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この夏を彩ってくれた『ラストマイル』という映画。

こんにちは🏔️

映画館(と映画)が大好きで、TOHOシネマズのシネマイレージ会員になり、6本見たら1本無料の恩恵に幾度となく預かっているわたしですが、
この夏、長らく楽しみにしていた映画が公開され、見事に映画館に通い詰める日々を過ごしました。

その名も、映画『ラストマイル』。
ここではそのお話をしたいと思います。


1. はじめに


連続爆破事件の真相に迫るサスペンス映画であり、同時に、
物流から、日本社会の働き方や、人の命、家庭の姿、欲に応える社会の構造を見つめる映画でした。
多くのドラマで何度も心を鷲掴みにされてきた方々による制作。
監督・塚原あゆこさん、脚本・野木亜紀子さん、プロデューサー・新井順子さんを中心に、主演に満島ひかりさんと岡田将生さんを迎えて、豪華俳優陣が脇を固める豪華ぶり。
『アンナチュラル』『MIU404』と同じ世界線ということもあって、それぞれのドラマを愛する民が、その製作陣を愛する民が大集合。
いつ映画館に観に行っても満席で、大ヒットも大ヒットの興行収入50億円超え。
これだけでそのスケール感が、盛り上がりが伝わるでしょうか、!

何よりも、その映画の内容が、見れば見るほど染みる映画で、有り体に申せば、"考えさせられる"映画なのです。
お友達の言葉を拝借すると、スルメイカ映画。噛めば噛むほど味が出る。
(友達、ナイスワードセンス!!!)
こうなったら、大学生の限りあるバイト代の中で存分に噛み締めてやろう!と決め、結果的に4回も見にいきました…噛み締めたぁ…

2. あらすじ ーラストマイルとはー


メインで起こる出来事は、メインの登場人物である舟渡エレナと梨本孔が働く世界規模のショッピングサイト・DAILY FAST(以下、デリファス)の倉庫・西武蔵野ロジスティクスセンターから発送された商品が連続して爆発すること。
なぜDAILY FASTが狙われ、犯人は誰で何が目的なのか。
その真相は映画の中で明らかになる。
しかし、そもそもなぜ、犯人がデリファスの荷物を、注文が殺到するブラックフライデーにあえて狙ったのか。
これだけ聞くと、名探偵コナンみがすごいんですが、その答えが、そのきっかけが、観る人全ての胸に刺さる、今考えなければいけない、受け止めなければいけないメッセージを含んでいるわけで。
その中で、私がラストマイルを通じて考えたことや感じたことを、書いていきたいと思います。

※以下、ネタバレを含みます。

3. 便利な社会はどうやって成り立っているのか?という話

はっきり言ってしまうと、一度目の感想は、「どういうことだ?」と少しモヤモヤ。
なにしろ連続爆破事件を起こした計画に頭を回してしまって、頭がこんがらがってしまって。
でも、この映画が私たちに伝えたいことや、訴えていることは、おそらくその先にあって。

その一つが、

便利な社会はどうやって成り立っているのか?

ということだと思います。
スマホでポチった商品が、次の日には家に届く、なんならその日のうちに届くこともある。めちゃくちゃ便利。だけど、その便利を実現するために、多くの人が関わって、多くの人が働いて働いて、そうやって自分たちは便利を享受できている。実は忘れがちな、大事な大事なこと。

それを象徴しているセリフが、映画の中にたくさんありました。
中でも佐野親子の会話は、その多くを伝えていて、節々から感じ取っては自分の生活を見返して胸が苦しくなる。

便利な社会もいいけど、便利を支えるのも人だということを考えなければいけない。
過酷な労働が人を殺す構造を、誰かを犠牲にする産業のスタイルを、当たり前にしてはいけないんです。
それを発信できるのは、発信すべきなのは、便利を支えさせられている人たちではなく、便利を享受する自分たちなのではないのか?

自分の死を皮切りに連続爆破事件を起こした筧まりかは、本社のあるアメリカで舟渡エレナに会った時、「世界は罪を、贖(あがな)ってくれるんですか?」と言った。
ブラックフライデーが怖いと言って、8年前に倉庫内で飛び降り、今も意識不明のままの山崎(やまさき)佑は、自分が飛び降りれば、ベルトコンベアを、永遠に続く地獄を、止められると思った。本気で思った。
だけど、現実は、彼はベルトコンベアから力なく降ろされ、止まったのは数分どころかたったの数秒だった。

おそらく、筧まりかは、世界は罪を贖ってくれないと、分かっていたんじゃないかと思います。
贖うべき罪を、世界の誰も自覚していないから。
この映画を通して、自分が気づいてこなかった罪に、気づくことができた今、筧まりかや山崎佑のような人を現実で生まないために、社会が、自分が、できることは何か。考え続けないといけないな、と思いました。

4. 筧まりかが荷物の連続爆発を起こした方法

わたし自身、事件の構成が一回ではスッキリ理解できなくて、yahoo知恵袋に頼ったりネットの考察を漁ったり、友人と話したりして理解しました。
なので、勝手ながら少しまとめたいと思います。

爆弾を仕掛けた方法

セール予定の商品を事前に買う

起爆装置を仕掛ける

配送代行サービスを使って倉庫へ出品

倉庫内で識別のためのバーコードシールを剥がし、セール期間中に買われる商品と交換

セール商品として真っ先に購入され発送され、開封時に爆発。

起爆装置が仕掛けられた商品は11個だった

筧まりかが起爆装置の製造を依頼した男性は、逮捕時に、「一つはうまく爆発しないかもしれない。」と言った。
筧まりかは、そのうまく起爆しない一つを、コンロがついた部屋で自らの手で作動させ死亡。
残りの11個が購入者のもとへ。
爆発事件が全部で12件。だけど、計画通り仕掛けられた商品は11個、ということになった。
あながちエレナが言ったことは間違っていなかったことに…

5. 『アンナチュラル』『MIU404』の世界から

この映画の見どころの一つが、なんといっても、『アンナチュラル』『MIU404』の登場人物たちに再び会えること!!
そもそも、この映画は、ラストマイル×アンナチュラル×MIU404のシェアード・ユニバースヒストリーと銘打ってポロモーションが始まりました。

ただ、『MIU404』に出演していた星野源が(ラジオかどこかで)言っていた通り、めちゃくちゃ出てくるぜ!解決にめちゃくちゃ関係するぜ!という感じではなく、さらっとしれっと出てくる感じです。

なんですが!
何が良いって、それぞれの世界線が、そのまま時を経て今もなおそれぞれの世界がちゃんと存在していて、ちゃんと登場人物たちが生きているということをグッと感じられること。
それぞれの登場人物たちの過去や、抱えてきたものを少し知っているからこそ、その表情ひとつ、言葉ひとつにいろんな想いを馳せる。

機捜になって神馬さんの相棒になった勝俣くん。
バイク便のドライバーとして働く白井くん。
'西武蔵野署署長'の桔梗さん。
クソが言えない中堂さん。
研修医になった六郎。
あの毛利さんがあの刈谷さんとコンビ。

作品自体のテーマについて考えるだけでなく、登場人物のことを語れる、そんな映画。広くて深い。

こんなふうに話しているうちに、また映画館に行きたくなってきました。

ロングランにより、まだまだ劇場でも見ることができると思いますので、興味を持たれてる方はぜひ。映画館へ。


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