鈴木正人

「大人」は24歳から。「子供」は23歳まで。――という仮説に基づいた小説を書いています…

鈴木正人

「大人」は24歳から。「子供」は23歳まで。――という仮説に基づいた小説を書いています。私の仮説は、「思春期の終わりについて」という短い文章にまとめてあります。ご連絡は、ページ最下部の「クリエイターへのお問い合わせ」まで。

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サンセットサンライズ (もくじ)

「大人」 は二十四歳から。 「子供」 は二十三歳まで。 ――という仮説に基づいた小説です。私の仮説は別稿 「思春期の終わりついて」 にあります。 長編になります。 作品を一言で言い表せば、ズバリ、「現代の(時代設定は90年代ですが)」「リアルな」 浦島太郎物語です。ただし、昔話の浦島太郎を現代風にアレンジした作品ではなく、あくまでエッセンスを取り入れたお話です。 テーマは、青春と青春の終わり、若さと老い、あるいは、「老いと死」 と不老不死です。 長編ですが、歳時記のような

    • 長々と前フリが続きましたが、次話で二章の核心部分に至ります 次話では、大人になる「瞬間」を描いています。と言っても、かなり特殊な心理状況ですので、補足が必要になりそうです。それについては、またあとで

      • 〆野友介さんに、作品を紹介していただきました! https://note.com/simenote_7402/ 〆野友介さんは、小論文や作文の指導をしていらっしゃる方です 私もたびたび勉強させてもらっています

        • 第十八話 弁天橋に舞う花は

          もくじ  松浦の腕が振り上げられた。歪んだ水の塊が欄干を直撃し、重たげな水音とともに大量の水しぶきが砕け散る。今度の攻撃は、さっきまでとは格段に威力が違う。コンクリートの橋面は、一発で水浸しになった。  仲間たちが逃げたところへ、二発目が飛んでくる。不意を突かれ、とっさに四散するも、短い悲鳴が上がった。やられた、と濡れた服を見下ろす者が数名。松浦は、橋の上の仲間たちを一人残らずずぶ濡れにしてやるつもりだ。水を浴びた仲間たちが嘆く間もなく、遮二無二腕を動かし始めた。凄まじいペ

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        サンセットサンライズ (もくじ)

        • 長々と前フリが続きましたが、次話で二章の核心部分に至ります 次話では、大人になる「瞬間」を描いています。と言っても、かなり特殊な心理状況ですので、補足が必要になりそうです。それについては、またあとで

        • 〆野友介さんに、作品を紹介していただきました! https://note.com/simenote_7402/ 〆野友介さんは、小論文や作文の指導をしていらっしゃる方です 私もたびたび勉強させてもらっています

        • 第十八話 弁天橋に舞う花は

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        記事

          第十七話 人身御供

          もくじ  真一たちが説明に納得すると、川崎がTシャツを脱ぎ捨てた。広がる歓声の中、岩見沢がTシャツをキャッチし、ベンチのそばにいた益田に送る。ズボンも脱いで、トランクス一丁になった川崎は、自ら頬を張って気合を入れ、勇ましい足取りで橋へと向かい出した。仲間たちも、ぞろぞろと付き従う。 「行きます!」  橋の真ん中で、ビッと手を挙げる川崎。堂々と胸を張って、怖じ気ついた様子はない。大月さんの証言通り、飛び込みは得意なようだ。広場ではいちばん往生際が悪かったが、馬に跨っている間に

          第十七話 人身御供

          第十六話 春の女神

          もくじ  島にも人影はなかった。空気はひっそりと静まり返り、昼間の賑わいが嘘だったかのようだ。公園が閑散とする時間帯とはいえ、まったく人がいないのはやや意外だ。  島の北側で、夕陽を浴びた千年桜が咲き誇っている。蓬莱公園のシンボルとも言える一本桜。豊かに花をつけ、樹形も美しい。正面から見上げた様は、花のかまくらのようだ。  薄紅色の室の中に入ると、どっしりとした太い幹が目についた。ゴツゴツして落ち着いた色合いの樹皮からは、古木のみが持つ風格が感じられる。人の背丈くらいの所で

