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各政党「脱炭素政策」を読み比べてみた②立憲民主党は「2050年再エネ100%」ぶち上げ


綱領には「原発ゼロ」への強い思い入れ

さて、本業が忙しくだいぶ日付があいてしまいましたが、各政党の脱炭素政策比較シリーズ第2回。今回は野党第1党の立憲民主党です。

まず、基本路線の宣言とも言える「綱領」の3番目、「(ウ)多様性を認め合い互いに支え合う共生社会」の中にこんな記述がありました。

地域ごとの特性を生かした再生可能エネルギーを基本とする分散型エネルギー社会を構築し、あらゆる政策資源を投入して、原子力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会を一日も早く実現します

「再エネ」と「原発ゼロ」に「あらゆる政策資源を投入する」とありますから、これは相当な意気込みを感じます。が、立憲民主党としてはかなり「原発ゼロ」への思いが強く、再エネの導入はあくまで「原発ゼロ」を実現するための手段である、とも読めますね。3・11の原発事故の時に政権を担って苦労した経験が影響しているのかもしれません。

「脱炭素」や「気候変動対策」については、「(キ)世界の平和と反映への貢献」の項目に、

私たちは、国際連合などの多国間協調の枠組みに基づき、気候変動などの地球規模の課題にも正面から向き合い、国際社会の恒久平和と繁栄に貢献します

とありました。綱領の最後の項目である(キ)の中の、しかも世界平和文脈で出てくるあたり、あんまり党としてはフォーカスしていないようにも読めてしまうかも? どうでしょう。


立憲民主党公式サイトの「綱領」より

自民党と明らかに違う「再エネ普及」本気度

詳しい政策については、立憲民主党HPの「政策集」にかなり詳細に載っています。自民党がこういう政策の詳細をぜんぜん載せていないのと比較すると、評価されて良い姿勢だと思います。というより、普通これくらい載せるのが当たり前なのか…。

ではさっそく、「エネルギー」の項目をみていきます。こちらの冒頭には、こんな文言が。

気候変動は人類存亡につながる人類共通かつ最大の脅威であり、その影響はこれまでにない厳しい気象現象や生態系へのダメージなどの形で顕在化し気候危機といわれる時代を迎えています。将来世代への責任を果たすため、あらゆる施策を総動員し、気候危機からの脱却を実現します

お、綱領とは打って変わって、気候変動対策への強い決意が語られていますね。ここでも「あらゆる施策を総動員」とあります。これはかなり期待できます。より具体的にはどうでしょう。

気候危機対策を強力に推進し、2030年の再生可能エネルギーによる発電割合50%および2050年100%をめざし、2050年までのできる限り早い時期に化石燃料にも原子力発電にも依存しないカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)達成を目指します。

まず自民党と分かりやすく違うのは、〈化石燃料にも原子力発電にも依存しないカーボンニュートラル〉という点です。自民党は原発も活用した脱炭素をうたっていますし、後に述べるように「化石燃料に依存しない」と宣言する気もなさそうですから、ここは根本的に違いますね。

また、自民党政権下で決まった「第6次エネルギー基本計画」では、2030年の再エネの導入目標は36~38%にとどまり、2050年については電源比率を示していません。だから、立憲民主の掲げる「2030年に50%、2050年に100%」というのはかなり強固な再エネシフトと言えそうです。

その他、詳細な政策を読んでいくと、上記の目標を達成するために、世界と比べてまだ十分に低下していない日本の再エネコストを下げるために、技術開発や関連産業の構造改革をする、などと具体的な政策もあれこれ書かれていました。実際に目標が達成できるかというよりは、再エネ普及の本気度に自民党と明らかな温度差があると感じました。


立憲民主党公式サイト「政策集」より

水素・アンモニア・CCSに頼らない姿勢

私は、こんな文言にも注目しました。

技術革新に過度に依存せず、既存の省エネ・再エネ技術で最大限の温室効果ガス削減を行います。国民の意見を気候変動対策・エネルギー政策に反映させる仕組みを作ります

どういうことかハッキリは書いていませんが、見る人が見れば、自民党の進める「水素・アンモニア混焼」や「CCS(二酸化炭素回収・貯留)」といった新技術開発によるガス・石炭火力発電の維持という路線へのアンチテーゼである、と読めると思います。

これらの技術で「二酸化炭素をあまり出さない火力発電」が完成すれば、将来も火力発電を続けていけるんだ!というのが自民党というか今の日本政府の立場です。しかし、これらの技術が早期に完成する保証はないうえ、完成したとしてもCO2削減効果はわずかで、今求められている気候変動対策の時期やスケールとは合致しない、と欧米の環境系NGOなどから批判がある分野でもあります。

これに対し、太陽光発電や風力発電の普及、省エネや建築物の断熱といったすでにある技術を最大限普及させることこそが最大の脱炭素政策である、という考え方があり、立憲民主党の政策はこちらに近い、ということになろうかと思います。

立憲民主党の政策集にも〈再生可能エネルギーの最大限導入と、水素エネルギー等の活用により、2050年までにカーボンフリー電源化を実現します〉ともあるので、水素の活用もやるようです。アンモニア混焼やCCSの技術開発などについても促進すると書かれていました。

しかし、政策集での控えめな書き方を見る限り、これらの「新技術」への期待はあくまで再エネ普及に劣後するもので、そこが自民党の進める現在の政策とは明らかに方向性が違うのではないかと思います。

過渡期の間は石炭・ガス火力も活用すると書いてあるなど全体的には穏当路線でありつつも、環境NGOなどが提唱する脱炭素の進め方に近い方向性だと感じました。私の中では、かなり評価していい政策なんじゃないかと感じました。では他の党はどうなっているのか、もっとリサーチを進めようと思います。

〈続きはこちら〉
各政党の「脱炭素政策」を読み比べてみた③日本維新の会は「原発熱心、再エネ興味薄?」

【このシリーズの記事一覧はこちら】
各政党「脱炭素政策」を読み比べてみた①自民党は記述少なく、にじむ原発推進への思い
各政党「脱炭素政策」を読み比べてみた②立憲民主党は「2050年再エネ100%」ぶち上げ
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(タイトル写真)
Unsplashtaro ohtaniが撮影した写真

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