HP用2 既存の塗装材料費算出の仕組みの矛盾点とペイテムの実数計算が必要な理由
1.初めに
主に保険会社とのやりとりで発生する塗装材料費が高いのか安いのか問題。
ペイテムで正確な原価を知ることが出来る私からすると、大多数の板金塗装店とアジャスターの全てが、高い安いの判断材料もなく分からずに感覚で交渉しても折り合いが着かない事は当然なのかなと思います。
そして、現在主流の塗装材料費算出の仕組みと矛盾点に双方とも気付いていますか?
私はペイテムで計算することより、交渉がスムーズになることを経験していいます。
アジャスター側は全塗料メーカー、全ての塗料の価格を把握する事は不可能ですので、我々板金塗装店が保険会社に対して納得の出来る資料を提示し、「なぜ高いのか」「なぜ安いのか」を教える立場に成っていかなければなりません。
2.矛盾点①
レバレート×指数×塗装方法によって定められた% = 塗装材料費
前提として、同じ修理を別の会社がおこない、同じ材料で同じ使用量だったとします。
まず、ディーラー系列のような大規模な板金塗装会社を「A」とします。
レバレート 10000円
指数 8.2
ソリッド 14%
10000×8.2×14=11480円 これがA社の塗装材料費です。
小規模の個人事業の板金塗装会社を「B]とします。
レバレート 7000円
指数 8.2
ソリッド 14%
7000×8.2×14=8036円 これがB社の塗装材料費です。
A社は年間の材料消費量が大きい事が考えられ、仕入業者から一般的な価格より割引で仕入を出来ていると考えられます。
B社は年間の材料消費量が少なく、一般的な仕入価格となっているでしょう。
塗料に定価やメーカー希望小売価格が存在するとすれば、「この価格の○○%で納品します」と板金塗装会社毎に商社が設定するのでしょうが、塗料や副資材には基準となる価格が存在しない、所謂オープン価格です。
メーカー希望小売価格24000円の塗料を、ABそれぞれの会社が想定の割引率で仕入しているとします。
A社 24000×50%=12000円 上記塗装材料費11480円
B社 24000×80%=19200円 上記塗装材料費 8036円
一般的に、流通量により仕入価格が変わる仕組みはこのようになり、B社は仕事をし見積もりソフトを使っているだけで赤字を垂れ流す仕組みで、システムとしては破綻していると言っても良いでしょう。
見積もりソフトで採用されている塗装材料費算出の仕組みは、市場原理に反しており大規模な事業所程、採算がとれる仕組みで有ることが分かります。
3.矛盾点②
ソリッド14% 2コート16% 3コート20%
この数字に疑問は有りませんか?
ソリッドは本当に2コートや3コートよりも本当に安いのでしょうか?
私自身、「3コートは材料費が高い」と思って疑いもしていないうちの一人でした。ペイテムを作るまでは・・・
ペイテムを使い2000色以上の調色データを試算し、システム化していますが、答えは上記3パターンのパーセンテージだけで区分できるほど簡単なものでは無い!
この仕組みでは「K1X」や「070」というパールの配合量の少ない白系の塗色では、認められているパーセンテージが大きいので、原価割れを起こしにくい状態となっています。
簡単言えば、上記の塗色の原価はさほど高くなく、ソリッドの方が高価な塗色が多く存在します。
一方、「3P0」などの赤系ソリッドでは3コートのパーセンテージを採用しても原価の半分ほどしかでません。(貰える金額の倍近くの原価が掛かっています)
4.矛盾点①②のまとめ
上記の通り、ペイテムは小規模な板金塗装店ほど必要性の高いシステムであることはご理解いただけましたでしょうか?
かといって大規模な事業所には不要なのか?と言えば全くそうでは有りません。
「塗料と副資材の原価計算結果と請求価格の例で利益率の大きさを確認」を読んで貰えれば、自社の仕入価格をベースにシステム化している会社でさえこのシステムを使う事の優位性が分かって貰えるはずです。
5.実数計算が必要な理由
上記1~4を読んでいただいて実数計算での計算の必要性はご理解していただけたと思いますがもう少しだけお付き合いください。
見積もりソフトは誰が操作しても同じ結果になるように作られているようです。
ただ、塗料においては塗料メーカーや種類によっても大きく違いますし、水性か油性かでも隠蔽性の差による使用量が大きく異なります。
そして、同じカラー番号でさえ、車種が変わることによって調色データが代わり、原価額が大きく変わることも有りますので、パーセンテージでざっくりとは雑すぎます、今後の板金塗装業界では実数計算が必須となっていくでしょう。
作業をしない事務員の方でも、板金塗装材料の記録シートを使う事により入力すればとても簡単に計算結果が出せ、請求漏れを防止できます。(社内での記録シートの内容伝達システムは各自で行ってください。)
実数計算は見積もりソフト内でも認められた行為となり、実際に使った分量の請求をする事は至極全うな事であると考えています。