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弦楽合奏デビューはバイオリン
弦楽合奏のデビューは小学校1年生の時だった。もう数十年も前の事なのであまり記憶がないが、とても楽しかった思い出しかない。それまで一人でしか弾いてこなかったものが、大人を含む大勢の人とで弾けたのが嬉しかった。その時の発表会のプログラムが残っていたので見てみたら、15人で合奏をしていた。曲目はバッハの管弦楽組曲3番のガボットとパーセルのアブラデラザールのロンドであった。
合奏の練習で、初めて椅子に座って弾いた(座奏)のだが、まだ足が床につかなかった。たしか、子供用のピアノの補助ペダルを椅子の前に置いて足が安定するようにしていたような気がする。
合奏のメンバーの半分は、まだ自分でチューニングができない人であった。もちろん私もできなかったので先生に合わせてもらっていた。その当時は高校生以上を大人として認識していたのだが、大人が自分でチューニングしていたのが凄いなぁ、と思っていた。そして、なぜかピッタリと音程が合うのが不思議でならなかった。
一人で弾いていた時にはわからなかった、あるいは気付かなかったことが合奏で理解できるようになったことに驚いた記憶がある。一人で弾いていた時はなぜ弓順をうるさく直されるのかわからなかったが、合奏をしてみて、ずれていたら隣の人とぶつかるしみっともないと理解できるようになった。曲は止まらずに最後まで弾ければOKというのではなく、楽譜通りに丁寧に弾かないと周りの人と合わないということも身をもって感じた。アインザッツといのも合奏で初めて知った。あと、「遅刻」がどれだけ迷惑なのかも合奏を通して知ることになった。
練習開始前に他の人がすぐそばで弾いているのを見るのが好きだった。同じ曲でも人によって色々な弾き方をするのが不思議だったし、弾き方を真似てみようと思っていた。レッスンの時の先生の弾き方を真似なければならないのはわかっていたが、先生の弾き方がなぜ正しいのか当時はわからなかった。合奏で色々な弾き方を見て、何が違ってどうすべきなのかを考えるきっかけになっていた。まだ楽器を始めて数年の小学生が大人の弾き方を完璧にマスターできるわけではないが、先生と大勢の生徒の弾き方を見比べることができたというのはとても勉強になった。
この当時は大人になったらどんな生活をしているのかなんて考えもしなかったが、大人になってもアンサンブルを続けていられるのは、この発表会の弦楽合奏のおかげだと思っている。