されど マスターベーション
若い2人の未経験
わたしは今の伴侶と出会う前に子宮の身体意識を大切にして物事を決めるという鍛錬をやっていた。
かれこれ2年はやっただろうか?
その経験談や知り得た知識を『ナチュラルエロセミナー』と題して、・20〜40代の女性たちに講義をした。
当時わたくし、48〜49歳。
その時のセミナーに参加してくれた若い20代前半の若い女性ふたりの話しです。
とっても素敵で、かわいいの2人だった。
ただ、彼女たちは2人とも人生において、一度も男性とお付き合いしたことがなく、まだバージンだということが強いコンプレックスになり、彼女たちの素敵さを発揮できないでいたことが共通点だった。
2人とも真面目で、異性と付き合うということにガチ妄想してしまうため、出会った男性たちからはどうしても重たく感じられてしまって、コンパや婚活でも、パートナーが見つからない、という悩みを持っていた。
いろんなセッションやワークをしている中で、彼女たちにとってセックスは超絶大事なものだったのだ。
もはや大事過ぎて…身動きが取れなくなってしまっていた。
2人とももうすぐ30歳。
友達から
「えーうそー?まだバージン?」
「付き合ったことないの?まじ?信じられない!」
「ねえ?どっかおかしいんじゃない!?」
などという、心無い周囲の声に余計に萎縮して、異性の話はもうできないくらいになっていた。
問いかける。普通ってナニ?
わたしが、
「バージンでなんであかんの??」って聞くと、
「だってみんなもうバージンじゃないし。」って答える。
「みんなて誰と誰?世の中の30歳全員?」
わたしが聞き返す。
「だってもう30歳なのに経験が一度もないなんてオンナとして、普通おかしいじゃないですか?」
「恥ずかしくて言えない。」と半泣きで言う2人。
わたしは、
「普通てなに?そんなこと誰がいうの?」と構わず聞き返す。
「友達が…でも一番はいつも、『親もうちの子はどこがあかんのやろ?』と言うから…。」
親か。。
そして彼女たちはみんなの前で泣いた。
わたしはオンナとしておかしいんだと思う。
わたしはオンナとして魅力がないんだと思う。
そんなことを信じている2人。こっちが泣きたいわよ?なにを言ってるの?!
彼女たちは普通に女性だった。可愛いし魅力もあった。基本的に健康で五体満足。
どこにも問題はないのよ。
それなのに自分に女性としての魅力がない思いこんでいた。
でも、真剣に男性とつきあってみたい。
男性とキスしてみたい。セックスもしたい…と。
彼女たちは素直にみんなの前でわたしに話してくれた。
自分の体に関心を持ってもらいたい
ならば…と、わたしは、彼女たちが『当たり前と思いこんでいるセックスの概念』を打ち壊したくなった。
彼女たちは、隠れてアダルトビデオとか、女性に向けたアダルト漫画は読んでいた。(正直それも性の歪んだ概念を植え付ける元にはなるんだけれど。)
2人は自分の膣と、肛門、どちらの穴がどちらかなのかもわからなかった。
そう。性教育をきちんと受けていないと言うこと。
自分の性器、基本的な体の構造や形、仕組みを理解していないって訳です。
小学校や中学校で受けた学校の性教育もどきは役に立っていないというわけだ。
どうしたらいいか?
わたしは、このセミナーに参加してくれた人たちでLINEグループを立ち上げることにした。
ナチュラルエロセミナーに参加してくれた人たちの発言や意見交換、応援や励ましの場を作ることにした。
性の内容を言葉にするグループなので安心安全をちゃんと確保しなくては無闇に作るべきではないと思ったけれど、わたしの目に叶う人たちだったので、思い切ってグループを作った。
そして、わたしは彼女たちに言った。
「まずは、鏡で自分の陰部をしっかりと観察して!」
と。
「そして、自分で触れてごらん?」
て。
その報告はみんなの前でする必要はないけれど、わたしはこの2つの宿題をあえてグループの中で放ってみた。
2人は彼女たちは自分達の性器を洗う時以外触れることはなかった。ましてやまじまじと見たことなど全くもってなかったのだ。
『そこは触れてはいけないところ・見てはいけないところ』という思い込みがあったから。
自分の大事な一部だよ?顔と同じ大切な一部。口の中は手を入れて洗えるのに、どうして性器だけは別なの?
その問いかけに彼女たちは「ハッ」としたようで、2人はそれをやったとわたしに報告をしてきた。」
その次の既成概念の崩壊を企てたのは「バージン(処女)」幻想だった。
無茶振りチャレンジ
「あなた達が後生大事にしてるバージン…、軽く捨てる氣はない?」と問いかけてみた。
後腐れなく抱いてくれる男性を探してみたら?とも言ってはみたが、彼女たちの概念は固く、好きな人と初体験をしたい!!と譲らない。(そらそうだろう。乙女心を壊したい訳じゃないのでそこは尊重した。)
じゃあ、ならば、人にこだわるなら、グッズでバージンを捨ててみる?
