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戦争被害者としてのドイツ人
テオドア・オーバーレンダー / 連邦追放者・難民・戦争被害省 『追放から十年』 1956年 ボン刊 Bundesministerium fuer Vertriebene, Fluechtlinge und Kriegsgeschaedigte (Hrsg.), 10 Jahre nach der Vertreibung. Aeusserungen des In- und Auslandes und eine Zeittafel <R19-66>
<First edition, 8vo, 470pp, original cloth binding, title lettered in red on front cover and spine.>
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第二次世界大末期から戦後にかけて、ソ連を中心とする連合国によって中東欧地域で行われたドイツ人の「追放」および難民被害についてまとめた資料です。
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ドイツ連邦共和国(以下BRD)では1950年代から1960年代にかけてテオドア・シーダーをはじめとする専門歴史家を動員し、来るべき講和条約の交渉において国境変更によって生じた不正に対してドイツ側へ有利な国際世論の形成を目指して、「追放」に関する客観的な公式記録「中東欧からのドイツ人追放の記録」の作成を行っていました。本書もその一環として刊行された資料です。
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こうした資料の発行と並行して、当時のBRDにおいて、追放者団体の全国組織の形成が行われ、「故郷権」(Das Recht auf die Heimat)を根拠にして、国民社会主義政権があからさまな対外侵略政策を開始する以前の状態である1937年時点のドイツ領土の再統一(Wiedervereinigung)を要求し続けました。追放者団体はBRDにおいて道義的な力を維持したため、BRD政府も1990年11月のドイツ・ポーランド間の国境確定条約まで公式見解として「1937年のドイツ国境」の主張を維持し続けることになりました。
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本書は「追放」に関連した被害者の悲惨な証言・体験記や写真集というよりは、旧ドイツ領を巡る国内外での言説や新聞記事を時系列にまとめ、関連年表と合わせて概観しようという体裁となっています。「戦争被害者としてのドイツ人」を客観的に訴えることで、国内での問題喚起と対外的には来るべき講和会議での国境問題の交渉を優位に進めようという意図が窺われます。
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参考文献:佐藤成基『ナショナル・アイデンティティと領土 戦後ドイツの東方国境をめぐる論争』 新曜社、2008年
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