なぜ総死者数は線形に増大していくのか

2001~2021年の範囲で日本の総死者数は年数に対してほぼ線形に増大していくと考えていいと思います。なぜそうなるのかと言われると高齢者が増えているからだというのが答えなのでしょうが、それでもあんなにきれいに線形に増えていくものなのでしょうか。その辺りがよくわからないので、各疾患の死者数に分けて考えてみました。2001~2021年の範囲で、年数に対する各主要疾患死者数の推移を以下に示します。

2001~2010年の間に、循環器疾患、呼吸器疾患、新生物は共にそれぞれ約50000人増加、老衰は約25000人増加、消化器疾患はほぼ安定しています。2010~2021年の間に、循環器疾患は約10000人増加、呼吸器疾患は約10000人減少、新生物は約30000人増加、老衰は約100000人増加、消化器疾患はほぼ安定しています。

上記の各主要疾患の合計死者数は2001~2010年で約175000人、2010~2021年の間に約130000人増加しているようです。総死者数は2001~2010年で約200000人、2010~2021年で約200000人増加しているので、上記の主要疾患以外の死者の総数は2001~2010年で約25000人、2011~2021年で約70000人増加していることになります。

今回は、グラフだけから読み取ったかなり大雑把な把握であり、数値にずれはあるでしょうが、2001~2010年の増加分は循環器疾患、呼吸器疾患、新生物、次いで老衰の寄与が大きく、2010~2021年の増加分は老衰がダントツで、次いで新生物の寄与が大きくなっているのは事実だと考えられます。時期によって死者数が増加しやすい疾患は異なりますが、結果として総死者数は2001~2021年の範囲でほぼ線形に増大していく傾向にあるようです。

また、循環器系の各疾患の死者数に関して同様にまとめたグラフを以下に示します。

心疾患は2001~2010年の間に約50000人増加、2010~2021年の間に約20000人増加しています。脳疾患は2001~2021年の間に約30000人減少しています。大動脈解離は2001~2021年の間に約10000人増加しています。高血圧性疾患は2016→2017年にかけて急に約3000人増加しており、疾患の定義が変わったようです。

肺炎は2001~2010年の間に増加していますが、2015年以降は減少しています。また、2016→2017年にかけて約20000人減少しています。慢性閉塞性肺疾患は2016→2017年にかけて約3000人増加しています。2016→2017年で各疾患が急増、急減する現象がいくつか見られており、この期間でいくつかの疾患の定義が変わったことで死者の入れ替えが起こったようです。喘息死者数は2001~2021年の間に一貫して減少しています。インフルエンザ死者数は多くはありませんが不規則であることが特徴です。年によってばらつきがあり、コロナ騒動が始まる一年前の2019年が最大でした。

今回のグラフまとめからは、結局総死者が線形に増大していく明確な理由は不明でした。とりあえずその話題は置くとして、ここ最近の約20年(おそらく30年)日本の総死者数は年々増え続けているのは事実です。昨今のコロナ騒動において死者の超過に関して考察する際に、総死者の一定増を考慮に入れないと片手落ちになるので注意する必要があります。コロナ騒動の3年間における総死者数をおおまかにまとめると、2020年は傾向よりかなり少なく、2021年は傾向通りであり、2022年は傾向よりかなり多い結果になりそうです。

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