1930年代、国際的に孤立を深める日本の文化外交の試み(2) / 1934年第15回赤十字国際会議の成功を経て、1940年東京オリンピック招致活動を意識して作られたアルバム
東京市 / 牛塚虎太郎 『東京』 1934年 東京刊
Ushizuka, Torataro, Tokyo, Tokyo Municiap Office, 1934.<R23-162>
Oblong 19.5x27.5cm, no pagination, double folded pages, each page covered with tissue with description, original flexible white cloth board with gilt embossed title on the front cover, gilt top, wear on cover and bumped on corner, dedication letter on end paper
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本アルバムは1934年第15回赤十字国際会議の海外代表団に対して配布された東京案内のアルバムです。第15回赤十字国際大会は当時の日本赤十字社社長であった徳川家達が東京へ招致した、アジア地域で初めて開催された国際組織による会議といわれています。
本アルバムに掲載されている写真は、赤十字国際会議に関連した東京の教育施設、公共文化施設、スポーツ施設が紹介され、日本が関東大震災から復興するとともに、より文明的な国家へ発展していることを示そうとしています。同時に東京の観光地、公園、風俗、伝統行事、伝統文化も多く紹介されており、最後のページにはジャパンツーリストビュローの情報が掲載されていることから、観光も意識した造りとなっています。
また本アルバムの意匠は、当時嘉納治五郎を中心に取り組まれていた日本のオリンピック招致活動との共通性を窺わるものであり、実際にその前文において東京市知事の牛塚虎太郎が1940年第12回オリンピック東京大会招致への期待を述べています。
1930年代当時、日本は国際政治から孤立を深めていった時期にあって、赤十字、オリンピック、万博といった国際組織による人道や文化的な分野においては世界とのつながりを深めようと試みていました。本アルバムは、こうした日本の新たな国際協調の動きが、それぞれの分野で縦割りに活動していたのではなく、相互に関連し合っていたことをうかがわせる資料として貴重なものと言えます。
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