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デジタル時代の建設業生き残り戦略:「ITニガテです」からの出発

私は行政書士という仕事をやっているので、建設業の経営に関わることが多いです。
建設業界は今、大きな転換期を迎えています。

人手不足が深刻化する一方で、デジタル技術の進歩は目覚ましく、これらの技術を活用した生産性向上が急務となっています。
でも、多くの中小建設会社にとって、ITの導入は未知の領域であり、どこから手をつければよいのか分からないのが現状です。

手書きの書類で事務を行っているところがたくさんあります。
FAXも日常的に使われています。

そばから見ていると、このままではいけないと思っています。
中小の建設業が、この先、コネだけに頼らず何とかやっていく方法はないかを考えてみる。


建設業のデジタル化:避けては通れない時代の潮流

建設業界は長年、人の手による技術と経験が重視されてきました。
令和になっても、そのままです。
そのままでも、利益が出るところはしっかり出ています。

しかし、熟練工の高齢化や若手の入職者減少により、従来の方法だけでは立ち行かなくなってきています。

ここでデジタル技術の活用が重要になります。

デジタル化でチャンスは広がります。
何より作業費用の削減が建設業の生きる道です。

例えば、クラウドベースのプロジェクト管理ツールを導入することで、現場と事務所の情報共有がリアルタイムで行えるようになり、作業の無駄を大幅に削減できます。
また、3Dモデリング技術を活用することで、施工前に詳細な計画を立てられ、手戻りを減らすことができます。

ITリテラシーゼロからのスタート:経営者が押さえるべき基本知識

経営者から、今でも普通に聞かれるこの言葉。
「メールとかそんなのは苦手なんだけど」

建設業の中小企業では、ITは、まだまだ浸透していません。
ITがなくても成り立つ業界であり続けていると実感します。
でも、そのことで費用、特に時間がたくさん浪費されていることをどうかわかってほしいと思っています。
時間効率アップすると、利益が増えるんです。

ITに詳しくない経営者の方々にとって、最初の一歩を踏み出すのが最も難しいと考えます。
しかし、基本的な知識さえあれば、徐々に理解を深めていくことができます。
いまこそ踏み出しましょう。

まずは、日常的に使用できる基本的なデジタルツールから始めるといいです。
例えば、Google WorkspaceやMicrosoft 365などのクラウドサービスを活用することで、文書の共有や社内コミュニケーションを効率化できます。
これらのツールは、パソコンとインターネットがあれば、無料または低コストで利用でき、導入のハードルも比較的低いです。

建設業界特有の用語

また、建設業界特有の用語も押さえておく必要があります。
BIM(Building Information Modeling)は、建築物のデータベースを構築し、設計から施工、維持管理まで一貫して活用する手法です。
IoT(Internet of Things)は、センサーなどのデバイスをインターネットに接続し、データを収集・分析する技術です。
AI(Artificial Intelligence)は、これらのデータを基に予測や最適化を行う技術です。
そういったツールの導入については、ハードルが高く感じるかもしれませんので、この記事の後半で再びふれることにします。

人材育成の新しいアプローチ:若手とベテランの強みを活かす

デジタル化を進める上で、人材育成は非常に重要です。
カギとなるのが、若手とベテランの強みを互いに活かし合う環境づくりです。
現実的には、若い世代の方がITツールを使い慣れるまでの時間が短いです。

若手社員はデジタル技術に親和性が高い一方、ベテラン社員は豊富な現場経験を持っています。
この両者の強みを融合させることで、より効果的なデジタル化が可能になります。
現実的には、若手社員がITツールの操作を担当し、ベテラン社員がその3Dモデルをもとに施工計画を立てるといった協業が考えられます。

社内勉強会の定期開催も効果的です。月に一度、ITツールの使い方や業界のデジタルトレンドについて学ぶ機会を設けることで、社員全体のITリテラシー向上につながります。

