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読書メモ パスカル パンセ 100分de名著
考えてばかりの時、もう嫌だこんな自分となったりしていませんか?
そんな時はこれ!
パスカル パンセ 100分de名著 鹿島 茂さん著
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片付けていたら出てきたのですが、
薄い本ながら、結構何度も読んだな〜と。
久しぶりに読んで、ざっくりとまとめていきたいと思います。
人間は考える葦である。
この言葉を知っている人は多いかと思います。
葦(アシ)って何?という人もいるかと思います。
水辺に生える、か細い草の種類を指します。
イネのような細い植物をイメージしてもらえれば良いと思います。
ヨシとも呼ばれるそうです。
パンセの中では、人間は、自然の中でか細く頼りない存在という意味
で使われているそうなのですが、
実はこの葦は、調べてみると意外と強かった!
水辺に生えていることが多いのですが、地中深くに根を張り、乾燥にも強い。しかも塩分にも耐性があるとのことで、海辺にも生えているのだそう。
なんだ意外とパンセの例えって間違ってるじゃん
と、ネットの知識でマウントを取ってみたところで次に行きましょう。
理想と現実
本書では、A君という就職活動に悩む若者が出てきます。
自分はどんな仕事に就いたらいいのかと悩むのですが、散々悩んだ末、
大学の就職課でたまたま見つけた適当な求人に、エントリーシートを送り、内定をもらってしまいます。
就職氷河期世代の私は、これを見ただけでなんとうらやましいと思いました。うちの母の世代もそんなに就職には困らず、知り合いの伝手で仕事が決まったと言っていましたが・・・と雑談です。
しかし、あっさり決まってしまったことで、A君はさらにこの仕事は本当に自分に向いているのだろうかと悩み始めます。
内定を受けるべきか、辞退するべきかで悩むわけです。
一生のうちで一番大事なのは、どんな職業を選ぶかということ、これに尽きる。ところが、それは偶然によって左右される。習慣が、石工を、兵士を、屋根葺き職人をつくるのだ。
大学の就職課によく足を運んでいたA君は、偶然会社のパンフレットを見つけ、エントリーシートを送ったことで、内定をもらいました。
これも習慣と偶然が重なったことにより、選んだということになります。
このあと、パンセでパスカルが言った、
部屋の中でじっとしていること以外は、あらゆる職業に向いているという言葉を信じ、A君は仕事をし始めることになります。
しかし、思っていたのと違う仕事を任されたA君。
こんなはずではなかったと思うことが増えていきます。
友人がもっと大きな仕事をしていることを知ると、がっくりして、転職を考え始めるようになったのです。
わたしたちがどんな状況にいても、自然はわたしたちを不幸にするものである。わたしたちの願望が、もっと幸福な状態というものをわたしたちの心に描き出してみせるからだ。
ガーン!幸せになれないじゃん。
こう聞くと、幸福とは何なのか、これを考え始めるようになるのではないでしょうか。
本書では、自分自身をパイに例えています。
飢餓のある時代では、幸福とは飢餓でないことと定義できました。
自分自身のパイを、親、兄弟姉妹、地域共同体、国家、神様へなどへ分けて食べることが必然だったわけです。
しかし、飢餓のない現代では、これを自分で独り占めして良いのです。
なので、考える必要が出てきます。
どのように食べたらいいのか・・・と。
これが幸福について悩むということ。悩めることが幸せなことであることが、自分的にも理解できました。
A君はこのあと、悟るのです。
人間は不毛な追いかけっこをしていることに。
A君はパンセを書店で買って読み、深く理解しました。
そして、誰かに教えてもらった話ではなく、自分が見つけたパンセの中から発見された事実を深く感じることができました。
これもまたパンセではこう書かれています。
人間というのは概して、自分の頭で見つけた理由のほうが、他人の頭の中で発見した理由よりも、深く納得するものだ。
たとえ誰かにまっとうなことを言われようとも納得しないのが人間です。
尊敬する人や偉い人の話は聞くという人もあるかもわかりませんが、
自分で考えて導き出した答えに納得するのが人間というもの。
人の話を聞かない人が多いのは仕方ないことなのかなと思ってしまいました。私なんかは、人の話を聞く方と自分では思っているのですが、
家族や親しい友人からしてみたら、あんたは話聞かないじゃんと言われてますし・・・。
人から聞いたことやYouTubeで見たことであっても、自分自身が体験しなければ、深く理解していないんだなと改めて考えさせられました。
忙しいと充実して、暇だと腐る人間?
