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人新世の階級闘争 なぜ年寄りは助け合わないのか

〇老人階級の少子化政策  寄生虫と宿主の仁義なき戦い

 生物の世界では宿主に寄生する寄生虫が増えすぎた結果、栄養を吸い取りすぎて宿主が衰弱死し寄生虫も死んでしまうケースがあるそうです。

 タイパ・コスパはZ世代だけのものではありません。「老い先短い」とつけたら怒られるかもしれませんが高齢者にとって「子育て支援」はタイパ・コスパが悪すぎます。
 現役世代には子供は将来の社会保険料を払い介護などをする労働力と捉えることができます。しかし介護を受けている高齢者にとって生まれてくる子供が介護保険料を払うあるいは介護の担い手になる前にお亡くなりになる人が多いでしょう。そう考えると出産育児にお金を費やすのは無駄ガネになります。だから子育てに予算が回る政治が行われないのです。高齢者には子供にカネをかけない「高齢者オンリー」の若者イジメ政策が支持されるのです。

 国が高齢者をたくさんつくること。すなわち日本人が長生きすること。このことに戦後日本人は膨大な国家予算を費やしてきました。そのために社会保障のために税金が使われることを許容してきました。長生きするには何が必要か。まず天寿を全うする前に日本人の多くを死に至らしめる癌の克服、これが最大の課題であり、先進国でも類をみないほど癌治療・予防へ国を挙げて予算をつぎ込んできました
 なにせ市町村で定期検診をして治癒可能な早期発見を目指し、癌がみつかってもそれこそ今まで払ってきた健康保険で必要最低限の治療が受けられます。癌になって働けなくなって生活保護を受けても治療が受けられオブジーボも使用できます。高額な自由診療(保険外診療)どもしない限りアメリカのように癌で破産することはまずないのです。癌は早期発見をすれば治りますし癌にならないような生活習慣についての官民問わず啓発が行われています。今でもTVの健康番組は下手なバラエティより数字が取れます。
 現代の日本では癌の克服はほぼ成功しましたが、それによっておそらく戦後に社会保障の根幹を作り上げた人たちがおそらく想定しなかった事態が起きます。
 長生きした人の介護を誰がするかという問題です。認知症や身体能力の低下によって自分では身の回りのことをすることが難しく生活支援が必要な高齢者の介護を誰がするのか。かつての日本型福祉では癌にかからず長生きできた老人の介護は家族が実際のところ、長男の嫁がするものでした。老人施設とは身寄りのないかわいそうな老人が行く場所でした。ですが核家族化で両親宅に長男夫婦が住んでいるということが珍しくなる。1日中目を離せないような状態だと通いで身の回りの世話をするだけでは危ない。社会が家族介護の限界ということで介護保険制度が始まりましたが、これは若いころ介護保険料を支払ってこなかった高齢者がタダ乗りで40歳以上の現役世代に介護保険料を支払わせ老後を支えさせるシステムなのです。まあ厄介払いできて助かるという人も多いので開始時に誰もそこは触れなかったようですが。
 「希望の国のエクソダス」という村上龍氏の本があります。2000年代の日本で社会の閉塞感に対し無力な大人たちを尻目に北海道に今でいう「目覚めた」中学生が数十万人移住し金融知識を駆使し独自の経済圏樹立を目指す・・・。
 かつては老人支配からの脱却でしたが今、若者だけの都市をつくろうとすると老人切り捨てとバッシングされるでしょう。(日本に希望を持てないヤングケアラーが家族を捨て移住したら大変なことになります。)何でもあるが希望だけはないというセリフは、2000年ごろはまだまだ日本に経済的な余裕のあった時代だったなと思います。今の日本はCO2を出さないクリーンエネルギーも広い国土がないからできないから高い金で海外から買った石油やガスの支払いが膨大な貿易赤字を垂れ流している。食料自給率が低いので円安なのに高い金を出して穀物や肉や魚も海外から買わなければならない。少子高齢化は2000年代よりさらに進み若い働き手がいないから社会システムのハード面のインフラもソフト面のサービスもボロボロになっている。
 日本はカネのかかる社会問題が山積みでその負担ゆえに希望がないといえます。そしてその負担の世代間の押し付け合いが起こっているのです。

 残念なことに負担の押し付け合い世代間争いは若者が負けます。なにせもはや若者より老人のほうが詰まっているかはともかく頭だけは多いので選挙で世代間争いをやったら若者が負けるにきまっていますし実際のところ負け続けてきました。しかし少子化による人手不足は特に介護業界では深刻な質の低下をもたらしています。昔気質の人は選んだ職業だからまじめにやれと思う人が多いかもしれませんがもらえる報酬と職場の環境(質は介護報酬に比例する)の掛け算以上のパフォーマンスは出せません。介護職全員にナイチンゲールのような滅私奉公のケアを望むのはムシのいい話なのです。

〇世代間闘争への処方箋 なぜ年寄りは助け合わないのか

 このままでは宿主と寄生虫も共倒れになってしまいます。まあ「共倒れになるまえにこの世を去るからあとはどうなっても構わない」という人以外のためにこの不毛な世代間争いに終止符を打つ方法があります。
それは全世代の公平な負担と高齢世代内の格差是正です。
 全世代の公平な負担については別で私のやっているオンライン署名に詳細に述べていますのでそちらをご参照しご署名をお願いします。
 高齢世代内の格差是正ですが、人生という長いマラソンで開いた経済的な差を世代内で解消する。資産ゼロで生活保護を受けている高齢者もたくさんいますが、何千万もの資産を持っている人もいます。
 60代の方の金融資産のデータとか見るとすり鉢状になっており金融資産を持っていない人と3000万円以上持っている人が最も多くて中間の300万とか500万とかの層が少ない。高齢世代内の経済格差は凄まじいのです。どうせおカネはあの世に持っていけないのだから死ぬ前の功徳を積んでもらうため「金持ち爺さん・婆さん」に税を特別徴収して高齢世代内で資産のある程度の再分配が行われればなにも若い世代から搾り取らなくても済むのです。

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