動力設備計画2(基本設計)

動力設備計画1の続きとなります。
 機器類をプロットしたら盤配置を検討します。 機器が密集する機械室、設備バルコニー、屋上等は設置されている機器用に盤を設置します。設置されている機器が離れている場合(盤から30~50m程度までを目安)は別の盤を設置します。これは動力配線亘長を極力短くして、配線の電圧降下を少なくすることが目的です。必須事項ではなく、あくまで目安になります。 機器がフロアで分散設置されている場合はEPSや機械室またはバックヤードや保守管理可能な室に盤を設置します。

動力盤は負荷の内容にもよりますが、盤面に操作ボタンがよく出てくるので、関係者以外が容易に触らないよう設置場所を検討します。
盤設置にあたっては、一次側幹線ルートも考慮し、ルート確保が難しい場合は建築意匠とスペース調整するか、配置を再検討します。

盤配置を決定したら、一度平面に戻ります。
盤と同一空間に設置されていない負荷で機側盤が無いまたは、コンセント渡しでない機器に対しては手元開閉器を設置します。

動力盤表の作成を行います。
盤と動力機器を配置した平面図よりその盤に接続する負荷をピックアップします。
盤表には以下内容を記載します。
①盤名称、②盤形状や仕様、③電源種別と電源電圧、④主幹仕様とサイズ、⑤主幹毎の合計負荷容量、⑥回路番号、⑦負荷記号、⑧負荷容量(個々)、⑨負荷の相と電圧、⑩負荷毎のブレーカー、⑪負荷の電源供給方式と制御、他機器との連動(対象があれば)、⑫盤面表示内容、⑬遠方表示内容、⑭盤の警報、⑮火災停止有の旨(対象があれば)、⑯負荷への電源配線と接地線と配管サイズ、⑰備考(その他特記事項)

①盤名称
特にルールが無ければ、
階数P-階に設置する盤の連番
とします。
例…1P-1、B1P-1、RP-1等

②盤形状、仕様
形状は壁掛、自立、埋込
仕様は屋内形、屋外形
合わせて屋内自立型や屋外壁掛型のように表現するのが一般的です。
形状は以下で使い分けするのが一般的です。
埋込…意匠的に美観的に導線的に盤を露出せず壁に埋め込みたい場合、またはクリーンルーム内に設置する場合(埃を溜めない為)
壁掛…少量のブレーカー内容の盤の場合
自立…上記以外(壁掛を自立で代用可能)
仕様について屋内屋外の記載ではなく、盤材質を求められた場合、設計図に添付する特記仕様書に準じます。
一般的には以下になります。
屋内…鋼鈑製、屋外…溶融亜鉛メッキまたは溶融亜鉛溶射、SUS製(屋外は施主仕様かコスト、塩害有無で材質を決定)
クリーンルーム内…SUS製
盤材質以外に以下に該当すれば追記します。
指定色塗装、OA架台(床がOAの場合)、上部配線ダクト付(意匠的に上部からの配線を隠す場合)、気密型(クリーンルームで使用)、弱電端子内蔵、HUB内蔵等

③電源種別と電圧
繋がる負荷の電源電圧と電源種別を記載します。
一般系統であれば、AC3Φ3W200V
発電機系統であれば、AC/GC3Φ3W200V
UPS系統であれば、AC/GC/UPS3Φ3W200V
等で400V系は400Vそれ以外の電源系統は表記を変えて記載します。

④主幹種別とサイズ
繋がる負荷の容量及びその負荷の中の最大負荷容量から主幹選定表より主幹ブレーカーサイズを選定します。
ブレーカーサイズはAF/ATで示します。
AF…ブレーカーの大きさ
AT…ブレーカーの通電可能電流値
規格は以下が一般的です。
50/30、50/40、50/50
100/60、100/75、100/100
225/125、225/150、225/175、225/200、225/225
400/250、400/300、400/350、400/400
600/500、600/600、800/700、800/800
尚、メーカー規格で63AFや250AF等もありますが、民間設計でメーカー制限が無ければ、使用しても差し支えありません。

接続される負荷の計とその内の単体機器の最大負荷から主幹ブレーカーサイズを選定します。
別表左が合計容量、上が単機最大負荷容量
その交差する値をAT値として選定します。
別表は以下(内線規定より引用)

官庁案件では電動機容量より電流値を別表にて換算してその電流値合計より直近上位のブレーカーサイズを選定します。
kWは表より換算し、kVA時は電圧と√3と1000で割った値を電流値とします。
電流値換算は以下
 一般200V電動機

インバーターを採用した機器、PAC室外機

 

400V一般の電動機


400Vのインバーター採用機器

主幹仕様は基本的にMCCB3Pを使用します。
主幹にて漏電に留意することがある場合や、施主仕様によってはELCB3Pを使用します。
漏電検出をしたい場合はMCCB(ELR)を使用します。
基本的には主幹以降の二次側のブレーカーに負荷毎にELCBを設置するので主幹は基本MCCBになります。
主幹のサイズについて設計基準では225ATを上限目安とするようになっています。
しかし、単機で225ATを超えるものもあるので、必須事項ではありません。
概ね400ATまでを上限にするとその上位の幹線ケーブルが計画しやすくなります。

⑤主幹毎の合計負荷容量
主幹以降に接続される負荷の合計容量を記載します。
合計は単位別で行います。
接続負荷がkWのみであれば、合計はkW
接続負荷がkVAのみであれば、合計はkVA
接続負荷にkWとkVAが混在する場合は単位別で集計し、○kW+○kVAとして表記します。
尚、主幹のせんていはkW合計値より算出する方法を記載しましたが、
kVA値の場合は合計値kVA÷電圧÷√3で電流値を算出してその直近上位のAT値を選定します。
kWとkVAが混在する場合は合計kVAを電流値に換算して、その電流値に÷4でkW換算します。
すなわち、
合計kVA/200(200V時)/1.732×1000/4=kW換算値
kW換算値+kW負荷の合計=接続される負荷のkW合計値として主幹を選定します。

長くなりましたので、今回は以上で以降次回へ続きます。

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