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リーガ29節 vsバレンシア

日本時間の19日午前5時、エスタディオ・アルフレッド・ディ・ステファノで、ラ・リーガ第29節バレンシア戦が行われた。リーガ再開後2戦目にして難敵相手となったこの試合に、マドリーは結果的に3得点で完勝。待望の今季初出場を果たした"彼"の活躍もあり、このゲームはサポーターの記憶に強く残る喜ばしいものになった。

しかしこの試合、前半はいわゆる"塩試合"と言われる味気ない内容だった。ここでは、前半と後半の差を意識して振り返りつつ、その他いくつかトピックに触れていく。

スターティングメンバー

マドリーのスタメンがこちら(『Goal.com』から引用)。

前節エイバル戦からはスタメンを2枚入れ替え。左サイドバックにはメンディ、右ウイング(右サイドハーフとも言える)にはバルベルデが起用された。

1月のスーペル・コパでのバレンシア戦では、カゼミーロ、クロース、モドリッチ、バルベルデを同時起用して完勝。このことを念頭においた上で、今節もこのメンバーをチョイスした可能性が高い。

※実際には、ラモスとヴァランの位置は逆。


対するバレンシアのスタメンがこちら。

バレンシアは前節レバンテ戦からスタメンを4枚入れ替え。カンテラーノのギジャモンを2戦連続で登用し、相棒をディアカビからマンガラへ変更した。ヴァス、コンドグビア、フェランもスタメンに復帰。


前半

戦前の予想通り、マドリーが攻めてバレンシアが守る展開に。バレンシアは4-4のブロックを形成しリトリートをする守備方法を取り、マドリーはその外側でボールを回していく構図になった。

具体的には、左サイドでは基本的にアザールが張り、自身の得意な形への持ち込みを狙い、右サイドではカルバハルがクロスからのチャンスメイクを狙う形になった。

しかし、バレンシア側の的確な守備対応もあって左からの攻撃がほとんど機能せず、右サイドもクロスこそ上げられるもののさほどチャンスにはならなかった(これについては、詳しくは後述する)。

むしろ、14分にはロドリゴがポストを叩くシュートを放ち、その5分後にはソレールのスルーパスからロドリゴがゴールを決める(VARで取り消されたが)など、バレンシアの方が決定的なチャンスは多く、前半はマドリーにとってはもどかしいものになった。


後半

後半頭から、マドリーには明確な変化が。アザールがより内側にポジショニングを取り、その分メンディが左サイドで高い位置を取るようになったのだ。そこにベンゼマも機を見て関与し、クロースも後方からサポート。左サイドには、前半に無かった流動性が生まれた

そして61分。

ショートカウンターから、アザールがモドリッチとのワンツーで突破。最後はベンゼマのシュートが決まってマドリーが先制した。

このシーンでは、アザールが普段はマドリーであまり見られないダイアゴナルランをしたことでカウンターがゴールに直結した。これを機に、マドリーのウイングのオフ・ザ・ボールの質がさらに向上することを期待したい。

そしてさらに74分。

直前に投入された今季初出場のアセンシオのファーストタッチでのゴールで、リードは2点に広がった。

彼への賞賛の言葉は後述するとして、ここで特筆したいのはアシストをしたメンディー。完全にストップした1vs1の状態から一瞬でトップスピードへ持っていき対峙するヴァスを抜き去った彼のドリブルはとても素晴らしかった。


86分には、カウンターの流れでアセンシオのアシストからベンゼマの左足でのゴラッソが炸裂。カウンターの起点となったカゼミーロの美しいボール奪取とクロースのサイドチェンジを含め、今季のマドリーの良さを象徴するようなゴールになった。


フェデ・バルベルデ

この試合、右ウイング(右サイドハーフ)として起用されたフェデ。これまでの4-3-2-1の時同様、基本的に右のハーフスペースにポジションを取った。

今日は攻撃的なポジションで起用されたフェデが、攻撃面において最も持ち味を発揮するのはオフ・ザ・ボールでの動き。CL5節PSG戦での先制点や、リーガ16節エスパニョール戦での2点目など、スペースに走り込むプレーの素晴らしさが光ってきた。

しかし最近のフェデは、この特長が鳴りを潜めているように感じる。今節も、動き出しが少なかったためにカルバハルへ十分なスペース供給ができず。その結果、カルバハルに与えられる選択肢はクロスに限定され、そのクロスをあげる位置は浅くなるため脅威度も低下した。バルベルデ自身のチャンスメイクも今一歩だった印象があり、引いた相手に対するプレーには大きな課題が残る出来と言えるだろう。

より守備力と走力が求められ、広大なスペースが与えられる競合相手との試合なら依然としてプライオリティは高そうだが、今節のように引いてくる格下との試合であれば、絶好調のモドリッチがこれから多くの出場機会を得ることになりそうだ。


マルコ・アセンシオ

前十字靭帯断裂という大怪我を負ってから11ヶ月。アセンシオは幸運にも、絶望と思われていたシーズン中の復帰をついに今節、成し遂げた。まずは、その事を1ファンとして大いに喜びたいと思う。

そしてこのラッキーボーイは、さらに大きなことをやってのけた。投入からわずか数十秒、マリアーノとロドリゴさえを凌ぐ早さで今季初ゴールを決めたアセンシオは、世界中のサッカーファンを感動に包み込んだ。各人が流した涙や喜びの声はサッカーの美しさを象徴している。「戻ってきてくれて本当に良かった」そう心から思った。

おめでとう、マルコ。幸せな時間をくれてありがとう、マルコ


カリム・ベンゼマ

ベンゼマも、今節喜びを提供してくれた選手だ。今更彼の凄さは言うまでもないが、特にドブレーテを達成した今日のゴール前でのプレーは圧巻だった。特に2点目の右足でトラップしてから左足で叩き込んだゴラッソは、目を見張るものがあった。

この2ゴールで、マドリーでの公式戦通算ゴール数は243となり、おめでたいことにプスカシュを抜いてクラブ歴代5位に浮上。4位のサンティリャーナの290ゴールを越えられるかは分からないが、彼にはそこを目指してさらなる活躍を期待したいところだ。


悪質なファール

今節、アセンシオの他に大きな話題を集めたのがバレンシアのイ・ガンインのファール。セルヒオ・ラモスの足を左右交互に計3回も蹴り上げたその行為はとてつもなく危険で、大きな批判が集まっている。

批判の域を越えた中傷は厳禁だが、そんな中傷が飛び交うほど悪質なファールだったのも事実。今後はこのようなことは絶対に起きることのないよう、気持ちを入れ替えて欲しい。


次戦

次節はラ・レアルとのアウェーゲーム。今節も前半は上手くいかなかったように、次節も相当の苦戦は予想される。ただ、優勝争いの最中のチームに取りこぼしは許されない。コパ・デル・レイの悔しさを晴らす意味も兼ねて、ボコボコにして欲しい。

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