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私の名前は

紫金山・アトラス彗星が観たくて夫と良い場所を探した結果、母の家に行き着いた。
去年引っ越した母の家は見晴らしが良く、西の方角もまあまあ見えたからベランダで待ってみたけど、残念ながら雲が厚くて観られなかった。

月がきれいだったから良しとしよう、と言って、途中から来た義母も一緒にみんなで夕飯を食べることになった。

食事中、ふいに母が言い出した。

「最近ね、もし私が名付けていたら何て名前だったかなぁって考えてたの」

私の名前は祥子と書いて『さちこ』と読む。
これは祖母が吉祥天女から一字いただいてつけた名前だ。

当時私は男の子だと言われていたのに生まれてみたら女の子で、産後のバタバタもあり、まだ小さな姉のお世話もあり、両親にはとても考えられる余裕がなかったため、祖母が名付けたのだった。
その後私はおばあちゃん子に育ち、大人になってからも祖母とは仲良かったし、ご先祖様も祖母系列の方とのコネクトもあるのでそういう運命だったのだと思っていたけれど、

姉は令和の赤ちゃんにも通用するような可愛らしい名前で、どうして私は祥子なんだと長年不満に思っていたし、全然好きではなかった。

GOD SEALで紐解く私の「地球にやりに来たゲーム」は、ほとんど占い師の仕事を通してやっているため、逆に言うと占い師になるまでは自分のゲームをちゃんとプレイできてなかったことになる。
名前を本当に受け入れて大切に思えるようになったのも、やっぱり占い師としてならしっくりきたから、近年なのだ。
一般的に占い師やスピリチュアルな仕事には、みんな源氏名を使う。(それには様々な理由があるけど、ここでは割愛する。)
でも私はかなりの逆張り魂があるため、占い師だからこそ本名を使ってきたのだ。あえて素手でいかせてもらいます的な心意気で。

それが突然、母から告げられたのである。

「私が名付けしてたら○○○だったなって結論が出てね。ああ、私、○○○ってつけたなぁって。だから本当の名前は○○○なの。」

これ、私の衝撃たるや、伝わるかな…?

世の中、師事しているお師匠さんに名前をもらったりすることはあるし、大人になってから自分が好きな名前を名乗ることだってある。改名する人もいる。
けど43歳になって初めて母親から命名されるって、ある?

まるで「あなたの本当の父親は誰々よ」とか「本当は〇〇人なのよ」って知らされるくらいの衝撃というか、根本的なアイデンティティがひっくり返る感覚。
あなたの「音」は「本当はこの音なんだよ」と知らされたような..

そう、名前のセンスやニュアンスがどうこうではなく「音」としても
私を表す本来の音ってこれだったんだ、というしっくり感もあって。
むしろ今まで『祥子』とか『祥子TAROT』って名乗ってたのが急に白々しい源氏名に思えてきてしまった。

全然好きじゃない服を長年かけてなんとか受け入れて
なんとか着こなせるようになったところで
本来着るべきシンデレラフィットなドレスを授けられたような気分でもある。

紫金山・アトラス彗星は観ることも撮ることもできなかったけど
私にとんでもないものを体験させてくれたのかもしれない。

SNSで見かける紫金山・アトラス彗星の投稿には8割くらいの確率で『君の名は。』のBGMが使われている。親和性が高すぎるし、ほんとそれでしかない光景だと思う。

だけどまさか彗星接近中に母から「あなたの本当の名前は」と告げられるとは新海誠にも想像できなかったはず。
昨日は彗星を観るために動いたけど、それが本当の目的ではなくてこっちだったのかもしれない。

初めからその名前だったなら、きっと色々な運命が変わっていて、人生も違ったはずだなって思う。
その名前のパラレルワールドの私は今、どこで何をしているだろう?

ここにいる私は、新しい名前を「魂の名前」として大切にしようと思う。

それはとても素敵な名前だから少し恥ずかしいけれど
確かに私の名前だと思ったのだ。


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