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劇団すらんばー第十三回公演「ドロケー」土曜18:00を観てきた感想


 とある土曜日。いつもの如く人々が入り乱れる中、上機嫌に浴びる様に酒を飲んでいると声をかけられた。ゆーかりさんであった。初めましての挨拶も早々に彼女は一枚のビラを手渡してきた。

「公演があるんですけど、良ければ観に来ませんか?」

初対面の女性に声をかけられた筆者は何も考えずに、「行けそうなら行きます!!予定次第です!!」と大声で返した。筆者の予定は全部ノリなのだ。深くは考えてはいない。
そして時間が過ぎるのは早いもので、気がつけば予約を入れ、気がつけば吉祥寺へと辿り着いていた今日。そしてあっという間に素晴らしい劇を観させていただいたので熱意には熱意でお返しせねばと思い、この文を綴らせていただく運びとなったのである。

*注意事項


・本文章は、劇団すらんばー第十三回公演「ドロケー」の重大なストーリーネタバレ及び設定への言及がございます。ネタバレが気になる方はブラウザバックを強く推奨致します。

・本文章は筆者の主観故、見落としている場面設定、大いなる想像や妄想、本来の設定にはないであろう推察が含まれています。解釈違いの場合でも筆者を兵役送りにするのではなく、仏のような心で閲覧していただくことを推奨いたします。

・筆者は、演劇経験者でもなく普段頻繁に劇を観る人間ではなく、演劇に関してはズブの素人であり、感想文を書くのが昔から苦手な人類の為、構成がぐちゃぐちゃな文と、敬称略、忌避感を覚える表現等発生する可能性が御座いますが、非常に温かい目で見ていただければ幸いです。

・前置きが長くなりましたが、本文は結局如何にこの公演が素晴らしかったかという述べるだけなので少しでも筆者が体感した熱が伝わればいいなの精神でお読みください。
それでは対戦よろしくお願いします。


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①あらすじ

第十三代国王が即位されて七年。国の形は大きく変貌を遂げた。
五年前から始まった戦争は終戦の兆し無く、刑務所に服役していた犯罪者達は「兵役軍」と名前を変え、最優先で戦地に送られることとなった。
犯罪者の血縁者や前科持ちは全員、「兵役予備軍」とされ、一般市民とは区別をされていた。
そんなある日、現国王の妹君が誘拐された。
彼女の捜索を命じられ、奔走する王族直下の治安維持部隊。
捜査のうちに辿り着いたのは「兵役予備軍」の四人だった。
「全員捕まえてみせるさ」
「奪って戻る。ただそれだけ」
──さあ、始めよう。


本公演は独裁国家かつ階級制度のある国で巻き起こった事件を巡るディストピア風現代ファンタジーである。
国家の治安の為、そして己が地位を守る為正義を振りかざす治安維持部隊。
己が自由の為、そして生き抜く為に信念を貫き通す兵役予備軍。
両名の衝突と駆け引き、そしてどうしてこの事件が起きたかの壮大な秘密を巡る物語であった。

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②舞台と設定

舞台が現代社会とは背景が大分異なる為、いかに世界観を分かりやすく簡潔に客に理解させるかが重要であるかと筆者は考えていたのだが、
冒頭の説明部分から演者の動きを利用した視覚的にも分かりやすい背景説明だったり、会話の中で自然と客が知るべき情報や舞台背景を盛り込んでおくなど、スピーディかつコンパクトにまとめられている印象であった。
90分という尺の中で如何に過不足無く没入させる事が出来るのかという課題は完全にクリアしていたと思える仕上がりだった。凄い。
小道具も基本的な机と椅子をメインに使い、完全な暗転を使用せずにスムーズに場面転換を行なっており、暗転で起きるいわゆる『待ち』の時間が全くと言って良いほど無く、そこもスムーズさに拍車をかけていた様に感じた。
場面は主に治安維持軍の場と兵役予備軍の場を交互に描写する形だったが、僅かな位置変更などで雰囲気が変わっていて凄いなと感心した。
最後が決着をつけずに始まるシーンだけで締めたのも正義の所在は観客に委ねられている様な気がして良かった。
始まりと終わりの場面を同じ交差するシーンで締めるのは激アツだった。