たかが処女。されど処女。
処女が美しい存在になりすぎればすぎるほど、彼女達は性のハードルが年を重ねるごとに高くなってしまう。
なので「たかが処女膜」くらいの感覚に近づいて欲しかった。
すると2人とも、それはアリかも。…と言った。
そうか。人で処女膜を破るのは嫌だけれど、物ならばいいのか。
正直荒療治かもしれない。彼女達の動向と顔色とそして気配を慎重に見守った。
でも、30過ぎて、強い固定概念と、深い自己不信と自己否定を持ったままで、男性のいない職場で働き続けても、彼女達は無意識に出会いを避けてしまうのが目に見えている。
よしんば、そんな在り方で頑張って婚活しても、異性に対して肩の力が抜けられず、結果断られ続けて…その先どする?
アダルトグッズを使って快楽を感じることもある種目的にあってもいいのだけれど、それ以前に、アダルトグッズが汚れたもの、マスターベーションがいけないこと、処女信仰、アダルトビデオが性行為のお手本、根拠のない常識など、いろんな固定概念を、彼女達に頭ではなく体で知ってもらうのが1番の早道だと思ったのだ。
殻を破ってもらいたかった。
わたしは、うら若き乙女たちに、
「アダルトグッズを買いに行ってみ?」と宿題を出した。
インターネットで簡単にポチッと買えるイマだからこそ、リアルに人がいるお店に買いに行って!と宿題をだした。
選ぶときの感情やザワザワ
お金を支払うときのドキドキ
周囲の目を氣にしているハラハラ
そんな様々な感情をしっかりと体感して、体感を通して、小さいけれど固くて自分を苦しめる常識を破って欲しかった。
と言うことで、簡単にインターネットでポチッとして、ピンポーンで送られ手元に届くシステムでは肉体の体感は薄いので、お店(ドンキホーテ)に買いに行くミッションを出してみた。
やっぱりなかなか買いに行けない彼女たち。
3ヶ月たった頃、清水の舞台から飛び降りで、お店でアダルトグッズを買ったと報告があった。
破壊した概念の向こう
「案外大丈夫でした!」晴れやかな感じで報告があった。
2人で一緒に行った訳じゃないけれど、2人で励まし合い、語り合い買いに行くタイミングを同じくらいに設定してそれぞれで買いに行ったそうだ。
「選ぶとき、自分の(膣の)サイズを考えながら、いろいろ見て選びました。」
「レジのところに大勢いて支払いに勇氣がいりました。」
「バイブレーターではなく、ローターにしました!」
とか、彼女たちは、わたしに意気揚々と報告してくれた。
実はこの前にわたしはあることをやったのです。例のLINEグループに、男性から教えてもらった安心して課金されない無修正動画のサイトのURLを投げたのです。(今思うとわたしも本当にファンキーだな)
彼女達はそれ見て、自分の身体と比べたのです。
「わたし大丈夫だとわかりました。前に雑誌で乳首はピンクて、書いてたの読んで、わたしの乳首ピンクじゃない…て怖かったし、毛(陰毛)薄くても大丈夫なんだ…て、わかったから、本当によかったです!」
「先生が言ってた、濡れると言うことがよくわかりませんでしたが、濡れないまま指をいれたら痛かったんです。でも二回目はビデオみて、濡れたかな?と思ったときに指をいれたら、私でも入りました!」と、本当に嬉しそうに、少し自信取り戻した感じで言った彼女達は、とても可愛かった。
そう、体で起きる自信は、頭で分かったつもりになる自信よりもはるかに大きくて強い。
普通にセックスができる人や、セックスが日常にできる人からみたら、彼女たちの行動や感情は理解できにくいかもしれません。
「何をそんなことで?」と、思うかもしれないけれど、心に傷を負った当の本人たちは必死なのです。
だけど、同じ必死になるなら、わたしは、笑ってやり過ごして欲しくて、彼女たちに宿題を出したわけで。
彼女たちに女性で生まれてよかったと思って欲しい。
私のままでいいんだ。と思ってほしい。
ただそれだけ。
人にはいろんなプロセスと、時間が必要なのもわかっている。
だけどもんもんと同じループを回るなら、ちょいと荒療治とはいえ、ユーモア満載でループの突破口を少しヒントだしてあげたかった。
あの時の宿題を終えた彼女たち。
今ではどうやらいい人がいるみたい。