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動物形態学にまつわる日本昔噺

ちりめん本 チェンバレン 『海月』 初版 明治20年 東京刊 日本昔噺13
Chamberlain, B. H., The Silly Jelly-Fish. (Japanese Fairy Tale Series, No. 13). Tokyo, Kobunsha/Hasegawa, 1887.<R17-161>
<First edition. 8vo, [19]pp, original crepe paper>

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平紙本 チェンバレン 『海月』 明治20年 東京刊:弘文社 英文日本昔噺13号
Chamberlain, B.H.,The Silly Jelly-Fish. (Japanese Fairy Tale Series, No. 13). Tokyo, Kobunsha, T. Hasegawa 1887 <R20-143>
<18.2x12.5cm, [18pp], original plain paper with silk ties. The upper right corner of the front page is soiled.>

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ちりめん版

「猿の生肝」、「クラゲの骨なし」などの別名でも知られる、何故海月には骨が無いのかを説明した昔話です。現代で言うところの動物形態学にあたる話です。

平紙版

元をたどればこの物語はインドに起原があって、仏典の翻訳を通してインドから中国へ、そして日本へと説話が伝わってきたといわれています。

参考:明治期日本のカリカチュア作家として知られたジョルジュ・ビゴーが1900年代に絵描いたエピナール版画。インドの昔話として紹介された一作品で、日本の「海月」とほぼ同一の内容。ビゴーのエピナール版画については下記リンクを参照

日本では「注好選」、「今昔物語集」または「沙石集」の一話として類話が伝わったのが始まりと言われています。

ちりめん版

本書のちりめん本の挿絵を担当したのは、東京美術学校(現在の東京芸大の前身)で教師を務めた川端玉章が担当しました。

平紙本

これまでちりめん本の挿絵を担当していた小林永濯が死亡したため、新井芳宗や鈴木華邨の中継ぎとして担当したたといわれていますが、川端が担当したと確認できる長谷川作品はこの一点のみとなっています。

川端玉章の落款、ちりめん版、平紙版とも表紙向かって左下段に確認できる。

石澤小枝子『ちりめん本のすべて』三弥井書店 2004年 41頁
本田義央「説話集編纂者の説話理解:猿の生肝の説話を題材として」、『比較論理学研究』第9号 2012年 59-62頁

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