低コストで高効果:中小企業に適したIT導入の方法

中小企業にとって、大規模なIT投資は現実的ではありません。
そこで重要になるのが、段階的な導入と低コストソリューションの活用です。

まずは、自社の業務フローを見直し、最も効果が見込める部分から着手します。
例えば、紙ベースの工程管理をデジタル化することで、進捗状況の把握や情報共有が容易になります。
Trelloなどの無料プロジェクト管理ツールを活用すれば、低コストで導入できます。

ちょっと導入が難しいかもしれませんが、Notionもプロジェクト管理ができます。

次に、建設現場のデジタル化を検討します。
スマートフォンやタブレットを活用し、現場写真の管理や日報作成を効率化するアプリも多数存在します。
これらを導入することで、事務作業の削減と情報の正確性向上が期待できます。
たとえば、蔵衛門。工事写真をクラウド管理してくれます。

明日から始める:小さな一歩からのデジタル化

デジタル化は、一朝一夕には進みません。
大切なのは、小さな一歩から始めることです。
ここでは、明日から実践できる具体的なアクションプランを提案します。

ITツール導入を相談してみよう

ITツールを購入を検討するなら、IT導入補助金の活用を相談してみましょう。
東京都の例ですが、5回までツール導入について無償で相談できるサービスがあります。

他の県であっても、自治体、よろず支援拠点や商工会議所・商工会を通じてITの導入を相談できる人を探しましょう。
相談者を見つけることで、導入のハードルがぐっと下がります。

現状把握から始める

まずは、自社の業務の中で最も非効率だと感じる部分をリストアップしてみましょう。

例えば、「日報作成に時間がかかりすぎる」「図面の修正履歴が分かりにくい」など、具体的な課題を3つほど挙げてみてください。

といっても自分では課題が見えないことも多いです。
可能であれば、ITナビゲーターのような相談者と一緒に課題を探すといいでしょう。

身近なツールから活用しはじめてみる

スマートフォンやタブレットなど、すでに手元にあるデバイスを活用することから始めます。
例えば、現場写真の管理にGoogleフォトを使ってみる、チーム内の連絡にLINEワークスを導入してみるなど、無料や低コストで始められるツールから試してみましょう。
社内のみんなで同じツールを使うことがポイントです。
おれはGoogleフォト」、「私はAmazon Photos」と使うツールをバラバラにせず、社内のデータがみんなで活用できる環境を作ります。

つぎに、社内の「デジタル担当」を決める ITに詳しい若手社員や、デジタル化に興味のある社員を「デジタル担当」に任命してみましょう。
「一番若いから」といった理由で若い社員に無理やりやらせず、適性を見ることがとても大事です。
その社員を中心に、新しいツールの導入や使い方の共有を進めていくことで、全社的なIT活用が促進されます。

IT導入補助金を活用しよう

ITツールの購入が必要であれば、その最初の導入にIT導入補助金が使えます。

最大450万円の補助、補助率1/2~4/5でITツールの購入ができます。クラウドツールなら2年分を補助対象とすることもできます。

もちろん不要なITツールを買ったら安く買っても銭を失ってしまうので、慎重さが求められますが、効率化・経費削減を図るときにぜひ活用しましょう。

もう一つ、職場環境改善のためのITツールを助成金で買うこともできます。

なお、IT導入補助金も、業務改善助成金も、ツールを購入する前に申請する必要があることに注意してください。

小さな成功体験を積み重ねる

例えば、クラウドストレージの導入により画像や図面の共有が円滑になった、スケジュール管理アプリで会議調整の手間が減った、ドキュメントツールで日報の作成時間が短くなって早く帰れたなど、小さくても具体的な成功事例を社内で共有しましょう。
とくに「早く帰れる」「書類を探さなくなった」などの分かりやすいメリットを共有することが大事。
これにより、デジタル化に対する前向きな雰囲気が醸成されます。

経営者は、外部の支援を活用する 地域の商工会議所やIT企業が主催する無料セミナーに参加してみるのも良いでしょう。
同じ悩みを持つ他社の経営者と情報交換することで、新たなアイデアが生まれるかもしれません。

デジタル化は、決して難しいものではありません。
日々の業務の中で、少しずつ効率化できる部分を見つけ、できることから始めていく。
そんな小さな一歩の積み重ねが、やがて大きな変化をもたらします。

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