白河へ行くなら「山田パン」〜一番人気のあんバター、3色ロールにスパゲティサンド、ハード系も美味しい万能ローカルパン屋さん
地方へ行く予定があると事前に必ずパン屋は探しておく。駅から多少遠くても、バスを使ったり小一時間程度までなら歩いて何とか向かう。それくらい地方のパン屋、それも個人店が好きである。
この手のパン屋の好きなところは、どこにでもありそうで実際にはそうではないこと。「地方」と言っているが勿論都内や大都市にあっても構わない。条件はその街に馴染み、街に合った特色が感じられること。その点では「パン屋のパン」のみならず「ローカル製パン会社のパン」にも同じほど目がない。
さて、今回は白河に寄る予定ができたので、着く時間帯に行けそうなラーメン店を数店と直売所、福島と言えば外せない「柏屋」の支店、あと行けそうなパン屋があれば…と検索していて見つけたのが「山田パン」。
これは良い、確実に良いぞ…と行く前から確信していた。商品ラインナップが実に好みなのだ。それにこの店構え!大変に良い。たまらない。
正面の全景だと少々わかりにくいが、ショーケースに飾られているのはハード系のパンたち。この辺りも興味をそそる。
さてさてさっそく入店。あまりに好みのパンが多く、少々我を忘れそうになったがなんとか自制。トレイに無理なく載る品数に抑えた。ひとりで行ったらおそらくもっと買っていたであろうが、夫がいると多少はその目を気にする。
という訳で厳選されたのは一番人気のあんバター、ハード系好きとしてはフランスパンとライ麦系の両方を試したくてプチプランスとカンパーニュスライス、それに食パン生地とコッペパン生地をひとつずつ、と懐かしい3色ロールとスパゲティサンドを選んだ。コッペ系はハムサンドにも大層惹かれたが、上にのった赤ウインナが駄目押しとなった。
加えて福島、それも郡山付近に来たならやはり買いたいクリームボックス。「山田パン」では「白河版クリームボックス」として売られていた。買わない訳には行かない。ああ、良いセレクト。我ながら満足である。
その日の夕食は買ったもので簡単に済ませようと思ったが無性に刺身が食べたくなり、自宅近くのスーパーにも寄った結果こんなことに。
なお、白河の直売所「り菜あん」はとても良かった。昼頃行っても野菜も果物もたっぷりあってどれも新鮮ピカピカ、たいへん安い。立派な赤紫蘇は早速塩でもんであく抜きし、塩漬け中の谷沢梅をしそ漬けにした。
見るからに瑞々しい水茄子はカルパッチョに。美味しかった。味噌かんぷらも甘過ぎず、新じゃがの美味しさが引き立っていた。
さて、肝心のパン。夕食用には3色ロールとスパゲティサンドを切って出した。
3色ロールはたまご、ハム、ポテサラとどれも食べたかった具。個人パン店へ行くとだいたいサンド系もひとつは試すが、ロールサンドは久しぶりに見た。食パンサンドは薄切りが好みであるのに加え、ロールサンドはパンがしっとりしていないとつくれない。二重の意味で良い。ハムが思いのほか厚めなのも、近くの中高生に愛されそうな感じで実に好ましい。
その点ではスパゲティサンドもおそらく懐かしさにつられて手に取る大人だけでなく、ボリューム命の中高生にも愛される一品だろう。断面を見ると驚くほどたっぷり惜しみなくナポリタンが挟まれている。なのに食べやすい。スパゲティがずるっとはみ出て来ないのだ。予めパンの底近くまで深く切り込みを入れ、しっかり挟み込まれているからで、調理パンひとつ取っても手抜きのない丁寧な作りである。赤ウインナが半切りにされず、気前よくまるごと2本のっているのも良い。
後日食べたカンパーニュも軽くて美味しかったし、あんバターはさすがは一番人気と頷けるこってり感(バターとマーガリンが混ぜ合わせてあるとのこと。納得)。
クリームボックスもクリームたっぷりで、裏面をトーストした山型パンに塗ってあるところにも個性が出ている。
共通して言えるのは「生地が美味しい」という、当たり前のようで実はかなり貴重なことだ。
山田パンのパンは種類毎に歯ごたえが異なる。各商品の特性に合わせた食感にこだわり、練り分けているのがわかって嬉しくなる。どのパンを食べても柔らかい店や、何を食べてもボソッとしている店はよくあるが、山田パンのパンには柔らかめからコシのあるしっかりした歯ごたえまで各種の食感が取り揃えられている。これはなかなかない。
それに所謂「街のパン屋」には珍しいハード系にも力が入っていて、白河付近まで行くなら途中下車や寄り道してでも行きたくなってしまう。
たまたま出掛けた先でこういう良店に出会うととても嬉しく、その街の好きさ度合いが上昇する。また那須どうぶつ王国へ行く際には必ず白河へ寄ろう!と夫と頷き合ったのであった。