朝川実

長編小説の連載を主にしてます。 あとは、ちょっとしたエッセイとか、時事ニュースの解説記事とか、そんなのも考えてます。 暇な時に読んでみてください。それと、どんな意見でもコメントくださると、とても励みになります!応援してくださる方は、フォローもお願いします。

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  • 長編小説「ザ・デイドリーム・オブ・ティーンネイジャーズ」

    長編連載している「ザ・デイドリーム・オブ・ティーンネイジャーズ」をまとめています。映画「スタンドバイミー」や、NETFLIXドラマ「ストレンジャーシングス」、そのほかにも、スティーブンキングのホラー小説が好きな方は、きっと気に入ってもらえると思います。ミシガンの小さな町で起きた怪奇現象を発端に、全米、全世界を揺るがす事態へと発展する――そんなSFホラー小説です。

  • 長編小説「仕合せの残り香」

    連載している長編小説「仕合せの残り香」をまとめています。 過去と現在が交差しあいながら、大人でビターな愛の物語を描写しています。 時には、胸がはちきれそうなくらいに苦しくて、そして、この世界も捨てたもんじゃないと思えるような「救い」も感じてくださると、とてもうれしいです。

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人気漫画『チ。ー地球の運動についてー』の、その先へ。「地動説」を受け継いだニュートンが熱中した「真理」とは

 「チ。ー地球の運動についてー」が大ヒットして、今、アニメも絶賛放映中です。恥ずかしながら、私は、今年に入って、この漫画の存在を知りました。 地動説のマンガが流行っているらしいって聞いた第一印象は、「えっ、あんな真っ暗な時代がエンターテイメントになるの?」ということでした。それに、たぶん、教会勢力が悪者に描かれて、宗教=悪みたいな安直な描かれ方がされているんだろうなと勝手に邪推して、しばらく読むのを控えていました。 一旦読み始めると、この世界の真理とは何かをとことん追求し

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    • 短編小説「雨奇晴好」

       急に降ってきた雨の中、僕はカバンを頭上に抱えて走っている。 「なんで、こんな日に限って、雨が降るんだ」  朝、目が覚めた時に、カーテン越しに見えた空が、輝かしいくらいの青だったから、天気予報も見ることなく、僕は「晴れ」と決めつけて、家を出てしまった。いつもなら、妻が気を利かして、傘を渡してくれるのに……しかし、今はいない。 ――ジャッパン  横を走った車が、水たまりに勢いよく突っ込んだ。その水しぶきで、体全身がずぶ濡れ。その瞬間、なんとも馬鹿らしくなって、走るのをや

      • 長編小説「ザ・デイドリーム・オブ・ティーンネイジャーズ」③

        (三) 少しして僕も教室を出ようと扉を開けると、廊下の壁に寄りかかったエマがいた。 「びっくりした!こんなところで何しているの?」 「マイクを待ってた。」 「えっ、何それ。」 「あんなマイク見たの初めてだったから、何だか心配になって。」 「そんな心配しなくたって、大丈夫だよ。大げさだな。」 「大げさじゃないよ。本当に心配したんだから。ルーカスも心配してた。で、何があったの?屋敷がどうとかこうとかって、言ってたけど。」  僕は、俯いた。 「言っても、多分信じない

        • 短編小説「コーヒーとヘーゲル」

           ポタッ、ポタッ――。コーヒーが抽出された雫が、ガラス製のサーバーに落ちていく。また一つ、そしてまた一つと、落ちていく。粘性が高く、光に照らされると赤が透けるような液体が、底にたまり始めた。  そんな音がかき消されないくらいで、この喫茶店ではBGMがかかっている。    グアテマラ  ブラジル  コロンビア  エクアドル  キューバ  エチオピア  レジの奥の壁には、店で並べられているコーヒー豆の産地国の位置に、星印のシールが貼られていた。僕は視線を下に向けると、メニューに

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        • 長編小説「ザ・デイドリーム・オブ・ティーンネイジャーズ」
          3本
        • 長編小説「仕合せの残り香」
          3本

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          長編小説「仕合せの残り香」③

          ③までのあらすじ  図書館で出会った主人公・薫と、同じ大学の文学部に通う香織は、おしゃれな喫茶店に赴き、話をすることになった。女性との付き合いがなかった薫は戸惑っていたが、時間が経過するにつれ、不思議を自分の「葛藤」を話してしまうほどに、心を開いていた。確かに、二人の心は通じ合った――そんな感覚だけを残して、それぞれは帰路に就いた。 (三)  今日は、やけに天気がいい。リビングに差し込む光で、目が覚めた。昨日は、遅くまで、万年筆を握って、慣れない文章を書いていた。それもあっ

