「濃厚スープが重たくなる日」30代で気づいたラーメンの味の変化
「ラーメン、鶏白湯はもう食べられへんな。」
そうぼそっと言うて、僕はスープの入った丼を見つめてた。
ほんま不思議なもんで、20代の頃はあのドロドロしたスープが美味しかった。むしろ「これぞ贅沢や!」って感動しとったのに。けど、30代になってから急にあかんようになってもうた。なんやろな、スープ一口飲むたびに胸がムカムカしてきよるねん。
会社の先輩に「ええ店あるで」と言われて、連れて行ってもろた麺屋甚八。
先輩は仕事もようできるし、気配りもうまい。でも、あの人、いつも鶏白湯じゃなくて、醤油ベースの中華そばを頼んどった。
「なんで鶏白湯じゃないんですか?」って聞いたことあんねんけど、
「いや、歳いくとあんまり脂っこいもんはよう食べんくなるんや。」
って、笑いながら言うとったんやけど、そのときは「ほんまかいな」って思てた。だって、その先輩と僕、歳はたった1つしか違わんかったから。
けど、やっとわかった。
20代の頃は「濃厚でうまい!」って思てた鶏白湯が、今は胃が「ちょっと待ってくれ」って訴えてくる感じや。先輩があっさりした中華そばばっかり頼んでたんも、腑に落ちた。
あれ以来、僕も中華そば派になった。シンプルであっさりした味が、今の自分にはちょうどええ。
ラーメンひとつ取っても、こうして歳を感じる瞬間があるんやな。
冒頭の「ラーメン、鶏白湯はもう食べられへんな」という話は、ポッドキャスト「ファラケのグッドボタン!」の「ほぼ日のコーナー」でも取り上げています。興味がある方は、ぜひ聴いてみてください!