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演歌の魅力

石川さゆりの「津軽海峡・冬景色」
言わずと知れた名曲である。

北国の冬の厳しさと、悲しみの中にある女性の心情が重ねられ、なんとも「日本らしい」曲だと思う。偉大な曲であり私なんかが意見を述べるのも憚られるが…。

今度は森進一の名曲「襟裳岬」を聞いてみる。
こちらも北国にやってきた春と人の温もりを重ね合わせた詞であり、実に「日本らしい」と思った。

「日本らしい」というのはどういうことか。
それは厳しい自然の中に人間模様を映しているということだ。上記の2曲も、北の厳しい寒さやそれに耐えてようやく来た春の中に、そこで生きる人間の記憶や心情を映し出している。そして特に何か答えを出すでもなく、メッセージ性が強い訳でもなく、ただただ情景と心情を丁寧に描く。これこそ日本らしい演歌の世界な気がする。

また、ネガティブな感情や環境をもそのまま受け入れる感じ。厳しい自然には抗いようがない。それと同じで、生きる現実をそのまま見つめて受け入れる。そして待つ。

「襟裳の春は、何もない春です」

この「何もない」は決して嘆きではない。
マイナスな意味ではなくて、人の心の機微に灯る「あかり」が「ある」ことを表しているように思う。

日本の演歌って、そんな世界観ではないか。

なんて偉そうなことを言うが、あまり演歌は知らない。だから信憑性は薄いです。ご容赦下さい。
ただこの2曲は確かに日本人の心の在り方を写し出す鏡だと思う。自然と共に生き、多くを望ま
ず、あるがままを受け入れる。

ただただ雪解けを待つ北国に住むことで、人生を悟ることができるかもしれない。なんて。

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