勉強中のトランジション・ウォッチャー

メディア企業を退社して現在はライター・編集者として活動中。気候変動問題や脱炭素化についての国内外の動きを主な関心領域としつつ、それ以外のことも時事ネタ中心に書いていきたいと思います。

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最近の記事

世界の洋上風力発電所の規模を日本と比べてわかった「圧倒的格差」

日英「最強対決」では20倍の大差 ふと思い立って、現在、世界に存在する(あるいは計画中の)洋上風力発電所の規模(設備容量)と日本のそれを比較してみました。 結果は以下の表の通りです。 ・・・いかがでしょうか。規模感の違いを分かっていただくために、表だけじゃなくて、グラフもつくってみました。 世界といっても大規模なものを実現しているのは現状、ヨーロッパなので日本VS欧州という比較になっていますが、まさに「圧倒的」な差が生じているのがわかります。 この中でも圧倒的に1位

    • 日本の脱炭素政策、どう決まってる?Climate Integrateのレポートが大変勉強になりました

      心が折れそうになる「複雑すぎるプロセス」 気候変動問題に取り組むシンクタンク「Climate Integrate」が4月26日に公表したレポート「日本の政策決定プロセス:エネルギー基本計画の事例の検証」を拝読しました。 脱炭素について勉強中の身としては、日本の脱炭素政策がどこでどういう風に決まっているのかが今いち分かっていなかったので、まずそういう基本的な流れについて解説してくれているこのレポートはとてもありがたかったです。 すごく基本的なことながら今回のレポートを見て

      • 各政党「脱炭素政策」を読み比べてみた⑦れいわ新選組は「30年までに石炭火力全廃」言い切り

        記事本文はおよそ2500文字です。 「原発と石炭火力廃止」のフルスイングさて、ここまでやってきた各政党の「脱炭素政策」比較、ついに7回目までたどり着きました。ということで、今回見ていくのは新興政党として存在感を示している「れいわ新選組」です。 党の公式サイトにある「参院選2022緊急政策」を見ると、筆頭に掲げらえているのは「消費税廃止・インボイス廃止」。なんといっても貧困対策や、庶民の生活を向上させろ、という主張を前面に出してきた党ですから、脱炭素政策が出てくるのは11番

        • 各政党「脱炭素政策」を読み比べてみた⑥国民民主党からにじむ「加速主義」の気配

          エネルギー政策は「安全保障政策」枠ここまで地味に続けている各政党の「脱炭素政策」比較ですが、今回は国民民主党を見ていきたいと思います。ちょうど今、協調路線を続けていた与党との決裂を宣言して話題になっていますが、まあその辺の動きは置いておいて、ここでは愚直に政策集を見ていきます。 まず、公式ホームページにある「国民民主党の政策5本柱」を見ていきましょう。 この党が主に掲げているのは、積極財政による賃金アップの実現や「日本型ベーシックインカム」の導入などです。特にベーシック

          各政党「脱炭素政策」を読み比べてみた⑤公明党は「水素・アンモニア」志向

          アジアにサプライチェーンの大構想さて、各政党の「脱炭素」政策比較も第5弾まで来ました。今回は、自民党と連立与党を組んで久しい公明党の政策を見ていきたいと思います。参考にしたのは、同党ホームページにある「2022参院選政策集」です。 まず、大目標がどうなっているかというところですが、「気候変動対策への貢献」という項目には、こんな記述がありました。 2030年度中期目標というのは、菅義偉政権のときに決めた、この年までに温室効果ガスを46%削減するという例のアレですね。また、

