バイオ炭が持つポテンシャルについてリサーチしてみた
近頃、バイオ炭というキーワードを良く耳にするようになりました。
日本で注目されるようになった背景としては、J-クレジットの方法論に組み込まれたことやSBTi FLAGの影響が大きいのではないでしょうか。
ただ、世界ではもっと前から着目・研究がなされているようです。
2015年のnatureダイジェストの記事を参考に、その歴史やバイオ炭の持つポテンシャルなどを少しまとめてみました。
バイオ炭のルーツ
natureの記事ではバイオ炭の歴史が以下のように記述されています。
バイオ炭のルーツはアマゾンだったのですね。そしてその歴史は私の想像していたよりかなり古いものでした。
海外では2015年頃からバイオ炭に関して広く知られるようになったということなのですが、科学者はそれより前の2005年頃から着目をし、研究を始めたということになります。
バイオ炭の持つポテンシャル
バイオ炭は土壌改良材や脱臭剤など、さまざまな活用方法があり、そのポテンシャルはかなり高いと思います。
natureの記事では以下のように紹介されていました(一部抜粋)。
また記事では、他にもバイオ炭が土壌中の微生物の活動に及ぼす良い影響についても言及されていました。
ただし、良い面ばかりではないようで、作物の収穫量を減少させるという報告⁵や、植物の昆虫や病原体に対する防御遺伝子の活性を低下させることも示唆⁶されています。
とはいえ全体的には、バイオ炭がもたらす影響は、悪いものより良いものが多いようです。
記事では以下のように記載されています。
メタ分析のデータは2011年と古いですが、バイオ炭が収穫量に与える影響としては今も同じではないかと思います。
また、ここで記載されているように、最も効果が出やすいのは肥料が不足している荒れた土地のようなので、逆に栄養満点の土地に撒くと悪影響を及ぼす可能性もあるかもしれない点、注意が必要です。
バイオ炭の大量生産が生む危険性
原料は何が使われているのか、どこから持ってきているのか、という点にも注意が必要です。
この記事でも言及されていますが、バイオ炭の原料を木材にした場合、森林破壊や土地および生物多様性への悪影響を推し進めてしまう可能性もあります。
バイオ炭は気候変動対策に有用だと思いますが、そのバイオ炭が逆に環境問題を悪化させることのないよう、どのような過程で調達され、製炭されたのかを十分見ていく必要があると感じました。
引き続きバイオ炭をはじめカーボンネガティブに関する情報など色々と調べていきたいと思いますので、どうぞお付き合い下さい。
参考文献
1.Barnes, R. T., Gallagher, M. E., Masiello, C. A., Liu, Z. & Dugan, B. PLoS ONE 9, e108340 (2014).
2.Liu, J. et al. J. Plant Nutr. Soil Sci.175, 698–707 (2012).
5.Rajkovich, S. et al. Biol. Fert. Soils 48, 271–284 (2012).
6.Viger, M., Hancock, R. D., Miglietta, F. & Taylor, G. GCB Bioenergy http://dx.doi.org/10.1111/gcbb.12182 (2014).
8.Jeffery, S., Verheijen, F. G. A., van der Velde, M. & Bastos, A. C. Agric. Ecosyst. Environ. 144, 175–187 (2011).
上記のようなリサーチはもちろん、LCA算定やScope3評価、生物多様性評価などもやっておりますのでご相談があればお気軽にお問い合わせください!