社会人1年目のB子さん。
週休二日制であるはずなのに、最初の一ヶ月は休日もなく、土日出勤も相次ぎ、夜も終電で帰るという激務に追われます。
このままでは過労死してしまうのではと会社の先輩のC子さんに相談することに。
なんとこのC子さん。
前職は独立行政法人に勤めていたそうなのですが、仕事が面白くないという理由で転職。今の激務の会社の入ったという経歴の持ち主でした。
C子さんはパンセの一説をB子さんに読んでみるように言います。
わたしは、人間のあらゆる不幸はたったひとつのことから来ているという事実を発見してしまった。人は部屋の中にジッとしたままではいられないということだ。(中略)会話や賭け事などの気晴らしに耽るのも、自宅にジッとしていられないからにすぎない。
C子さんは、前の会社でやることがなく、読書ばかりしていたそうです。
それで給料がもらえるなんて最高じゃんと思いますが、C子さんは違っていました。
会社に必要とされていないと感じ、自分の存在を否定されているように感じたのだそう。
暇よりも忙しい方がいい・・・?
今の忙しい状況にそうは思えないB子さん。
休息は労働があるから楽しいのであり、毎日が日曜日では人間を腐らせてしまうというC子。
なるほど、暇だと悪い事ばかり、考えてしまうっていうのは私にも経験あります!
働いていると一時的にでも安心感を感じることができるし、他ごとを考えている余裕がなくなるから、悪い考えが浮かびにくくはなりますしね。
人は精神が豊かになっていくにつれて、自分のまわりに独創的な人間がより多くいることに気がつく。しかし、凡庸な人というのは人々のあいだに差異があることに気づかない。
B子さんはC子さんとパンセについて語り合います。
そこで、B子さんは、憧れのC子さんからパンセについて教えてもらったことで精神的に豊かになったように感じて、C子さんも、平凡な女の子と思っていたB子さんの中に聡明な頭脳を見いだしました。
まさにパスカルの言う、精神の豊かさと気づきですよね。
生きるのがつらい
定年退職したEさん。
会社を早期退職し、リタイアー生活を始めますが、自宅にいるようになると、奥さんからなにかと邪魔者扱いされるようになります。
わたしは、人間のあらゆる不幸はたったひとつのことから来ているという事実を発見してしまった。人は部屋の中にジッとしたままではいられないということだ。(中略)会話や賭け事などの気晴らしに耽るのも、自宅にジッとしていられないからにすぎない。
この言葉をカルチャースクールのパンフレットで見つけたEさんは
これだ!!!
となり、駅前のカルチャースクールに講義を聞くため申し込みに行ったといいます。
Eさんのフットワークの軽さ
見習いたいものです。
講義では、国立大学の名誉教授の講師が自身のことについて話しています。
研究者という仕事上、興味のある分野について、考察したり、論じたりして生活をしていたが、人生の後半でパンセに出会い、
うーんと考えてしまったというのです。
好奇心とは、じつは虚栄心にほかならない。たいていの場合、人が何かを知りたいと思うのは、あとでそのことをだれかに話したいと感じているからなのだ。さもなければ、人は航海などしないだろう。もし、それについて何も話さず、ただ見るという楽しみだけで満足し、そのことを人に伝えるという希望がまったくないのだったとしたら。
つまり、研究発表を誰かが読んでくれるはずという期待、虚栄心や自己愛があったということに気づいたわけです。
なるほど、私が今、書いている文章もきっと誰かが読んで
いいね!をしてくれるといいなという期待から来ているということになります。
是非いいね!をお願いします 笑
自己愛はわかりやすいですが、虚栄心ってなんだろう?と思ったので調べてみたところ、見栄を張ることだそうです。
自分は知らぬ間に見栄を張っていたのですね。
ところで、無為がなぜ辛いのか、
本書の中で語られますが、自分流に要約すると
人間はいずれ死ぬという事実を意識するから
であるのだとパスカルは言います。
人間はある意味、死に向かって生きているのであり、暇になると生きる意味について考えるのはある意味自然なことです。
しかし、気晴らしがないと、それが辛くなってきます。
考えることは人間にとって、生きる上で不可欠です。
人間は自然よりも弱く、いずれ死ぬという事実を知っています。
このことが人間を人間たらしめていて、尊いことなのだとパスカルは言います。
うーーんむずかし。
人間は弱い生き物であることを知っている。
そして自分が死ぬということもわかっていて、その上で考えながら生きているということかな。
いや、人ってすごいな・・・
死ぬのをわかっていて、絶望せずんい一生懸命生きている。
生きているだけで褒められるレベルです。
一生懸命生きている皆様、今日もお疲れ様です。
今日の格言、
人間は考える葦である。
生きているだけで素晴らしい!
で締めたいと思います。
ではまた〜〜〜