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③登場人物について


ここからは登場人物について以下より一人一人印象や思ったことをざっくばらん且つ妄想詰め詰め&勢いマシマシでお伝えしていこうと思う。
(敬称略だったり、演じて下さった役者様には詳しくないの役名で呼ぶ事をお許しください)


【司令官】

国軍治安維持部隊の長官。
セリフや登場シーンこそ少ないものの、存在無しでは舞台を成立させることの出来ない重要な役所。
厳格で業務的だが、非常に重要な情報を持っていると若夏に対して表現したにしては本人は捜索に参加していなかったあたり上層部から情報を規制されていたのだろう。冷静に考えると可哀想すぎない?だって

なんか妹君誘拐されたらしくて上司激おこやん部下に頑張ってもらお!→
全然捕まらないやん!仕事しろや!→
捕まったらしくて安心安心!→
逃げとるやんけ!→
一般区域でめちゃ秘密バラされとるやんけ!

こんなんもう胃潰瘍トンネル開通不可避でしょ。
しかも治安維持部隊が勝とうが兵役予備軍が勝って革命が起きようがどちらにせよ多分処罰は待ってるから彼の明日は何処…。
最も世界観をよく表現している役で、出てきた瞬間の服と腰の銃を観て、観客はみんな緊張感を味わったと思う。静かな中銃をカチャッて取り出す時好き。


【伊集院 清貢】

国軍治安維持部隊第一班班長。
父親は軍隊上層部の指揮官をしている。
自分に誇りを持っていて、堅苦しい生真面目なプライド高めの真面目坊ちゃん。

絵に描いたような品行方正かと思いきや兵役予備軍に対してまぁ煽る煽る。
多分同じ様な境遇だったのにも関わらず底辺に落ちた挙句変なことやってる絃ちゃんの事が気に食わなかったんだと思うけど。
リーダーって感じを全面に出してたけど結構ピンチだと焦って強行しようとしたり酒弱かったり、意外と人間味のある感じが垣間見えた。善光寺さんとかに飲みに自然と誘われてるあたり、普段からなんだかんだ仲は良いんだろうな第一班。
声がデカいのにめちゃ聞き取りやすいし滑舌が良い。朝すれ違いざまに挨拶されたいランキング1位。
全身に慢心と差別意識が染み付いてる辺りしっかり国民って感じがして好き。プライドが抑えきれていない。全身から焦燥感が滲んでいる。
兵役の真相を聞かされても一才国王を疑わず、国のためだと払い除けられるの本当に父上と国を考えてるんだなと芯の強さを感じた。
でも治安維持部隊って地位が低いって言われてたって事は彼の評価は低いって事だし、なんだか報われないね。
仲良くなって一緒に飲んだら愚痴吐いてくれるんだろうか清貢くん。友達になりたいけどそういうの嫌いそう。


【善光寺朝霧】

国軍治安維持部隊第一班副班長。
国の裏側を支える極道の娘。
大事な組の為、協定の橋渡しとして国軍で働くカッコ良くて負けん気が強い。

絶対に強い。木刀で薙ぎ払ってそう。
the姐御って感じで絶対にこんな状況でも生きてやるみたいな空気を感じた。
組のためとはいえ本来元々相反していた国の下で働かされるというのはある種『生贄』とか『犠牲』みたいな意味合いも含まれていると思うのだが、そんなもの関係ないだろ!やる事やるんだよ!みたいな強い女って感じがして好きです(早口妄想)
上司に欲しい人ランキング1位。
バッチバチに煽るし、殴り合いになっても大丈夫ですけど?みたいな態度取るの良い。
龍が如く出てても違和感ないよね。


【三ノ宮一恋】

国軍治安維持部隊第一班所属。
両親は王宮に仕えており、王族の世話係。
無気力でやる気はないが抜け目ない。

気だるげ系エリート女子って本当に良いよね。
監視カメラの位置をサボる為に把握したりだとか、さらっとカマかけて質問したりとか、己の利益の為ならば普通に汚い手だろうが厭わない感じが素晴らしい。
髪の毛ぐるぐる弄ってんの面倒ですって感じで好き。敬礼の時も忠誠心とか微塵も出てない。
両親を説得した時の感じからして親は相当彼女を溺愛してんのかなって思った。
高校の時、授業サボりで屋上に逃げたらいて欲しい先輩ランキング第一位。
若夏様を連行する時大分雑にやってたけど、手間かけさせやがって…みたいな乙女ゲーム出ててくる御曹司味を感じた気がした。
一恋さんに逮捕されたいよね分かる。


