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182、晴れわたる空に

晴れわたる空。そんな、なにもない、まどろむような天候の良い日は、母と一緒に歩いて立ち寄った、ケーキ屋のことを考えてしまいます。
こんな日は、母も、体の調子が良く、「お母さん、ケーキ買いにいこ!」というと、「うん、待って!」と服に着替えて出歩いてくれました。まだ、そんなに病気は、進行してなかったんです。
ただ、母は、一人で外を歩くことができず、ぼくと肩をくんで、歩いてました。
近所のひとは、まだ、母が弱っていたということを知らないひとも多く、ぼくらは、近所のひとと、できるだけ会わない道を選んで歩くのが好きでした。
こんな、天候の良い日です。
二つ、イチゴのショートケーキを買い、帰り、人通りの少ない一本道を歩いて帰ります。お母さんの肩をひっぱり、できるだけ陽のあたる道を選び、「お母さん、こっちやで、こっち、こっち」と言いながら。
また、母と一緒にこんな、陽のあたる道を歩きたいです。
もう、叶わぬ夢ですが。

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