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「散文」幼な心に知った大人の事情

「・・・チャンのお母さんが僕のお母さんを追い出したんだよ」

母の実家に遊びに行っていたときに従弟に突然言われた

この従弟は遠くに住む人で

夏休みに久しぶりに会う1歳下だった


私は自分の家が複雑だったことは肌で感じて育っていた

よその家にはお祖母ちゃんがいたが私にはいなかった

お祖母ちゃんは子供の私が歩いて15分くらいかかるところに住んでいた

が、行ったことはなかった

何故だか、わからないが行っては
いけないとだけは雰囲気で感じていたから

それが今度は母の実家で従弟から言われた
「ここの家は本当は僕たちの家だったのに
・・・・チャンのお母さんに僕のお母さんは追い出されたんだよ」

衝撃な言葉だった。
あんなに仲良く遊んでいたのに
意味が解らなかったが
誰かに聞いてはいけないということは子供心にはわかった

それから、私は大人の話を黙って注意深く聞くようになり
言われた言葉の意味を理解した
母の弟、つまり、叔父の存在だ
この叔父がなぜ、母の言うなりだったか
おばあちゃんが私たち兄弟を大切にしたか分かった

で、父のお祖母ちゃんが家にいない理由もわかった

母は策を講じたのだ
従弟と思っていた人は従弟ではなかった
従妹はこの人のお母さんが従妹だった

で、この人が母の実家の正当の相続人だった
叔父とは1歳違いの叔父と姪だった

従妹のお母さんは長女で婿取りとして結婚した
この人は私の母の一番上の姉だった

その同時期に母の弟、叔父が生まれた
このお母さんが生きていれば運命は変わっただろうに
産後の肥立ちが悪く亡くなったそうだ
で、父親は追い出されたそうだ

それも母が仕掛けた

で、残された1歳違いの叔父と姪は同じ屋根の下で育つことになり

成長すれば起こりうることが起きた

叔父と姪なら結婚もできただろうに

おばあちゃんたちは許さなかった

が、この従妹はその家の財産の名義人になっていた

御祖父ちゃんが男の子が生まれないと思い
結婚する長女に書き換えてあったと聞いた

となると家を出るべきは叔父のはずが
母は策を講じた、

これをお祖母ちゃん、お祖父ちゃん、
とすでに男と女の関係の叔父までが
この始末を母に頼んだそうだ

結果的に全財産を奪い取り姪っ子を追い出すことに成功したのだ

私が成長してから従妹となる人には
母の残忍さを聞かされ
母の狡さと目的には非情だと知った

で、この母の生きざまが
私の人生を大きく狂わすことになったとは
気付かなかったのだから幸せな人だったとおもう

父が言った
小嶋にも兄達にも
私にはかまうなと言ったのはこのことだった
母の血を引いている私は
母同様に
善悪なくどんな手段をも持ちえると

それが小嶋を崩壊させ

で、今の私がいる

私には愛を求める資格もないのだろう

なおのこと

母の生きざまを見てきて
自分がどんな人間かも理解している

母から受け継いでいるすべてが
恐怖になる

父が言った
先々はこの家に戻り静かに暮らすように
これは、父の精一杯の思いやりだったような気がする

こんな人生もあるものです
最後までお付き合いいただきありがとうございました





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雪絵
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