【樋口白百合】

国軍治安維持部隊第一班所属。
両親は国軍上層部で兵器開発に携わっている。
自身も秀才である。明るく元気な後輩。

今劇の推しその1。清楚ゆるふわ系秀才後輩系女子だぞ!!!良いに決まってんだろうが!!!
ぶっちぎりのエリートで社会経験の為だけに治安維持部隊に入れられた人。明るく元気で部隊の雰囲気を乱さず、班には不可欠な存在。
服装も良い。全てが良い。
両親が兵器開発を携わっているという事でエレベーター式に将来が確定している事に不満は無いがなんとなく納得はしていない白百合さん。
これって自由を求めてはいるものの声に出して求めるほどでは無いというまさにこの国が抱えている根深く深い暗い部分な気がする。表現や意見を出せない事に小さい頃から慣れきってしまっている。そんな感想を抱いた。
兵役の恐ろしい真実を知った後でも治安維持部隊と兵役予備軍の対決を、ワクワクすると楽しんでいる様な所に、純真無垢が故の無邪気な怖さを感じた。
後輩にしたいランキング第1位。
こんな優秀で可愛い後輩がいたらさぞかし楽しい人生が送れるんだろうな?分かるか?清貢くん。
残りの女先輩方が割と圧強めのストロング女子って感じなだけに、清楚感溢れる丁寧さと明るさが際立っている、バランスが良いね第一班。
筆者は彼女ら四人が仲良く居酒屋で飲んでいる番外編が観たい人生でした。


【宵】

兵役予備軍。
両親が逮捕されてしまったため、兵役予備軍へ。
いつもヘラヘラとしており、つかみどころがない。

京言葉ミステリアスお姉さん。最高でしかない。兵役予備軍は全体的に赤を基調とした服装で統一されているが宵さんは特に良い。オシャレの権化。
のらりくらりとしつつもその内にある炎はめちゃ燃えている感じのお姉さん。夜の女って感じで最高。
訛りがめっちゃ良かった。イントネーション的に京都弁よりだと思ったんだけど合ってるのだろうか?
知り合いのお姉さん方に連絡取るシーンマジで良いよね。電話線クルクルしてる所。
宵さんのBARで酒飲んだりしてみたいよね。
後ろとかで菊ちゃんとかとこそこそやりとりしてる時好き。仲良さそうだし。文ちゃんを嗜めたり、四人のバランスを取りまとめているようなイメージ。
行きつけのお店にいたら嬉しい人ランキング第1位。
所作がしなやかでしゃなりしゃなりという効果音が似合いそうな立ち振る舞いだった。
顎クイのとこ好き。


【菊】

兵役予備軍。
学生時代に傷害事件を起こし前科がある。
怒りっぽい性格。美味しいご飯が好き。

怒りっぽく面倒事が嫌いで常にお腹が空いている腹ペコ暴君。
開幕で恐喝、次に恫喝、メンチ切って最後は大暴れという絵に描いたようなパワータイプの方。
みんな親の罪で予備軍入りかと思いきやまさかのフルストレート前科持ちという。
更生施設をご飯付きのホテルぐらいのテンションで喋っていた。合宿かよ。
文ちゃんのずーっとおしゃべり爆撃を聞いてはあげている所に面倒見の良さが垣間見えている。
若夏様からスープを強奪する所の笑顔が良すぎる。
ずっと腹一杯食べる事考えてて良い。ほぼルフィ。
一緒に飯食いたいランキング第1位。
警備員を薙ぎ倒して時間を稼ぐという一人だけ戦国無双みたいな仕事を任されていた菊ちゃん。
多分兵役予備軍での生活で不満なの、飯が腹一杯食えないって事だけでそれ以外は結構気に入ってそうなんだよな。

