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【溶けて、はじけた】

太陽は容赦なくエネルギーを届け
目をしかめたくなる光に暑さで追い討ち。
私の身体は、溶けていき、へだる。

せめてもの希望で身体を冷やそうと
ソフトクリームを選ぶも溶けてゆく。
どろどろどろ、ぽた。
さだめから逃れる液体がアスファルトに落ちた。

すぱーん

スイカが弾ける。
棒には赤肉がうっすら残った。

ヒュー…どーん!パラパラパラ。。。

火花が弾ける。
火の粉は街を照らした。


湿気を含んで焼き付けられた空気が
肌に纏い、肌を叩き、肌が割れる。


そしてふと、思い出す。
この匂い。
心の奥を揺さぶる、遠い記憶。

子供の笑い声がよく聞こえた。

何も未来に不安を持たず
ひたすら目の前に全力で
笑っていた頃。


そして胸の扉を閉める。

どうしたって戻れない。
無邪気に無責任にはいられない。

それでもだからこそ、
大人になれた。

笑みが溢れる。

よかった。
私はちゃんと成長しているんだ。

ーーー


溶けたアイスクリーム。
眩い太陽に溶かす身体。
もうだめだって、終わったって。

でもね。

スイカを割って。弾けて。
周りが笑って。


弾けた色彩豊かな火の粉たち。
皆んなが上を向いて笑顔になれる、素敵な空。


溶けて、はじけて。


夏を楽しんで見るのは、意外と悪くないかも。
そんな日が来たら、いいな。

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