2024年のベスト3 | 小説 & 映画
アウトプット重視の年だったのであまり小説は読めませんでしたが、読んだなかでなかなかに面白かった本と映画をそれぞれ3つずつ紹介します。
2024年ベスト3 小説
ミステリーや純文学、ラブロマンスなど色々読みましたが好みとしてミステリーに寄ってしまいますね。
満願 : 米澤穂信氏
短編集になっており、時間や体力があまりない時でも読めました。ミステリーというよりホラーに近い印象を受けましたが、すべての小説がミステリーとも言いますし、分類そのものに読者としてはそこまで意義を感じませんね。
それぞれの物語は長くなく、人間のおぞましさと狡猾さ、美しさ、様々な側面見え隠れしますが、各話を最後まで読んだ時の感覚はやはり米澤氏の作品だなと安心しました。氷菓や小市民シリーズで有名かとは思いますが、個人的にはこの「満願」や、「儚い羊たちの祝宴」がとても好みでした。「満願」は読了したし好きだったけど、「儚い羊たち」の方を未読の方は是非是非。
ムカシ×ムカシ : 森博嗣氏
森博嗣氏は多くの作品を手掛けていますが、中でも俗に「Xシリーズ」と呼ばれている「○○○ × ○○○」の題を冠する一つですね。
その形式では第4作目だったかと思いますが、前作に続いて同氏の作品を読まれている方には懐かしくどこか嬉しい作品でしたね。ノスタルジーとでもいうのか、本当にうまく散りばめている方ですよね。作者曰く、どのシリーズのどの作品から読んでも構わないとのことですし、気になっているけど作品が多すぎてどれから読んだらいいか分からないという方は是非目についた一冊を手に取って読んでみてください(回し者ではありません。)。
変な家2 : 雨穴氏
以前よりYouTubeで活動されているホラー作家の雨穴氏の作品ですね。今年読んだのは「変な家2」ですが、前作の「変な家」は映画化もされました。雨穴氏自身がインパクトのある見た目をされていますが、彼の作る動画も非常に魅力的で不気味で、面白いものですので是非そちらも。
しかも小説化されていますが、全編ではないですが動画にもされていますので、とっかかりとしてもYouTubeというなじみ深い媒体でご覧になるのも一興かと存じます。
2024年ベスト3 映画
PERFECT DAYS
もうこれは、私の記事でも何度か感想やら何やらを書きまくったので、察しという感じですよね。ヴィム・ヴェンダース監督で、東京にあるトイレの清掃員が主人公である癒し映画(劇薬)でございます。本当に良かった。役所広司さんのあのラストも含めて、映し出された世界が脳髄に叩き込まれるような、光線で打ち抜かれるような衝撃と優しさが共存していて、もう5回ほど観ました(観過ぎ)。
日々、誰かとの関係性や仕事に忙殺されている誰かに、観て欲しい映画ですね。どこか、ゆるやかなミニマリズムというかブッティズムを感じる点も含めて面白かったです。
豪華な俳優陣が、本当に一瞬だけ出る、みたいな演出も非常にみていて楽しい部分でした。
ルックバック
チェンソーマンの作者、藤本タツキ氏原作のアニメ映画ですね。これも話題になりました。そもそもの原作と比べても映画独自というか、映像独自の表現方法で新たな作品になっていると思います。紙面も映像も、どちらも良いです。
なんだろうなぁ。こういう作品が好きなんだろうなぁ。以前、他の記事にも書いたのですが、私が小説というもの自体に夢中になりだしたきっかけの作品にも、似たような空気感があって何度も読み返しています。
自分が好きなものに対してどこまでも入り込んでひたむきに努力する様や、その中で感じる努力する者だけが感じ得る絶望がとても好みにバシッと刺さりました。もうこちらも5回は見てます(観過ぎだって)。作品の時間も長くないため、何度観てもそこまで実時間がかからないのも良いですね。
ある男
平野啓一郎氏原作の映画化作品ですね。
原作も読みましたが、平野氏の作品には時事的な問題も盛り込まれている点は非常にクリティカルというか、ラジカルというのが正しいのか分かりませんが思考の契機になってくれるものが多い気がします。名前というものと、実存とはなんなのか、自らに貼られている様々なレッテル、社会(世間)=人間がそれをどのように捉えるのかを精緻に描かれています。俳優の皆さんの演技も素晴らしい。特に主要な3人、安藤サクラ氏と窪田正孝氏、妻夫木聡氏は以前より好きでしたが、本作品でも圧巻でした。
映画「マチネの終わりに」という作品も私がこよなく愛する一つなのですが、こちらの作品も非常に素敵な作品です。未視聴の方がいたら是非是非。
おわりに
お正月も終わりですかね(土日もあるからまだまだ遊べるドンの方もいらっしゃるとは思いますが)。
まとまった時間休めましたか?何か映画や本を観たり、読んだりしたでしょうか?
皆様にとってその経験が、素敵なものになりますように。
おまけ
最後に、小説、映画ではありませんでしたが、2024年に私がめちゃくちゃはまった(全部読んでしまった)漫画があり、そちらを紹介したいと思います。
違国日記
映画化もされたようで、その予告きっかけで原作を読みました。恥ずかしながらそれまで知らなかったのですが、他者と関わり、また内省する上で試金石になるというか、「配慮」や「感情」、「言葉の機微」というものを繊細かつ温和に描いてくれている作品でした。
今自分が使っている言葉には、どういう感情がのっているのだろう、今自分が感じているこの思いは本当に「悲しい」という名前なのだろうか、というように人の心の中を外に言葉として、絵として丁寧に描いてくれた素晴らしい作品です。
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