【エッセイ】窓辺のコスモスと祖母の声
秋が深まり、庭のコスモスが風に揺れる姿を見ていると、いつも祖母の声が蘇る。祖母は昭和生まれの典型的な「肝っ玉母さん」だった。
何をするにもきびきびとしていて、どこか隙のない人だったが、そんな彼女が好きだったのがコスモスだった。
今になって思えば、彼女の性格とは正反対のような、柔らかくて儚げな花を愛でていたのが少し意外だ。
ある年の秋、まだ小学生だった私は、学校の授業で「家族に花を贈ろう」という課題を受けた。
私は迷わず祖母にコスモスを選んだ。
近所の空き地でピンクや白、