動力設備計画3

動力設備計画2の続きとなります。
残りは⑥回路番号、⑦負荷記号・負荷名称、⑧負荷容量(個々)、⑨負荷の相と電圧、⑩負荷毎のブレーカー、⑪負荷の電源供給方式と制御、他機器との連動(対象があれば)、⑫盤面表示内容、⑬遠方表示内容、⑭盤の警報、⑮火災停止有の旨(対象があれば)、⑯負荷への電源配線と接地線と配管サイズ、⑰備考(その他特記事項)
となります。
⑥回路番号
接続される負荷の配線番号を任意で入れ、負荷を識別するために用います。
一般的には①から連番で入れます。
主幹が分かれる場合は、今後の追加や予備ブレーカーを考慮して繰上値にてスタートした方が効率的です。
例えば一つ目の主幹に接続される負荷を①~⑧で、次の主幹に接続される負荷を⑪~⑭にするなどで、これについてルールはなく、基本計画では入れなくても支障ありません。

⑦負荷記号・負荷名称
機器表等に記載されている負荷記号と負荷名称を入れます。建築動力は割りと負荷記号がないので負荷記号は無しでも支障ありませんが、盤図と平面図の照合を回路番号か負荷記号で行うので、後々を考慮すると基本設計ではどちらかを記載した方がよいという程度になります。負荷名称は必須となります。

⑧負荷容量
負荷名称毎の負荷容量を記載します。単位がkWかkVAか明確にすることが重要です。
小数点の有効数字についてルールは特にありませんが、概ね小数点第三位を四捨五入して小数点第二位までを有効数字として取り扱っています。

⑨負荷の相と電圧
ほぼ、3Φ200Vか3Φ400Vかと思いますが、1Φ200Vや1Φ100Vを接続するものもあるので、機器表を確認の上、記載します。
1Φ200Vのものは空気調和機や外気処理機(エアハンドリング型)のマリンランプや自動制御電源、盤の制御電源で、よく必要となります。
1Φ200Vは3Φ200Vの系統であれば、2線から取り出せるので、ブレーカーを2Pにすることで問題ありません。
1Φ100Vを3Φ200Vから取り出す際は、タイトランスを設けて変圧する必要があり、ブレーカーも2Pとなります。
1Φ100V系は極力電灯分電盤から供給し、コストが上がらないようにした方がよいと考えます。但し、保守の観点から機器の付帯設備電源が電灯盤からの供給になることを嫌う施主もいますので、施主意向と設計思想から1Φ100V負荷は動力盤に接続するか電灯盤に接続するか決定するとよいでしょう。(ルールはありません。)1Φ100V電源は薬注装置や水槽電源、付帯設備制御盤等でよく出てきます。
1Φのファンや電気温水器、便座電源、コンセント渡しの電源、衛生器具、全熱交換器やPAC室内機、ファンコイル等は一般的に電灯盤から電源を供給します。


⑩負荷毎のブレーカー
種類、極数、サイズを記載します。
種類について
種類はMCCBかELCBかMCCB(ELR)となります。
水がかかる恐れがある、水配管が接続される機器は基本ELCBとなります。
上記と同条件下でも、ELCBが動作すると損害が大きいもの(機器が突然停止すると損害が大きいもの)はMCCB(ELR)とします。(ELR…漏電警報出力をして、回路遮断は行わない)
これ以外で施主要望が無ければ他はMCCBとします。
極数について
ほぼ3Pとなりますが、1Φ100Vや1Φ200Vの場合は2Pとなります。
また、特殊負荷は4P(例えばレントゲン機器類等)があります。特殊機器か否か、機器表等から判断し、決定します。
サイズについて
ブレーカーの規格サイズについては主幹で説明済なので割愛します。(参照先は冒頭に記載したの動力設備計画2の④となります。)
サイズの選定については以下3種類で選定方法が異なります。
A.メーカー推奨値が掲載されている機器
B.電熱負荷機器
C.それ以外の電動機
A.について
主に大容量の機器やチラー、冷凍機、熱源機、PAC室外機等が対象となります。
生産機器や客先手配の機器も対象となってきますが、設計期間中にこれら機器の詳細が出ることは稀なので、詳細決定が先送りになる場合はC.に分類します。
B.は熱抵抗の機器で、例えばヒーターや電熱負荷が対象となります。消費電力をそのままロスなく消費するので、
W/電圧/√3=電流値…これの直近上位AT値を選定することとなります。
C.はこれらに該当しない負荷になります。
全ての機器の仕様書を調査すれば、A.にすることができると思います。
しかし、時間の無い設計期間に着工後に施工者が選定して変更になるかもしれない汎用的な機器調査に時間を割くのは費用対効果もさほどないので、内線規定の表をベースにブレーカーを選定します。
尚、施主希望で仕様書から全機器を特性より選定する要望があった場合を除きます。
内線規定の表は以下となります。

尚、1Φ機器はこの表によらず、容量/電圧にて選定します。(ほぼ、20ATかと思います。)

設計での最低ブレーカーサイズは指示が無い限り20ATを下限値とします。なので、表中の15は20に読み替えます。

長くなりましたので、以降次回の記事に続きます。











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