受変電設備計画(基本設計)高圧受変電
掲題について記載致します。
受変電設備ということで、高圧受変電設備を中心に記載します。
(高圧以外に特高受変電、低圧受電設備があります。)
高圧受変電については以下手順にて進めます。
1.受電方式の決定、設備容量(電灯、動力ごとの総容量)の算定
2.スケルトン(単線結線図)の作成
3.意匠、構造へキュービクルサイズと重量のインプット
4.負荷容量の決定、幹線計算(幹線設備にて記載の内容)
5.変圧器容量計算→変圧器へ接続する幹線系統の決定→幹線番号の決定
6.配電盤内容表の作成、スケルトンの修正
7.設備容量の見直し及び意匠、構造へキュービクルサイズと重量のインプット(修正版情報の共有)
1.受電方式の決定、設備容量(電灯、動力ごとの総容量)の算定
基本設計初期段階で行い、3の意匠・構造へのアウトプットを主目的に行います。
受電方式決定手法は以前の記事をご参照お願い致します。
容量算定手法はこちらの記事をご参照お願い致します。
2.スケルトン(単線結線図)の作成
3の後でもよいのですが、3のアウトプット情報精度を上げる為に手順2と致しました。
スケルトン図は1の情報を纏めて盤メーカーに作図依頼を行います。
内作することで、メーカー色の無い作図も可能ですが、文章では説明し難いので割愛します。
3.意匠、構造へキュービクルサイズと重量のアウトプット
1、2を基にキュービクルサイズと重量を意匠と構造設計へ伝え、電気室スペースや構造補強を設計反映してもらいます。
ここでの情報は概算値になってくるので、
以降の4~6作業にて積み上げて、精度を高めて、アウトプット情報の答え合わせをしていくイメージになります。
キュービクルのサイズ及び重量はこちらの記事をベースに算出します。
4.負荷容量の決定、幹線計算(幹線設備にて記載の内容)
負荷容量の決定は動力盤、電灯盤の計画で記載した内容にて各負荷容量を決定します。
電灯盤の計画はこちらの記事
動力盤の計画はこちらの記事
をそれぞれご参照お願い致します。
幹線計算は幹線設備計画にて記載した内容にて行います。
幹線設備計画はこちらの記事をご参照お願い致します。
5.変圧器容量計算→変圧器へ接続する幹線系統の決定→幹線番号の決定
変圧器へ接続する負荷を決めていく為に、
1.の暫定で決めた設備容量の変圧器に4で算出した各負荷を接続する為、変圧器容量計算を行います。
電灯負荷は単相変圧器に接続、動力負荷は三相変圧器に接続、非常保安負荷は非常保安計の変圧器に接続します。
変圧器の計算は計算書書式で行いますが、
計算書で行う内容はざっくり以下のこととなります。
負荷種別毎、幹線系統毎、盤毎、電源種別毎に負荷容量を積み上げて、負荷種別の計に需要率(使用率)を乗じて変圧器に繋がる容量計を出し、それより大きい変圧器容量を選定する。
すなわち、負荷を足して需要率を掛ける程度なので、書式指定は比較的無い印象です。
官庁では国交省書式を使用します。
参考に国交省書式を一部編集して民間設計に使用している書式を以下にアップ致します。
このファイルの解説は後日作成致します。
6.配電盤内容表の作成、スケルトンの修正
変圧器計算にて変圧器に接続する幹線を決定したら変圧器以下のブレーカーに接続される部分(配電盤)の内容を記載していきます。
幹線番号、負荷名称、極数、開閉器種別、開閉器AF/AT、幹線ケーブル種別とサイズ、接地線や保護管の種別とサイズ、備考を記載します。
上記内容はほぼ、幹線計算書の転記になるので説明は幹線設備計画をご参照お願い致します。
備考は設計上で特筆する事項があれば記載致します。
配電盤表のなかで変圧器から各負荷へ接続する配線模式を記載します。
発電機接続回路において火災時に遮断する発電機系統の電源があれば、MCを用いて遮断します。(火災時の発電機容量を軽減する目的となります。)
MCの容量は遮断負荷の合計容量から電流値を算出して、その1.5~2倍程度の定格値を選定します。(直近上位だと、電流による融着で劣化が早くなる為。需要率を考慮できればこの限りではありません。)
MCの規格はメーカーにもよりますが、30,50,100,150,200,250,300,400,600,800A
等となります。
配電盤表は文章では分かりにくいので、例を以下にアップします。
その他
消防負荷へ供給するブレーカーは耐火隔壁を入れます。
専用受電設備において消防負荷が接続される変圧器系統には主幹要否判断を行う為、
①変圧器容量/電圧/√3×2.14と②その変圧器系統の開閉器容量の計を比較します。
①が大きい値の場合は主幹不要、②が大きい値の場合は主幹設置となります。
例えば例-受変電設備_配電盤表.pdfの非常保安動力盤No.1の場合、
①200×1000(変圧器容量VA)/200(電圧)/√3×2.14=1235.5
②60+60+60+225+225+100+100+350+30+125+30+100=1465
この場合、主幹を設けます。
が、コストをかけたくないので、予備ブレーカーを削減します。尚、AT可変ブレーカーはAF値を用います。
算出した変圧器の容量により、スケルトン(単線結線図)の変圧器容量を修正します。
7.設備容量の見直し及び意匠、構造へキュービクルサイズと重量のインプット(修正版情報の共有)
6までの作業により、キュービクルサイズや重量を見直しし、意匠構造設計へアウトプットした内容から変更があれば、再度情報提供を行います。
以上となります。
当記事は別記事へのリンクが多くなりました。
受変電の概略検討(1~3)
↓
電灯コンセント設備、電灯盤設計
↓
動力設備、動力盤設計
↓
幹線設備設計
↓
受変電の検討、設計(4~7)
がベーシックな設計手順になり、強電設計の纏めの位置付けとなります。
各設備毎に着実に積み上げること、他の設計チームとのコミュニケーションが重要となります。