悼むことの「痛み」について──党派性は「最強の免罪符」か?
一人の人間が死ぬと、一つの物語がその時点で終わる。続きはあり得ない。彼/彼女の死を境にして、その人が紡いできた物語は直ちに風化を始める。世界は死者を置き去りにし、あとは生者だけに共有される物語が途切れることなく更新されていく。現実がかようにも残酷だからこそ、残された者たちは、死者に対して厳粛な姿勢で臨まなければならない。これは人間として最低限の節度ではなかっただろうか。
節度を軽んじるようになると、人間は知的動物として確実に劣化を始める。昨今の政治家は、そうした節度を一