          各政党「脱炭素政策」を読み比べてみた⑤公明党は「水素・アンモニア」志向

          各政党「脱炭素政策」を読み比べてみた④共産党は「大企業にムチ」で最もラディカル

          「非常事態」「緊急行動」……言葉ににじむ真剣さは随一各政党の「脱炭素」政策比較、第4弾は「ぶれない野党」(古い?)こと、日本共産党(以下、共産党)について見ていきたいと思います。 まず拝見したのは、同党ホームページの「2022参議院選挙政策」です。 まず言わせていただきたいのは、この政策集、とても詳細で共産党のマジメさが良く伝わってくるんですが、各項目ごとに長~~~い文章での記述になっているので、正直ちょっと読みづらいというか、読むのにとても時間がかかります。できれば立

          各政党「脱炭素政策」を読み比べてみた④共産党は「大企業にムチ」で最もラディカル

          各政党の「脱炭素政策」を読み比べてみた③日本維新の会は「原発熱心、再エネ興味薄?」

          さて、今回は3回目ということで、今や野党第1党の立場を立憲民主党と争うところまで勢力を拡大してきた日本維新の会(以下、維新)について見ていきます。 維新の政策は、公式ホームページ上にある「維新八策2022」で見ることができます。その名の通り大きく8つの項目に別れているわけですが、各項目の具体策もかなり詳細に記述されていて、なかなかの力作だなあと感じます。 さて、早速中身を見ていきましょう。 経済成長と脱炭素の両立を強調まず、「八策」の順番としては維新の旗印である「身を

          各政党の「脱炭素政策」を読み比べてみた③日本維新の会は「原発熱心、再エネ興味薄?」

          各政党「脱炭素政策」を読み比べてみた②立憲民主党は「2050年再エネ100%」ぶち上げ

          綱領には「原発ゼロ」への強い思い入れさて、本業が忙しくだいぶ日付があいてしまいましたが、各政党の脱炭素政策比較シリーズ第2回。今回は野党第1党の立憲民主党です。 まず、基本路線の宣言とも言える「綱領」の3番目、「(ウ)多様性を認め合い互いに支え合う共生社会」の中にこんな記述がありました。 「再エネ」と「原発ゼロ」に「あらゆる政策資源を投入する」とありますから、これは相当な意気込みを感じます。が、立憲民主党としてはかなり「原発ゼロ」への思いが強く、再エネの導入はあくまで「

          各政党「脱炭素政策」を読み比べてみた②立憲民主党は「2050年再エネ100%」ぶち上げ

          各政党「脱炭素政策」を読み比べてみた①自民党は記述少なく、にじむ原発推進への思い

          自民党の政治家たちが派閥を通じた「裏金」づくりで東京地検の捜査を受けるなど、永田町が騒がしい今日この頃。でも毎回思うのですが、権力の座にいる人たちが不正をしていることが何度暴かれても、この国の政治はいっこうに変わらないままです。 ここは少し視点を変えて、それぞれの政党が政権の座についたら、この国のかたちがどのように変わるのか、ということを考えてみるのはどうでしょうか。たまには。 ということで各政党の政策(マニフェスト)比較をしてみようと思い立ちました。このブログは気候変動

          各政党「脱炭素政策」を読み比べてみた①自民党は記述少なく、にじむ原発推進への思い

          草案めぐる「我慢論争」勃発。無事着地できたのか!? ~松戸市「気候市民会議」傍聴3回目

          自分が住む千葉県松戸市に、最先端の「気候市民会議」がやってきた!ということで10月の第1回から月1回ペースで開かれてきた「松戸市環境未来会議」を傍聴してきました。12月17日にはついに、最終回となる第3回が開催されました。果たして、どんな着地を見たのでしょうか…!? 事務方の労作「草案ペーパー」あらためて説明しておきますと、この会議は松戸市民約50万人の中からくじ引きで千人を抽出し、そこから参加を希望した24人によって松戸市の気候変動対策を決めていこうよ、という斬新な試みで

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          エコプロ2023見学記:生分解性プラ、潮流発電、CSS…技術は「花盛り」なんだけど

