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「もう一つのドイツ」の認知

リカルダ・フーフ / マルティン・ニーメラー / ギュンター・ヴァイセンボルン 『声なき蜂起:ドイツ国民の抵抗運動の報告 1933-1945年』 初版 1953年 ハンブルク刊
Huch, Ricarda / Niemoeller, Martin / Weisenborn, Guenther,
Der lautlose Aufstand. Bericht ueber die Widerstandsbewegung des Deutschen Volkes 1933-1945, Hamburg, Rowohlt, 1953 <R23-193>
First edition, 8vo, 348pp, original black cloth binding with original dust jacket, jacket partly torn, top edge

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本書は1933年から1945年までのドイツ国内で反国民社会主義の抵抗運動の主体となったキリスト者、若者・大学生、軍隊、労働運動ごとの活動実態をまとめた書籍です。

本書の編者は、作家として市民グループ「ローテ・カペレ」に加担し、抵抗運動に加わった廉で死刑判決を受けたが、45年4月にソ連赤軍により解放されたギュンター・ヴァイセンボルン。

序文を担当したのは福音主義教会内での「告白教会」を組織し抵抗運動に加わったため、ダッハウ強制収容所に収監されていたマルティン・ニーメラー。

本書の資料の提供を行ったのは、抵抗運動の拠点を提供した作家であり、ドイツで最初期の歴史学博士号を取得した女性リカルダ・フーフと、実際に抵抗運動に関わった人々により発行が行われました。

抵抗運動を展開したグループ分類。宗教組織(宗教的理由)、市民団体、軍部、労働者グループ。若者の抵抗運動に「白ばら」運動も含まれている。ただ、単独でヒトラー暗殺未遂事件を行ったゲオルク・エルザ―は本書発行当時は、まだ抵抗運動として認知されていなかった。

本書が刊行された1953年のドイツ連邦共和国(BRD/西ドイツ)は、資料の没収や戦災による紛失や国民社会主義時代のプロパガンダの影響による一般国民の無理解などのため国家に対する反逆者として扱われていた国民社会主義者に対する抵抗者の活動への認知が進むとともに、連邦保障法に代表される犠牲者への法的な整備も始まっていました。本書はその政治的な変化を促進する一助となった書籍です。
なお本書は独文学者佐藤晃一翻訳により1956年岩波書店より翻訳版が発行さました。

参考文献:對馬達雄『ヒトラーに抵抗した人々 反ナチ市民の勇気とは何か』 中央公論社 2015年

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