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Good Morning

「おはよう」
「…んん、おはよー」
まだ眠たそうな彼女は大きく伸びをしながらベッドから起き上がった。
時計の針は7時ごろを指していた。
すっかりお日様はさんさんと空を照らし、カーテンの隙間から漏れる陽の光はまだ冬真っ只中のこの時期でも暖かい。

「…ん!ベーコンの焼ける匂い!」
「うぉ、やっば」
コンロの火をかけっぱなしにしていて、あともう少し遅かったらベーコンが焦げて苦くなってしまうところだった。
「寝起きでも鼻はよく効くのね」
「おいこら、バカにしてんのか?」
わざとらしく膨れっ面をする顔がまた可愛らしいから、ごめんと言いつつ膨れた頬を両手で潰すと、やっぱりバカにしてんだろと力ない拳でポカポカと僕の背中を叩きながら、彼女はやっと本格的に起きた。

「「いただきます」」
うちのルールはご飯はガッツリ食べる、ただそれだけだ。
一汁三菜、これもマストだ。
そして、ご飯を作るのは僕の役目だ。

「今日の卵は少し固めだね」
「さっき焼き過ぎちゃった、ごめん」
「私は固いのも好きだけどね、ベーコンもカリッとしてていいね」
みそ汁もうまい、と小声で言いながら最後の一口を食べた茶碗を掲げる、これはおかわりの合図。
二杯目はちょっと少なめ、それがいつもの。
たとえ遅刻しそうでも必ず彼女は朝は茶碗で二杯食べてから仕事に向かう。
それがルーティンなのだと、そう彼女は言う。

「「ごちそうさまでした」」
ご飯はじっくり食べるのに、朝の準備はぱぱっと終わらせてもう仕事モードの彼女は、パンツスーツが良く似合う。
僕の仕事は自宅でできるものなので、まだなんだかんだパジャマのままだ。

「今夜はそんなに遅くならないと思うから」
「分かった、晩御飯何食べたい?」
「…たこ焼き」
「ほんと?」
「うそ、煮魚食べたい」
「じゃあ、カレイかな?」
「任せる、じゃあ行ってきます」
出かけにキスをするような時期はもう過ぎており、そこまでもうお熱くはない。
ただ彼女はマンションを出てすぐそこにある階段を降りる際こちらを必ず振り向くので僕は足早にベランダへ移動する。
彼女を見つけて手を振るけど、彼女は振り返さない。
ただ、心なしか、微笑んでいる、そんな気がする。

これが僕と彼女の朝の一コマ。
こうして1日が始まる。
おはようから始まる繰り返す毎日、なんてことない幸せな時間、続くと良いなと思いながら僕は洗濯機を回し始めた。

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