【文】

父親の犯した罪のせいで兵役予備軍落ち。
一度話し始めると止められない。元気爆発な情報通。

多分一人だけセリフの密度が2倍ぐらいになっている人。身振り手振りをしながらチャカチャカ動くのが小動物味があって良い。
祖父の反動でおしゃべりになったと言っていた様に知っている知識を話したくてしょうがない、人と何かを共有したいというある種子供の様なピュアなイメージ。
だけど、写真を見せられてすぐにシラを切れる辺り、頭はキレるタイプだと思われる。
監禁部屋にたんぽぽ飾ってあるの優しい。後々聞いたのだが、あのセリフは毎公演毎に違うのだとか、凄い。
演説のシーンめっちゃ好き。普段の喋りは言いたい事が次々と出てきてしまうから、忙しない話し方になるだけで、演説の時の様な事前に話したいことを考えておいてから話す時は絶大な力を発揮するのだろうなと思う。弁論の才。
一緒に映画観たい人ランキング第1位。
文ちゃんが菊ちゃんに話しまくって、それを宵さんが嗜めながらも話聞いて、それを眺めて微笑む絃ちゃんの姿が目に浮かぶと思うんですけど映像化お願いします。


【絃】

兵役予備軍。父親が逮捕されてしまったため、
自分も兵役予備軍とされてしまった。オネエ口調のカリスマ性のある男。

今劇の推しその2。もう全てが良すぎる。歩くセクシー。オシャレの擬人化。所作全てが美しくて危うく夢女子になる所だった。
あんなん好きにならん奴おる?
アニメだったら絶対に人気投票で一位になる男。ビジュが良過ぎる。
現国家体制に対してデモをした事で兵役送りにされた父を尊敬しており、間違ってるという事に声を挙げるということの大切さを胸に抱いている。魂の強さを感じる。
あのヒールめっちゃ良くない??シルエット綺麗すぎないか?薔薇舞ってる気すらしてきた。
清貢くんとのバチバチの煽り合いは素晴らしかった。
このままじゃ夢女子になっちまうよ!!って思っていたらド級の純愛を見せつけられて心の中の夢女子が爆発四散した。二人とも幸せになってくれよな!!
ついて行きたい人ランキング第1位。
あの癖強三人を束ね上げられるカリスマ性。
咄嗟に作戦考えられる頭の良さ。
単身で奪還に来る運動能力の高さ。
パーフェクトよね。


【若夏】

現国王の妹。
気弱な性格で、はっきり意見することが苦手。

彼女が今劇の主役と表現するに1番近いのではなかろうか。
気弱な彼女は兄である国王の凶行を知りつつも止める事ができず日々を過ごしていた。しかし意を決して城を出たは良いものの、行くあてもなく彷徨う。しかしそこで出会うはずの無かった、運命の再会を果たす。
どうにかして欲しい、助けて欲しい、一人では何も出来ずに怯えて流されて続けていた彼女が、最後には革命の始まりを告げる。
後半の真実を伝えるシーンは圧巻で、ジェットコースターの下り始めの様な怒涛の衝撃が押し寄せてきた。
オロオロアワアワしてたけど、ああ見えて一人で停電させて監視カメラ擦り抜けて来たんだぜ?結構やる時はやる人だったのかも。
後半の絃ちゃんとの会話シーンはもう言語化が難しい良さがありました。
市民の暮らしを教えて回りたい人ランキング第1位。
若夏様も含めて五人で楽しくご飯行ったりして欲しいよな……


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④まとめ

他にも語りたいシーンは沢山あるが長くなりすぎてしまうので此処らでまとめようと思う。
今劇は『弾圧された自由を求めて抗う』兵役予備軍と『己の正義を貫く』治安維持部隊の双方どちらにも魅力が詰まった素晴らしい劇であったと筆者は感じている。
自由とは何か、何かに抗い立ち上がることの難しさ、正義の反対は別の正義であること。
果たして世界は革命されるのか、それとも変わらないものなのか。
あえて結末を描かなかった部分を我々が考えることでこの劇は完成するのだろうかと思わせられる素晴らしい演劇であった。


改めて本公演に出演した演者の皆様、素晴らしい劇を考えてくださったふくしまうい様、劇団すらんばーの皆様、関係者の皆様、この素晴らしい演劇に関わってくださった全ての方々に感謝を込めながらこの文を締めさせていただきたいと思います。
本当に素晴らしい劇をありがとうございました。
またの公演を楽しみにしております。

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