読みやすいところから入っていって、改めて目標管理入門に接すれば、腹落ちすると思っています。要するにドラッカーの哲学がOKRを内包していて、それを全部鑑みて書いてある本ですからね。

坪谷さん:社長と同じで私自身も、本や人との出会いは自分が塞がっている時に出会ってきましたね。ケンウィルバーのインテグラル理論との出会いから、あらゆる思想が繋がったんです。目標管理入門(MOK4)もインテグラル理論を下敷きに書きました。どうやったら偉大な先人たちが築いてきた叡智を、今組織で働く人たちに上手く届けれるかを真剣に考えながら書いていました。十章に分けて書いたら読みやすいかなとか、インタビューやコラムを入れたら血が通うかなとか、自分なりに試行錯誤していましたので、社長に本の真意を見ていただいてることを知り、とても嬉しいです。

図解目標管理入門より「MOK4」ワークシート

MOK4シート実践のコツは「素直に曇りなく言う、ただそのまま受け止める」

佐々木:実践の場ではMOK4シートが役立っています。結構皆さん自己認識が弱いんですよね。自己の置かれてる環境においても自分についても思い込みが強い。そこをMOK4座談会で言語化していく、なおかつ二人称で。自分の強みだとか夢だとか自分ではっきり言うんですけども、話してるうちに全然つじつまが合わなくなってくることが多くてですね。人目に映ってる強みを皆で場に出してみようかってやってみると、意外と表れていることも事実だったりするので。互いに再認識してあって、色んな角度から不足を補って、4象限(夢・強み・使命・業績)がどれぐらい反映できているかなど立ち返るようなプロセスがあって、MOK4は本当に有意義な時間になっています。

坪谷さん:MOK4はこれまで沢山の方を見てきましたが、4象限全て突然書ける人はいなかったんですよ。どこかは書けるけど、どこか書けない。例えば、夢は書けるけど強みは書けないなとか、業績はめちゃくちゃ詳しく書けるけど、自分の夢が全く分からないとか、人によって得意不得意領域がかなりあるぞって思ったんです。元々は夢を日本人は書きにくいんじゃないかなって思ってたんですよ。でも実際MOK4をやってみると、皆さん意外と話しているうちに夢は書けるんですよね。でも一方、強みが書ける人が少ないなっていうことを実感したんです。

佐々木:社内でもそうでしたよ、自分の強みは2個ぐらいしか出てこない。しかも、ちょっとズレたものが出てきたりして。周りから言わせると八つ九つ容易に出るんです。それで自分の強みを再認識して、その時に場のエネルギーがパッと変わるような瞬間を度々目の当たりにしています。

坪谷さん:やっぱり二人称ですね。相手から見てという客観視ですよね。ドラッカーも「自分の強みを自覚できている人はほとんどいない。自覚できていると思っていても、それはほとんど誤りである。」と言い切っているんです。私は初め、そんなことないだろうと思っていたのですが、実際にMOK4シートを使っていろんな人とやり取りしていくと、多くの人が「頑張っていること」を強みと言いたがる傾向があると気づきました。実は頑張ってることは弱みなんですよね。できていないことだから頑張らざるを得ないので、あまりバリュー発揮できていないことが多くて。例えばメンバーとのコミュニケーションが自分はあまり得意ではなくて、1on1をめちゃくちゃ頑張ってるので、「強みは1on1」と書いてしまうのですが、それは強みではない。周囲からすると凄い、素晴らしいと思えるが、本人は当たり前にやれていること、自覚しづらいものが真の強みなので、構造的に二人称でしか分からないんじゃないかなって思いますね。なので、皆で「あなたのここが素晴らしいよっ」て言いまくるのが多分正しいなって思います。

佐々木:そうですね。やってて思いました。別に褒めようとしたり、喜んでもらおうとしたりして強みを言い合うのではなく、「映って見えるものそのまま言っていく」のが大事だと思いますね。

坪谷さん:確かに。「素直に曇りなく言う、ただそのまま受け止める」がコツかもしれない。よく言ってあげようとかあまり考えずに、「だってお前そこ得意じゃん」っていうのをそのまま出すっていうすごい大事だと思いました。受け止める側も、強みは客観なので周囲からの声を曇りなく、ただ受け止めたら良いんです。

佐々木:4象限を書き込んでいって、言語化されていくと、夢と強みがどう繋がりだったり、強みと業績の繋がりだったり...だんだんと解像度が上がっていくと、一人ひとりの目の色が変わっていくような事が起こっているんですよ。

真の自由とは不自由が含まれる

坪谷さん:強みと夢が繋がると、自由になると私は思ってまして。自由は「自らを由(よし)とする」と書きます。自分を基準にして、自分を理由にして動けるという事なので、強みを自覚して夢と繋げることができたら、やりたいことをやりたいように思った通りにできる自分が出来上がっていくんで。それこそ起こしたいことですね。

佐々木:我々は貿易会社なもんですからね、いろんな途上国の国に行くんですけど、自らを由とすることを許されない、物理的にも環境的にも生まれながらにして、そういったことを望むべくもない人々も多くいるんですね。だから自分で決めて自分で責任を取れるって、かなり大きな自由であることなんですよね。現代日本にいながら、できない理由や恵まれない理由をずらっと並べるのは、皆さん上手になってきちゃうので、そこの目を覚ます材料としてもMOK4は良いと思うんですよね。

坪谷さん:目標管理入門のツボ100にも自由の構造について書かせていただいたのですが、青山拓央という哲学者が「自由には不自由が含まれる」と言っているんです。人間は制約条件があるときの方が、自由を感じやすいと。戦後の焼け野原の日本を見たから、松下幸之助は白物家電を作ったように、不自由を強く感じたときに、人間の自由は大きく膨らむ。自分を厳しく律しながら、自由を大きくしていく人の事を私はプロフェッショナルと呼んでいます。例えば、締め切りは絶対守るとか、遅刻はしないとか、朝は笑顔で挨拶するとか、こういう当たり前のように聞こえて人がなかなかできないことを自分に厳しく律して不自由を自分に課すことで、真に自由に生きることができると良いんだろうなって思いますね。

図解目標管理入門ツボ100より

【ラジオ前編】坪谷さん✖️代表佐々木対談 "組織に血を通わせる魂の書とは"

▼対談後編の記事もご紹介します。

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