◆ 話のネタ ◆ No.34 なぜ、お客様は、うちの銀行を選んだのか？
銀行員時代に担当したお客様は、非常に優良なお客様が多かったのですが、一方で、厳しいお客様も多かったです。
何故、当時13行あった都銀の中で、最も厳しいと言われた当行と取引して頂いているのか聴いた事があり、その中で印象に残った3人のお客様の事をお話します。
◆ 1人目は、A社を経営されているA社長
「社長、どうして、当行と取引頂いているのですか？」
「わては、商売を始める時に、どの銀行と取引しょうか？ と考えた時、
一番融資条件の厳しい銀行と取引しようと考えたんや」
「えっ、普通なら、一番融資条件が緩やかな銀行と考えるのではないのですか？」
「いや、それは、逆や！ おたくの銀行が、一番融資条件が厳しいとみんな知とる。 お宅から、借り入れできたら、会社に少しでも異常が発生したら、すぐに返済を迫って来るので、” 自分の会社が経営に一番厳しい銀行から融資してもらえる会社になる” と最初に心に誓ったんや！」
◆ 2人目は、M支店のお客様で、材木会社を経営されているY社長
会社を拡大されM支店から、車で、1時間以上も離れたところに移転された
にも関わらず、最寄りの支店ではなく、M支店との取引を続けて頂いておりましたが、厳しいオーナー社長でした。
「Y社長、何故、最寄の支店に口座移管されることなく、当行をメイン銀行にして頂き、遠方にも関わらずM支店とお取引頂いているのですか？」
「Sさん（私の事）、それはな、こちらに移転して、間もない頃、私は火事におうたんや、商品の材木も事務所も全部燃え大変なことになったんや！」
「そうだったんですか・・・それは、大変でしたね・・・」
「その時、M支店のB支店長が、一番に駆けつけてくれて
『 Y社長、必要な資金は、いくらでも言って下さい。当行が全部ご支援させて頂きます！』と言ってくれ、本当に嬉しかったし助かったんや、今でも心の底から感謝している。 だから、絶対にお宅の銀行とM支店との取引は、変えんのや！」
◆ 最後は、バブルの頂点の頃の話で、T地区で、一番診療報酬の多い個人開業医のお客様
趣味は、ゴルフで、複数ゴルフ会員権も所有され、10百万円するジャガーに乗られていました。
ある時、K先生から電話がかかって来て、
「会員権を購入するので、420万円持って来てくれ」
ということで応訪しました。
「先生、何の会員権でしょうか？」
「あぁ、ヘリコプターを利用できる会員権や ♬」
「えっ、それって何ですか？」
「君も知っているように私の趣味は、ゴルフや。 しかし、今、ブームで
自分のゴルフ場に行くにも、道が混んで、往復3時間以上かかる。」
「確かに、渋滞は、ひどいですよね」
「それで、中之島の朝日新聞の処にあるヘリコプター利用の会員になるんや、420万円払い込んだら利用できるんや。（当時は、中之島からヘリコプターが発着していました） そうすれば、自宅から中之島までジャガーで10分、ヘリコプターでゴルフ場まで15分、往復1時間で済むんや。
また、払い込んだお金も、退会時かなり戻って来るんや」
「そうなんですか・・・す、すごいですね・・・・」
仕事熱心なK先生でしたが、厳しい先生でした。
K先生のご実家は、四国で洋服店をされており、K先生は、医学部卒業後、
しばらく勤務医をされその後、結婚、奥様の実家が医者（義父は、結婚時に逝去されていた）だったので、自分が後を継いで、奥様の実家の土地に、新しいクリニック兼自宅ビルを建て替えることになり、K先生が個人で当行から1億円借入をされていました。
「K先生、ご存知のように当行は、都銀の中でも厳しいので有名なのですが、どうして、メイン銀行として頂けているのですか？」
「それはなぁ、勤務医だった時に、開業するのに1億円の借入が必要となり紹介してもらったお宅の銀行が、本当にしつこく何度も何度も、開業計画、見込収入、返済計画等について聴いてきて、いやなになるくらいやった。
お宅で借りるの止めようかと思ったぐらいや！
一方、開業前は、寝とっても、夜中に何回も目が覚め、本当に、1億円も返せるんやろか？ と非常に不安になった。」
「なるほど」
「その時、自分を納得させたのは、一番厳しいおたくの銀行が、あれだけしつこくしつこく質問してきて、1億円貸してくれたんだから絶対大丈夫！！
と思ったら、寝ることができたんや。 だから、今でもその点は、感謝して銀行はずっとお宅や！」
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おまけ１：K先生の受付に『当院は、パイプカットの手術は、致しません』
と掲示されてました。 先生によると手間がかかり個人医院
だったので、利益の9割近く税金で取られるので、お断りし
ているとのこと。
おまけ２：銀行員時代のお客様で、パイプカットをされた若き２世経営者が
おられたのですが、『パイプカットの手術が滅茶苦茶痛くて、
２度とこのような痛みを味わいたくない！』と思っていたら、
睾丸から繋がっている管を縛る手術なので、片方ずつしかでき
ず、もう片方しないと、意味がないと分かり、泣く泣く２度目の
手術をされたそうです。
おまけ３：K先生は、その地区の高額納税者でした。ある時、税務調査がは
いり、待合室に置いてある赤電話の利用代金が申告漏れである
と指摘され、『1億円以上税金を納めている俺が、電話代を
脱税したというのか！！』と激怒されていました。
◆ 毎週、金曜日に発信予定です。
次回予告：No.35 ZUMBA & すごいぜ珠代姐さん ♬
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