長旅移動中に読む本
初めに
私は人並みに車酔いをするタイプで、飛行機>タクシー>その他の車>電車・新幹線の順で酔いやすいです。飛行機は風が強い日にがたがた揺れるともうどうしようもないのですが、たいていは寝ているので何とかなります(数時間程度の距離しか乗ったことがないからかもしれませんが)
タクシーやその他の車はそもそも本を読まない、となると電車や新幹線移動の時にはここぞとばかりに本を取り出します。
人生で最長だったのは新幹線で最寄りの駅まで行ってそこから4時間くらい在来線に乗って移動しないといけない場所に行ったときでしょうか。とにかくずっと線路の上を移動していました。その時も本を持って行ってずっと読んでいました。
今回はそんな長時間移動の時に読む本がテーマです。
abさんご・感受体のおどり/黒田夏子
これは最近読んだ中でも一番の衝撃的な読書体験でした。abさんごで芥川賞を受賞したのが10年前ということですが、その当時独特な文体(平仮名の多用)と著者の年齢で話題になっていたのを覚えています。なぜあの時に読まなかったのか…!と後悔しました。
前情報の通り、平仮名が多く横書きです。漢字が全くないわけではないのですが、これが読むのにとっても時間がかかりました。文庫本なのにこんなに時間かかる…?というくらいずっと読んでました。長旅に1冊持っていけば充分暇はつぶれるはずです。
久しぶりに、読んでいる途中で「これは再読しなければ!」と思い本屋に走ったのですが、どうやら絶版状態で市場には新品が出回っていません…(図書館で借りていた)
ネットにあるものも古本でなおかつ定価より高い。プレミアがついてる…。
ということで、今は巡り合える時をじっと待っています。再販されてほしい。
アコーディオン弾きの息子/ベルナルド・アチャガ
おなじみ新潮クレスト・ブックスから出ているバスク文学です。ソフトカバーなので持ち歩きも(ギリギリ)大丈夫かと思い選びました。
長旅の時は自分の住んでいる場所から遠いところに行くときだと思うので、遠いスペインの地に思いをはせてみるのはいかがでしょうか。
この小説自体が長いということもありますが、壮大な話であれば旅の間も飽きずにじっくり読むことができるのではないでしょうか。バスク地方に対しての知識がほとんどないまま読んだのですが、それでも楽しめる本です。
あの空の下で/吉田修一
ANAの機内誌で連載していた作品をまとめた本です。そうとは知らずに読んで「飛行機がよく出てくるなあ…」と思いながら読んだ記憶があります(前情報を一切入れずに読んでしまう弊害)
飛行機の旅の時はもちろん、遠くに行くときに旅気分を演出するにはもってこいだと思います。短編のためすぐに読み終わってしまうかもしれないので、旅の前に気持ちの準備として読むのもいいかもしれません。
ミトンとふびん/吉本ばなな
タイトルがよく、表紙がきれいだったので読んでみた本です。ヘルシンキへ旅をする2人の話。旅することは現実を少し置き去りにして、身軽な状態で非日常を味わえることかもしれません。嫌なことがあっても、重たい仕事が家に帰れば待っていても、旅に出てしまえば強制的にそれらと離れることになります。
ハッピーな気分になるというよりは、深みを感じる作品です。静かな気持ちで旅を楽しみたい方はぜひ。
終わりに
長旅をするなら、読み終わらないものを…!と思ってしまいがちだということに気が付きました。ページ数と文章の読み進めるスピードを勘案して…とコスパを重視し始めてしまうのはよくないですね。旅にまつわる本を読んだらまた紹介したいと思います。