「事なかれ主義」こそ素晴らしい
事業をやるのは大変だ。
だから、年をとるごとに事なかれ主義になっているように思う。
これを読んでいる読者のあなたにも「事なかれ主義」をぜひお勧めしたい。
何度も言うけど、事業をやるのは大変だ。
やることはたくさんある。
お客さんに向き合うだけでは不足する。
将来の事業の発展のためにアイデアを出して、そこにお金や人や時間を投じていく。
雇用していれば、従業員のケアも怠ってはならない。
そうそう、キャッシュフローにも気を配らないと。
交流会や勉強会にも参加しないとね。
やることが多すぎるだけに、トラブルは出来るだけ避けたい。
挑戦することは大賛成だが、トラブルは避けるにこしたことはない。
特に経営基盤を揺るがすようなトラブルは、是が非でも避けたい。
そこで、経営計画、予防法務が大切になってくる。
イケイケで障害を飛び越える人と、そうでない人
「売上は七難隠す」といったのは、どこのコンサルティング会社だったかな。
確かに売上が上がっていれば、たいていの問題は乗り越えていけるように思う。
何かあっても、弁護士費用だって和解金だって払える。
とにかく1億、2億の借金もお構いなしで、売上増、売上増で押し切ってしまう経営者もいるらしい。
しかし、ほとんどの経営者にとっては、「当たる」とほぼ確信できるようなビジネスモデルを作った上で、予防法務をしっかりと行い、打算的にやったほうがいい。
「事なかれ主義」とは少し意地悪な言い方だけど、その打算的な姿勢をもったほうが平和に過ごせるし、自由度も高くなるのではないだろうか。
事なかれ主義としての経営計画
事業の採算はとれるか
インターネットの事業においては、事業の採算がとれるかは「とりあえずテストしてから考える」という姿勢をとる会社が多い。
私は、これまで200件以上の「ベータ版」に関わってきたけど、その多くはテストで終わってクローズしている。
そして、それは失敗じゃない。
「お客さんが何人いたら、そのうち何人が有料のユーザーになってくれて、何人が継続してくれるだろう」
という計算をもとに商売をやると、失敗が少ない。
見込みがなければ、すぐにやめてしまおう。
この方法は、ウェブサービスだけに限らない。
私の住んでいる地域でも、いきなりパン屋を経営して軌道に載せつつある人がいる。
しかし、過去の行動をよく見てみると、独立前にテストを繰り返していることが分かる。
「事なかれ主義」においては、低予算で始める方がいい。
経営はどうしても走りながら考えなきゃいけないけど、全部を走りだしてから考えるのは無謀としかいいようがない。
始める前に見込みの数字を計算した方がいい。
毎月払うお金が残るか
経営を始めたら、お金の計算が生命線になってくる。
俗に行く「資金繰り」というのは、「いつでも、いつまでも現預金がマイナスにならない工夫」のこと。
そういうと簡単だけど、できていない会社が多い。
コツは三か月後にお金がなくならないか、いつでも気をつけて経営をすること。
そして、もう一つだけ上げるなら、商工会議所・商工会に入ってちょくちょく相談することだ。
相談先がある経営はノーマルモードだけど、ノーヒントでやる経営はハードモードになる。
そして経営者の仲間は、相談先にはならないことが多い。
調子の悪いときの相談は、外部に話しにくい。
事なかれ主義としての予防法務
取引相手と揉めないしくみ
取引相手と揉めないコツは、契約をしっかりすることにある。
揉めてしまうと無駄な時間を使ってしまうことになる。
ところで、これまでたくさんの契約書をみてきたが、一方的に不利になっている契約書は意外と多い。
契約書はしっかりとチェックして、何かあったら見返せるようにしっかりと保存しておこう。
モンスター社員を入れない、残らせないしくみ
社員とのトラブルについては、社労士、弁護士といった相談先が考えらえれるが、そもそも揉める人を社内に入れないしくみが作れないだろうか。
これまでご相談した会社の中には、雇用した社員と雇用契約書を交わしていない会社もあった。
法律上は、雇用契約書を作る義務はない。
会社の立ち上げって、そんなものかもしれない。でも、それはかなり危うい。
賃金、労働時間その他の労働条件を文章にしたほうがよい。
同じように、就業規則を作ることも、トラブルを減らすことに役立つ。
「常時10人以上の労働者を使用する使用者は就業規則を作成し、行政官庁に届出なければならない」となっているけど、10人いない状態でも、ぜひ作成することを勧める。
社員が増えたあとで作ると、先に就職していた社員から就業規則の内容にクレームが出るかもしれないからだ。
「事なかれ主義」のために専門家を使おう
私の掲げる「経営者の自由」には、「事なかれ主義」が欠かせない。
知らずに損することで、わざわざ人生をドラマティックにする必要はないんじゃないか。
避けられるトラブルを避けるために、ぜひ専門家を頼ってほしい。
この記事を書いたのは、
経営を自由にする『財務・法務のパートナー』 坂本倫朗
https://sakamoto316.tokyo/
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