見出し画像

【雑文】妻の仮面が剥がれたとき

まさか?
こんなことがあるのか?

俺は静かに寝室のドアをしめた
さあ、どうする?

聞かないふりができるほど
俺は人間出来ていない
何か考えなくてはいけない

そうだ、思い付いた
育児につかれるだろうと別室に移ればいい

それからのことは後で考えよう

そうだ、今夜から移ればいい
俺が帰ったのもわからず眠っているのだから

何も言わないだろう


あの夜からどれだけの時間が過ぎた
俺の耳に残るあの声

俺は知っていて結婚に踏み切ったはずだ
そのことは過去の出来事だと

妻は俺がすべてを調べたとは考えていない

今は便利だ
金さえ払えば調べてくれる

そうだ、俺はあの報告書を見ても結婚したのだ
心を信じた

が、妻を抱くたびに感じた
妻は俺に抱かれていないと

そう、妻はあの夜に声にした男に抱かれている
俺の体をすり抜けて
あの男に抱かれていた

抱くことも虚しかった

あの男にならされた身体は
俺は汚らわしさしかなかった

妻に触れるたびに吐き気がしていた

男の欲望だけで抱くにも限界が来ていた

俺はオスにはなれなかった
そうだ、なりきれなかったのだ

妻を愛したはずだ
愛せると
あの調査書を受け取った時決めたはずだ

男とは弱いものだ

彼女が時々見せる
女のしどけない姿に嫌悪感を感じる

妻が女の本性を見せたとき
俺は二度と触るまいと決めた

で、寝言で無意識に男を呼んだ
あの声は雌そのものだった

離婚はしない
子供も調べた
妻もそれほどバカではなかったようだ

何処にもある
家庭内別居なんて
俺はそれで生きていく

誰のためかわからないが
今度こそ
そうして生きていく

彼女が、これから先
妻の顔で生きるか
女になるか、

どちらになっても俺は受け入れないだろう
俺は雄の自分も閉じ込めた
俺は男にもならない

ありがとうございました。
男の悲哀です



いいなと思ったら応援しよう!

雪絵
サポートありがとうございます。頂いたサポートはクリエイターとし活動費費としてつかわせていただきます