曲レビュー/南野陽子『さよならのめまい』
「スケバン刑事II少女鉄仮面伝説」の挿入歌で、第1話から使われている本曲。重厚なサウンドに、ナンノの素直な歌唱が光る。
使用されたシーンで一番印象的だったのは、ナンノ演じる麻宮サキの鉄仮面が割れる、あの有名なシーンだろう。
子どもの頃からずっと鉄仮面つけて過ごしてきて、「顔が風に当たっちょる…」って…。設定にどうツッコめばいいのか!?と見てて困惑もしたっけ。
だが、ドラマの内容だけ見ると、“鉄仮面を被って生きてきた五代陽子としての人生にさよならを告げ、これから麻宮サキとしての人生を生きる”という決意にピッタリだ。だから歌詞に『一度目のさよなら』とあるのだろう。
しかし、スケバン刑事のあらすじを抜きにして、曲だけを聴いてみると歌詞の『一度目のさよならは まだ恋の入り口』がどういう意味なのか一瞬わからなくなる。
これは、聴く人によって見解が分かれそうだ。
私は10代の頃に本曲を聴いたときは、【好きだった彼とさよならして、もう一度関係を作り直す】という意味だと思っていた。
でも今聴くと、【好きだった彼とさよならしても、まだその思い出が残っており余韻に浸っている】、
もしくは【彼との思い出を持って、新しい人生や恋が始まる】という意味のように感じた。
この曲の歌詞で言う“恋”とは、ただ単に人に恋するという意味だけではなく、今までやこれからの生き方、素晴らしかったあの日の思い出、今目に見えるもの…“自分をワクワクさせる(させた)ものすべて”というという意味で“恋”という単語を使っているのかな、と今の私は思った。
来生えつこ氏の想像を膨らませる歌詞は、生きている人の年代によって意味を変えていく。
改めて深い曲を姉弟で作られるなあと思ったのだった。
そして本曲でアイドル・南野陽子を周知させることに成功。ナンノのターニングポイントともいえる本曲は名曲でもあり、アイドルとしての南野陽子に多大に貢献した曲でもあるのだ。