          長編小説「仕合せの残り香」③

          短編小説「神の恩寵を求めてー哲学者・シモーヌ・ヴェイユの人生」

           春の訪れを喜ぶように、小鳥たちはさえずる。花々は、懸命に日の光に向かって咲き誇る。今日のパリはなんて心地よい日なのかしら。恍惚に近い幸福感に包まれたのは束の間、私の横を一人の男が通り過ぎる。これまで、柔和で優しい空気感が、少しピンと張り詰め、ワントーン辺りが明るくなった。  小鳥たちは、彼のもとに集い、歓喜を歌う。その姿に、私は止めどない感動と幸福に満たされた。「神」がいる。「神」が目の前にいる。  朝の気配とともに、恍惚感が消えていく。ため息をつくように、言葉が漏れる

          短編小説「神の恩寵を求めてー哲学者・シモーヌ・ヴェイユの人生」

          短編小説「言葉の海 大槻文彦」

           言葉の海――。その海は青く、そして深い。浜辺に打ち寄せる時という名の波は、言葉を飲み込んでいく。水平線上の遠点を見つめ、日本語という海に海図を与えた一人の男がいる。その名は、大槻文彦。  黒船の襲来という大きな衝撃から明治維新を経て、日本は「国民国家」としての自覚を迫られることになる。しかし、民族アイデンティティーとしての言語の研究は不十分で、明治以前までは、「国語」は「くにことば」を意味し、各藩の方言を指していた。そんな状況の中、文彦は、国家事業とも言える日本初めての国語

          短編小説「言葉の海 大槻文彦」

          長編小説「ザ・デイドリーム・オブ・ティーンネイジャーズ」②

          (①までのあらすじ) アメリカのミシガン州のエイドリアンに住むマイクは、友人のジャックが飼っているラダーが逃げたことを聞いて、ジャックの彼女のジェニーと三人で、町中を探すことになった。ラダーの行方を追っていくうちに、古い館に行き着く。なぜか開いていた館の扉から、三人は地下室へ。そこには、ラダーは、下肢が引きちぎられ、血まみれとなって、瀕死の状態。ラダーに駆け寄る三人の頭上には、壁から米海軍の兵士の上半身が壁から乗り出していた。奇々怪々の状況にパニック状態になる三人は、必死でラ

          長編小説「ザ・デイドリーム・オブ・ティーンネイジャーズ」②

          長編小説「仕合せの残り香」②

          (①までのあらすじ)  余命宣告を受けた妻の横で、主人公・佐藤薫は、二人の人生を決して消えないように書き記しておこうと文章を綴っていた。  まず、思い出されたのは、妻との出会いの時。大学三年の夏に、司法試験に落ちて、気がめいっている僕は、妻との運命的な出会いを果たした。そして、二人は、喫茶店でお茶をすることになる。 (二)  天井がやけに高くて、木組みが温かさを演出している。目線を移動させた先には、必ずと言っていもいいほど、観葉植物が置かれている。  これが、「おしゃれ」っ

          長編小説「仕合せの残り香」②

          長編小説「ザ・デイドリーム・オブ・ティーンネイジャーズ」①

          第一章 エイドリアン事件(一)アメリカのミシガン州の小さな町・エイドリアンで、僕は暮らしている。僕の父と母はいわゆる一般的なミドルクラスの白人の労働者。ミドルクラスといっても、家は裕福ではなくて、いつもその日暮らしに精一杯だし、トレーラーハウスに住んでいる。僕らの感覚だと、もはや中流ではなくて、下流な生活をしている。  それに、父は高卒で、母は中卒だし、僕の未来もこんな感じかと思うと嫌になる。父は毎日、7時に家を出発して、他の労働者と共にバスに揺られて1時間半の現場に出て、

          長編小説「ザ・デイドリーム・オブ・ティーンネイジャーズ」①

          長編小説「仕合せの残り香」①

           妻が病床に伏している傍らで、この文章を書いている。誕生日に君が贈ってくれた万年筆でゆっくりと時を刻むかのように、筆を走らせている。昨晩、主治医の木村先生は、「もしかしたら、奥さんは1,2年くらいの命かもしれません」と、私に話した。  その宣告を受けてから、私は一睡もできていない。何も知らず眠りについている妻の運命を、代わりに私が受け止めている。いつもそうだ。苦しむのは妻で、私はそれを見つめていることしかできない。それしかできないのに、私はいつも逃げてきた。にもかかわらず、ま

          長編小説「仕合せの残り香」①

          小説の連載を始めます。

          noteを始めてみました。一般総合誌の編集者を長くやってきて、文章にちょっとだけ自信のあるしがない20代の若者です。 ここでは、趣味で書いている小説を中心に投稿できればと思っています。 いろんなジャンルに挑戦していきたいと思っているので、感想とか、もらえると、とてもうれしいです。 そのほかにも、自分が感じたこと、また職業柄、僕が知っていることなども、ブログと、雑誌の記事の中間くらいのノリで読めるようなものも考えています。 今、連載しているのは、主に二つです。 では、

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