4日の日記

さっそく、またさぼってしまった。さぼったというと、なまくらなイメージが強いけれど、致ししかたないといったところ。自分を時々休める必要もあることを、思い知った月曜で、週の始まりだった。
 相変わらず、思考し、思惑している。どうやら言葉の意味はどちらも同じだそうだ。つまり、考えに考え、頭は休まっていない。午前中からひどい眠気があった。内蔵が疲弊している。体が重い。きっと世の大勢の人が抱えている苦痛をわたしも、御多分に漏れず感じているだろう。他人の体調不良自慢ほど、関係が遠ければ遠いほど、興味が遠のくというか、どうでもよいがな。と思う。でも、マクドナルドの難病の子供の家族のための施設とか、苦しんでいる人や困っている人のドキュメンタリー番組には感情移入する。そして、わたしの職場には、病気の人がたくさんいることもあって、私自身がほとんど間接的に関わり、だったりする事が多いけれど当事者に寄り添う場面もあるのだ。その差は何かと考えたとき、演出の違いがあげられるのかもしれない。どれもこれも、真実なのだ。苦しみも、悲しみも、喜びも、当事者にとって、刹那であっても、真実なのだ。だから、わたしは、感応する力を、自分に悔いないように磨かなければならない。

 背中が板張りの住宅になったように、重く、夕方にはますます悪化するようなきがしてきたため、よし、マッサージにいこう、と決心する。仕事中だったため、店を調べることもできず、もんもんとしていたが、終業後なんとか帰宅途中にある大型スーパーの中にある足圧マッサージというところに予約をとることができたため、直行する。
 いつものバスに揺られながら、佐藤泰志の未収録作品集をパラパラめくる。颱風伝説が掲載されていた。読み途中、狂伝 佐藤泰志でも言及されていたやつだ。紙の上の文字が与えてくれる出会い。うれしい。知っていることと、もっていることと、これから読んでわたしが新しい感想をもち、わたしの血や肉になっていく言葉に出会えることがうれしい。すぐに、スーパーの前の停留所に到着。下りてソッコーで、トイレに駆け込み、すっきりしてから、お店に入る。

 リラクゼーションを目的としている店は、わたしのイメージでは薄暗く、眠気をさそう店舗のインテリアが多いけれど、そこは蛍光灯ガンガンの店で、スーパーの食料品売場とは少し距離があるが、喧噪が店まで十分届く距離感で、ガンガンした蛍光灯のもと、最初の受付や問診を行い、施術してもらう。
 いつも買い物で利用する空間からすこしはずれたこの場所で、わたしはうつぶせになり、知らない女性に足で施術を受けている。ポイントが十倍だと店のおなじみの歌が流れて、ここまで届いている。かすかに、店内にもリラックスできそうなBGMが流れているけれど、ほんのかすか。耳をすまさねば聞き取れなかった。

 担当してくださった女性は、とても感じのいい人だった。少しの警戒心と接客の心得を十分にもった、ちょうどよい人だった。あまりに如才ないと、今度行くときに心のハードルがあがるし、もちろん無愛想とか俺俺系だと無理。とにかく、リンパがどろどろで、肩や腰や筋肉がごりごりで、運動しないとダメですよーといわれた。終わった後は体が軽くなる。会員登録をまんまとしてしまい、現金が厳しいのでカードで払う。もう、家計簿を数ヶ月やってない。っていっても、今年の五月位からやり始めたんだけど、また頓挫してしまった。頓挫に次ぐ頓挫で生きてる。いろいろと、参っていたから。平穏などないと思うと、憂鬱、同時にこの経験が体験がなければわたしは小説家になることを夢見ることはなかったと、自分を励ましつつ。

 店をでて、バスの時間を調べる。マッサージに行ったことで、自分の味方を得たような心強さを確実に手に入れた感じがした。お金で買ったサービスだけど、これもひとつの出会いの形だ。わたしは人と関わるのが、そんなに得意じゃないし好きじゃないけど、これからはいろいろ、よい面も悪い面も露出していこうかなと思った。最近家族のぐぢゅぐぢゅの、化膿した傷を見て思った。心配で防水のテープとかあててやっていたけど、本人は剥がしてしまうから、放置してたけど、見たらなおっていた。見えないものもそうかもしれない。自分で扱いあぐねるこの感情も、空気にさらすことでまた違う結果になったりするのかもー。

八月に坂口恭平のライブを見たことや、植本一子の本を読んだ影響下に置かれている。うれしい。流されるままにやってみてもいいのかもしれない。

 バスは札幌駅前行きに乗車する。人はちらほらで、空席が目立つ。夕方を過ぎてしか乗ることはないけれど、中心部に向かうこの路線が込み合うのは豊平区に入ってからだ。寂しい車内で、薄く揺られながら、わたしは夕飯をどうやって、楽しようか考える。
もうつかれるのはごめんだ。でも、死ぬまでつかれてるのだろう。

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