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苦手な楽器

 学生の頃はオケの部活中によくお互い楽器を交換して遊んでいた。私が学生だった数十年前は色々と緩かったので管楽器でもハンカチで拭くだけで交換していた。リード楽器のクラリネット、オーボエ、ファゴットなんかはハンカチで拭けないので、水道でジャブジャブすすいでいた。現在は感染症予防のためそんなことは許されないのではないだろうか?非常に残念に思う。

 お互いの楽器の特徴を知ることはとても重要である。他の楽器で実際に曲を弾ける必要なんて全くないが、他の楽器の雰囲気を少しでも知っているのと知らないのとではアンサンブルが変わってくる。弦楽器の初心者は速いテンポの曲はゆっくり練習したいと思うものだが、管楽器にとってゆっくり過ぎるテンポがどれだけ辛いのかを知っておくだけでも部活内の調和が変わるはずである。管楽器と弦楽器の仲が悪いオケというのは意外と多いが、お互いを知ろうとする感覚が芽生えれば変わるのではないかと思う。

 高校のオケの部活中に、結局全部の楽器を体験させてもらった。すんなりと音がでた楽器もあったし最後まで音が出ない楽器もあった。今でも苦手とする楽器はフルートとトランペットである。その他の楽器はかろうじて2オクターブの音を出せたが、フルートとトランペットだけは、音階どころか音すら出ない。どちらも空気が通り抜ける「スーッ」とした音しか聞こえない。フルートはビール瓶(高校生だったのでコーラか何かの瓶)で練習すれば音が出るようになると教えてもらってトライしてみたが、音が出たり出なかったり。ホルンやトロンボーンで音を出せるなら絶対にトランペットも大丈夫と励まされていたのに、結局挫折である。楽器との相性の問題なのか、私が下手糞すぎるのか。

 金管楽器にトライしてみて頭の中が混乱したことは、指を押さえると音程が低くなることである。弦楽器は指を押さえれば音程は高くなるので逆である。木管楽器も指を押さえれば音程は低くなる。でも、木管楽器の運指はリコーダーの運指に似ており、10本の指を順に押さえるかはずすかしていけば一オクターブの音階ができる。トランペットやホルンは口で音程の元となる倍音を変えるのは弦楽器の移弦に似ていると思う。弦楽器と同じく片手でキーを押さえていくにもかかわらず、押さえると音程が低くなる。

 お互いの楽器を交換して体験するというのは学校の部活では1年生のうちにすることが多いようである。私も高校1年の時に全ての楽器触ってみたし、大学でも何となく1年生がよくそういうことをしていた。他の学校の友達に聞いても、1年生の夏休み頃にそういうことをしている人が多いようである。

 お互いに楽器を交換して遊ぶとなると、自然と自分の楽器を人に教えることになる。その教えるという行為も楽器の上達のためには重要であると思う。教えるという行動は、自分が何となくやってきてしまっている癖を見直すチャンスにもなる。上級生となった時に下級生の面倒を見るための予行練習にもなる。お互いに楽器を交換して遊ぶのは、正式に下級生を教えるのとは違い、友達同士で気楽に教えるという事を体験できるのだからとてもいい機会である。

 オケで常用する楽器ではないが、ピアノも苦手である。右手と左手を同時に別の動きをさせるなんてことは私には無理だった。ヘ音記号とト音記号を同時に見るのも気が狂いそうになる。小さい頃に数年はピアノも練習したが、バイオリンに専念することにした。プロフィール欄にも書いているように、ピアノは指一本で鍵盤を押すのが限界である。マリンバ奏者が左右一本ずつのマレットであれだけ曲を弾けるのだからピアノも左右の人差し指だけでマリンバ並みに曲を弾けるのではないかと挑戦してみても、なぜかうまくいかない。ピアノをもう少しやっていれば、スコアをもっと速く読めるようになったのではないかと思ったりもする。後悔先に立たず。。。

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