【その18】女と男の世界、私は一度聞いた声は忘れない
女が一人休みむとの連絡があった
熱を出したとか
昨日は元気だった
「熱なんて噓だよね」
1人が言い出した
これが本業の女だ
聞こえたが返事はしなかった
何も平日に休むことはないだろう?
これでバレなければ問題は起きない
私は誰と誰が何をしようが構わない
やることは一つだ
仕事を休んでも付き合う価値はあるのか?
その時はあったのだのだろう
美味しい話を聞かされていたのを知っていた
カウンターとは便利だ
ここからはボックスが見える
女と男の様子もわかる
どの程度の親密さかも分るようになった
飲みに来るだけのお客
金目当てのお客
女がほれ込んだお客
私が気づかないと思っている
女は変わるのだ
グラスを持つ手、話しているときの声
座り方、
それを馬鹿気にみている
酒を飲みながら見ている
10人いればいるで面白い
それ以上は詮索しない
此処にいる女たちはプロだ
私はどこまで行っても素人だ
ここがいいのだ
で、翌日出てきたので
私は、自宅謹慎にした
理由は言わなかった
男にも電話をした
女をやめさせたと
今後面倒を見られるなら見ればいいと
出せもしない金をちらつかせて釣ったのだ
だが、この男はだめだ
が、見た目はいい男だ
引っかかったのだ
金を出す男を探すのもこの仕事のうまみだ
だが、駄目な男もいる
この男が誰かだ
私は一度だけ電話で話したことがあった
知らずに話してしまったのだ
そうだ、
こいつに足元をすくわれる
こいつは社長の嫁の兄貴だ
私が気づかないと思っていたのだ
声を聞いたときにすぐに分かった
で、こいつはいつも一人で来ていた
物色していたのだ口の軽い女を
社長の何かを知りたかったか
妹のためか
分らないが、
面倒ことはお断りだ
社長に話すか迷ったが黙ることにした
私はどこまで行っても夜の女だ
この狭い空間で生きる駕籠の鳥だ
どんなにあの男に力があっても
それを誇らしく生きられるのは
妻という肩書の女だけだ
だから、飲みに来ることを誘わない
さあ、今夜ももう少しだ
今夜は何を食べようか?
12時だ!終わった
ありがとうございました。
今夜もよい夢を見てお休みください