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[その4】女と男の世界、誕生日だ!私の年齢の本数のベルベットのバラの花が届いた

店に寄せて止まった
真っ赤なベンツ、

花束を持ってきた
この花は特注のようだ
普段花屋にはおいていない
売れもしないだろう

こんな花を恥ずかしくもなく持ってこられる男
1人しかいない

「元気か?」
「忘れていなかったの?」

「忘れないよ、お前が初めて欲しがったものだ、
俺に初めて強請った花だよ」

「ここで受け取るとは、あの時は考えていなかった」
店の中がざわめいている

「男だって勘違いしているよ」
「誰も見たことがないから、パトロンだってね」

「お前のパトロンにはなれはしないよ」

「そうだね、忙しいもんね」
「なにが?」

「女周りがね。ご機嫌伺がいが忙しいでしょう?」

「辛くなったら戻ってくるか?」

「戻る場所なんかないのに、
平気で嘘をつく社長好きだよ」

「なあ、俺はこの仕事のお前は見たくないよ」
「お前には無理だ」

「この世界では生き抜けないよ」
「わかっている。潰れることは覚悟している」

「パトロンを探すか?」

「社長、なってみる?」

「さっき言っただろう、
それにこういう仕事の女は嫌いだよ」

「変なの、女、何人侍らせているの?
私が知っているだけで何人だと思っている?」

こんなやり取りで時間は過ぎていった

お客が入りだした、
カウンターの客と花束を見て怪訝な顔をしている

「店のわきの赤いベンツ駐車違反切られるよ」
「パトカーが通ったから」

「だって、ありがとう、嬉しかった」
「帰るよ」
「飲みに来る?」
「来ないよ、嫌いだって言っただろ」

見送りに出た時にいつもの車から
男が下りたところでこちらを見た!

社長に抱きついてキスをして見せた
社長は何かを感じたか
私を抱き寄せキスに応じて見せた
このくらい人前でもできる男だ

この男が誰か知らない
この界隈では飲んでは歩かない
こんな夜の女を見て楽しむような男ではない

「お前も役者だね、誰だ、あの男は?」
「見たの?」
「お前がこんなことしないのは知っているよ」

私だってできるさ

にっこり笑って見送って見せたのだ。

男が近づてくる
危ない、お店に入ろう。

ありがとうございました。
今夜もよい夢を見てお休みください

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