          12月7日、東京ビッグサイトで行われていた「SDGs Week EXPO2023 エコプロ2023」を訪問してきました。SDGs関連の商品や技術について、企業・大学・行政機関といったさまざまな団体がブースで展示を見せてくれる、というやつです。 とんでもない数のブースが出ていたので逐一説明すると長くなるのでやめます。そこで、私の心に爪痕を残したベスト3を発表します。 ベスト3 土に還るマルチこちらは日本バイオプラスチック協会の展示にあった、生分解性プラスチックでつくられたマ

          エコプロ2023見学記:生分解性プラ、潮流発電、CSS…技術は「花盛り」なんだけど

          何年経っても変わらぬ政治家の顔ぶれ…停滞ジャパンの突破口に「くじ引き民主主義」!?

          アイスランドではくじ引き選出の市民が「新憲法案」討議最近、地元の松戸市で今年10月から開催されている「気候市民会議」(正式名称は松戸市環境未来会議)を傍聴しているのですが、そもそもこの会議っていったい何なの、と思われている方もいるではないかと思います。かくいう私もそんなに詳しいわけじゃあありません。 そこで今回は自分もお勉強、ということで、気候市民会議で見られるような「くじ引き」を使った市民参加型の政治について解説された同志社大学政策学部の吉田徹教授の著書『くじ引き資本主

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          イケアの「プラントボール」がおいしすぎて「植物由来肉」への見方が変わった

          イケアで出会った食のカルチャーショック うちから数駅先にイケア(IKEA)があります。たくさん家具があって見ているだけで楽しいのですが、最近、イケアのレストランで出会った「植物由来肉」は目からウロコの体験でした。 これまでイケアに対して郊外にあるやたらデカい家具屋、というくらいの認識しか持っていなかった私なんですが、何度か通ううちに、けっこう「サステナビリティ」をアピールしていることに気が付きました。 たとえば、顧客から買い取ったリユースの家具を売るコーナーがあったり、洗

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          松戸市の「気候市民会議」傍聴2回目~市の重点施策はソーラー。市民からは何が出るか 

          前回よりも具体的になってきた議論のテーマ市民が参画して気候変動対策を考えるという画期的な企画「松戸市環境未来会議」。世界の潮流となりつつある「気候市民会議」が我が町でも行われている!ということで1回目からウォッチさせていただいているわけですが、11月12日にその2回目が開かれたのでまたもや傍聴してきました。 急に気温が落ちて寒くなったせいもあるのか、今回はやや欠席者が多め。前回5つあった班は人数調整されて4つの班にまとめられ、それぞれのグループで議論が進められました。 前

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          東京モビリティショー 「脱炭素」アピールで見たトヨタと中国メーカーの差

          少し前の話になってしまいますが、2023年10月末から11月初めにかけて東京ビッグサイトで行われたジャパンモビリティショーに行ってきました。コロナ禍で中断されるまでは東京モーターショーの名で親しまれた自動車の一大見本市です。 とはいえ私はマイカーを所有もしていないし、特段クルマ好きでもありません。はっきり言って門外漢ですが、それでも、各メーカーの技術力、デザイン力、戦略などが見比べられて好きなイベントで、これまでも何度か訪問してきました。 今回は特に、こんなブログを始めた

          東京モビリティショー 「脱炭素」アピールで見たトヨタと中国メーカーの差

          日本に1軒しかない「グリーンローソン」を訪問。「常温弁当売らない店」の1年目の現状は

          東京都のJR大塚駅からほど近くにある「グリーンローソン」をご存知でしょうか。2022年11月にオープンした、「サステナブル」をテーマにした実験的な店舗。まだ全国で1店しかない業態で、コンビニ界の”レアポケモン”的な存在です。 オープンからまもなく1周年ということで、野次馬根性を働かせて訪問してみました。 この「グリーンローソン」、めちゃくちゃ斬新な取り組みが色々なされているわけですが、オープン時のプレスリリースを見ると、「目玉」に挙げられているのが、 ①アバター活用で誰

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