タヒチの星の下18話BL
キミと見た南十字星
時間が、いつもとは違って、ゆっくりと流れるのはどうしてなんだろうと思っていた。白い砂の浜辺にタオとボクが座って遠くの海を見ていることがこの美しい景色の1部になっていると思うと嬉しかった。海の沈む夕陽を見ながら素敵なキスをしてこんなにも赤やピンクオレンジと織り上げてゆくものなのだろうかと思う。壮大な自然がボクらを祝福しているようだった。
バンガローのポーチで食事を終えて----------------------
ボクは、静かな波音を聞きながらタオの話す声に一つ一つ自分の気持ちを重ねると、とても言葉にできない幸せな気持ちと安心感がありました。
「トニー浜辺を歩こうここは明るいから少しでも暗い方が星は見やすい」「そうだね」ボクらは手を繋ぎ浜辺を歩きました。いよいよ南十字星をこの目で見ることができるんだと興奮していました。「この辺でいいだろう。人も見えない」腰を下ろし「横になるんだ」言われた通りに横になると「トニーそのまま仰向けになってオレの上にこい」「タオの上に?」「そうだ」ボクらは重なり「いいか。オレの右手を持つんだ」静寂に包まれた空間は
波音が柔らかく響いている。「動かすぞ」右の方向からゆっくりと天に向かうタオの指。瞬く星の光が美しい。「縦に1つ真下に1つ、横左に1つ、その右に1つ。これを繋ぐと十字になる」見えた瞬間「こ、これが南十字星!」思わずボクの声は震えていた。初めて見た南十字星は薄いピンクで瞬き、他の星より小さいけど十字に見えた。
「太古のタヒチ人は、この星を見て島を見つけ航海していたんだ」
「もう1つこれをお前に」「ん?なに」ボクはタオの体から起き待っているとタオは、携帯を取り出し、ムービーを見せ始める。それは楽しかった誕生日トムやマーガレットのボクに対するメッセージだった。みんな酔って大騒ぎをしている。懐かしい。微笑んで観ていた。
パーティー会場の隅でゴソゴソと音声が入る。
映されたのはトムだ。
トム---------
Yoトニーお前がシアトルに来てもう何年になる?お前が苦しくて悩んでいる時に俺は,聞いてやることしかできなかった。でもお前はよく頑張ったな。
タオも俺もみんな友達はお前の味方だ!明日もお前がタオと笑ってられるように俺は願ってる!じゃまたなー。
マーガレット----------
酔ってるわーゴメン。トニーあなたは、あたしの特別な友達よ!先に言っておくね。童話の中のようなお姫さまも王子さまもこの世界にはいないけど、トニー!あなたには,タオというあなたの王子さまが目の前いる!同じ魂を持った彼を信じるのよ!トニー愛してるわ。投げキスー
このメッセージを観てボクは涙が止まらなかった。タオに肩を抱かれ髪にキスされて嬉しさを抑えることができなかった。「トニーお前はみんなに愛されてるんだぞ!」「こんなボクを…」「お前という人間をみんな好きなんだ」
タオに手を握られて立つと力をこめて抱きしめられてRod Stewartロッド・スチュワートの「Sailing」をハミングで歌いはじめ自然にスローダンスが、
はじまった。
I am flying,
I am flying
Like a bird
Cross the sky
僕は飛んでいます
僕も飛んでいます
鳥のように空を越えて
I am flying,
Passing high clouds
To be with you,
To be free
僕は飛ぶ
通り抜けて もっと高い雲を
共に生きるために あなたと
自由になるために
Gavin Sutherland/Eng ---Tachibana IPPEI/JP 翻訳
波が足首に優しく当たり2人だけの世界は時間が止まりスローモーションの映画の中のシーンようにタオだけの声が響く。目を閉じて両手をタオの首に回し、胸に顔を付けてタオのハミングを聴いて踊る。甘いタオの息が時々香る。タオの声がボクの魂に触れ、とりとめもなく涙が流れる。「愛しているタオ…」「オレもだ…トニー」また強く抱きしめられてゆくー
5分ぐらい踊っているとボクの背中に温かい気配を感じる背中も、腕も目を閉じているのにこの感覚はなに?マオヒがボクに近づいているの?ボクは、そう思ってタオに話そうとした。今度はボクの手を実際に触って一緒に踊る気配に、たまらず目を開ける。トム!マーガレット!ボクは驚き幻かと思ってわが目を疑った。「え!」「本物よ。トニー」「俺は違うけどな」「オレが呼んだんだ。お前を驚かせたくて」また大きな声でボクは泣き始めた。
「Oh my gosh!トム?!マーガレット?!」
ボクらは4人で同じようにスローダンスを固まってハグして踊った。
「お前達のハネムーンを邪魔したな」「ステキなところねートニーとタオの愛が本物ってわかったわ」タオは何もしゃべらず、すすり泣きしていた。
「タオがな。毎日遅くまで仕事して何が目的なんだと問いただしたんだ。そうしたらタオがトニーを家族に紹介して、ゆくゆくは結婚したいと言って、トニーを連れてタヒチに行くって、そして、ここからだ。タヒチにはある習慣があって、その習慣をトニーが承諾したら俺とマーガレットも招待してここのボラボラ島で南十字星を見せる約束の日にお前たちと一緒に祝いたいと言ってな。この日までトニーにずっとバレないように秘密にしてたんだ」
「トニーと一緒に買い物したよね。その夜にタオから電話で呼び出されて、トムと同じ内容のことをタオに言われて、凄いって思ったわ。ぜひ協力するって約束しちゃった。入念に計画して、プロポーズを受けてくれたってメールがきた時、ヤッターって思わず叫んで泣いたわよ」
「2人ともオレ達のために来てもらってありがとうな。結婚を受け入れてくれた時は、もう嬉しくて嬉しくて二人に話した時はーどう説明していいのか…」「タオは俺に報告してる時に泣いてたぞ!」「いうな!トム!」「うんうん幸せなデレデレしたタオの顔が浮かんだもん」
「ほんとタオのすることは凄い!あたしにも南十字星を見せてよ。どこ?」
「オレの体には乗せないぞ!」アッハッハッハと笑ったタオ。
「わかってるわよ」アハハ!
「おめでとうタオ、トニー幸せになってね」「ありがとうマーガレット」「いいな・・・その幸せ少し俺にも分けろよ。おめでとうタオ、トニー」「ありがとう」
「いつまでココに?」「もう1日ボラボラにいて2日後には帰るよ。ほとんど邪魔しないから大丈夫よ・・・」「これからバンガローで乾杯しようぜ!」「賛成!」「そう思ってフロントには頼んでおいた!飲むぞ!」
万と瞬く星を見ながらボクらはバンガローに戻り
寝ることを忘れ祝杯を上げたのでした。