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ウイスキーをめぐる冒険 episode3 タリスカー

「マスターの一番好きなウイスキーはなんですか?」

と、よく尋ねられることがあります。その応えは今まで一度も変わっていません。

これからも変わることはあるのかな?ないのかな?分かりませんが、応えはいつも

「タリスカーです」

そう、私の代名詞とも言っても過言ではないウイスキーがタリスカー。
(マスターとは私のことです。小さなお店のマスターと呼ばれてます。何もマスターしていませんが笑汗)

Barに行ってもタリスカー、家で飲むのもタリスカー、そんな20代の頃がありました。
一人暮らしの狭い部屋にはタリスカーの空き瓶が所狭しと転がっていました。
タリスカーの空き瓶を避けながら部屋の中を歩いていたくらいです。
とにかく、ウイスキーといったらタリスカー以外飲みません、なんて尖っていた頃でした。ただのあほですね。笑

しかも、その当時はタリスカー10年以外興味がないという、意味不明のこだわりでした。
今考えると、勿体無い、視野が狭い、どうかしてるぜ、と自分に言いつけてやりたい所存です。

でも、そのお陰?で自分の中のウイスキーの基準、みたいなものができたことも確かです。
基準がタリスカーというのもアレですけど笑
基準ができたことで、その後いろいろなウイスキーを口にした時に、そのウイスキーの個性をよりくっきり感じとれるようになったと思っています。

さらにもう一点。
ウイスキーは飲んだ時の感情や状況などによって味わいや感じ方が大きく変わるということも学びました。(これはウイスキーだけではないですね。全ての飲食に通づることだと思ってます)

もちろん、ボトリングロッドで若干の味の違いはあるかもしれませんが、そこまで私にはわかりません。

毎日、何杯も、家やBarで飲んでいたものですから、同じボトルでも、何処で、誰と、どういう状況で飲んだかで全く違うタリスカーに変身するということを身をもって学べたのです。

現在、私のお店でお酒や料理を提供する時もこの感覚を大事にしています。
飲食店は、美味しいものを提供できれば良い、こだわった食材で職人技の料理が素晴らしい、(もちろん、それがメインの飲食店もあります)というのはお店側の自己満足だと思っています。

あくまで、主役はお店に来たお客様です。

お店側はいかに主役の手助けをできるか、だと思っています。
味の合格点をもらえたら、それ以上の味を極めるのではなく、サービスを極めることが飲食店のあるべき姿だと思っています。
あくまで、私の営んでいる飲食店での話ですよ、悪しからず。

私がそうであったように、どこにでもありふれているタリスカーが、特別なタリスカーになる。

そんな空気感を提供できるマスターを目指しています。

最後に、「ジキル博士とハイド氏※」の著者、スチーブンソンが愛したと言われているのがこのタリスカー。
多くの著名人にも愛されているタリスカー。こんな私も、タリスカーに魅了された者の一人です。

何がそんなに惹きつけるのかって?

飲んでみれば分かります。

※探偵小説のようにスリリング進んでいく物語。人間の善と悪の闘いを通じて、道徳的なテーマを探求した物語です。
不気味な世界観、人間の心理をついた名作です。読んだのは随分前ですが、作品の世界観の風景は今も頭の中に鮮明に残っています。
お店の本棚のどこかにあるのでお店に来た際は探してみてください。

旧ボトルのタリスカー10年

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