          第十六話 春の女神

          第十五話 シジュウカラ

          もくじ 「ビッグになるんだろ」  唐突に真一は切り出す。いつかの飲み会で、こいつが言っていたことだ。  もっとも、そのとき、真一はほかの仲間との会話に夢中になっていたから、松浦が何をどうビッグになりたいのかは知らない。ただ、隣のテーブルからしきりに、ビッグになる、ビッグになる、という声が聞こえていたことだけは覚えている。 「はあ?」  要領を得ない声が降ってきたが、構わず続ける。 「ふと思ったんだよ。この状況に、お前の未来が暗示されてるんじゃないかってな。浮かれて、神輿に担

          第十五話 シジュウカラ

          第十四話 梅にうぐいす、桜に……

          もくじ  夕方になった今、遊歩道の人影はほとんど見当たらない。広場でシートを広げているグループも、残すところあと数組だけになった。夜桜も有名な蓬莱公園だが、桜並木がライトアップされるのは龍神池の周りだけ。日が暮れたあとの広場は、真っ暗になってしまうので、残っていても意味がない。  宇和島の提案で、騎馬戦の馬を作ることになった。龍神池までの道のりをただ歩いても面白くないから、飛び込みの余興として、罪人たちを馬に乗っけて池まで練り歩こう、という話になったのだ。  馬は二基作った

          第十四話 梅にうぐいす、桜に……

          第十三話 罰ゲーム

          もくじ 「こうなったら、罰ゲームでもやってもらうか」  宇和島が、意味深に口の端を吊り上げた。 「例えば、池に飛び込んでもらうとか」  きょとんと顔を見合わせる仲間たち。池? 飛び込み?  だが、龍神池のことだと気づくのに、さして時間はかからなかった。池には赤い橋が架かっている。そこから飛び込めということだ。  場がにわかに色めき立った。イエーイ、と誰かが叫んだのをきっかけに、異議なーし、賛成ー、と声が続く。仲間たちが続々と立ち上がる。ちょうど会話のネタも尽きて、退屈してい

          第十三話 罰ゲーム

          第十二話 桜革命

          もくじ 「革命ーっ!」  耳をつんざく絶叫とともに、四枚のカードがシートに叩きつけられた。  真一たちの上空を、ふわりと柔らかい風が吹き抜け、絵柄の揃ったカードの上に、薄紅色の花びらを点々と散らしていく。  捨てられたのはジャック四枚。  引っ込められた手を目で追うと、益田の会心の笑顔と出くわした。してやったり、と顔に書いてある。右隣では、「大富豪」 西脇がムンクの叫びのごとく頭を抱え、左隣では、頭上に紙コップを放り上げた岩見沢が、バンザイのポーズをとっている。  ぽとり、

          第十二話 桜革命

          第十一話 愚者 六

          もくじ 「お待たせー」  そのとき、遊歩道のほうから、女の子の声が舞い込んできた。仲間たちが一斉に声のしたほうを振り返る。桜並木の合間に、膨れ上がったレジ袋を持って歩く男女の姿。買い出しに行っていた宇和島と高萩さんが戻ってきたのだ。片手が空いた高萩さんが、ブルーシートに手を振っている。  わーっと明るい声が広がった。昼食からだいぶ経って、みんな小腹が空き始めた頃だった。  第三広場は、一見辺鄙な場所にあるようで、その実、コンビニからあまり遠くない。西の山に穿たれたトンネルを

          第十一話 愚者 六

          第十話 愚者 五

          もくじ 「みんなパス? じゃあ、流すよ」  岡崎が溜まったカードを脇に寄せた。すぐに上体を起こして、手札に目を落とす。 「4二枚」  捨てられたのは、スペードとクローバーの4。 「二枚で来たか……。じゃ、ほらよ」  真一は、ハートとクローバーの6を捨てる。 「じゃ、7二枚」 「10二枚」 「おっ、続くね」  マサオは、自分をのけ者にした三人を、暗い目で見つめている。一時の戸惑いが去ってみれば、またふつふつと怒りがこみ上げてきた。  いったい、こいつらは何が気に入らないのか…

          第十話 愚者 五

          第九話 愚者 四

          もくじ  再びブルーシートの片隅――  わずか十数メートルしか離れていないのに、真一たちの所と様子はまったく違う。真一たちは和やかムード。一方、マサオたちの間には、一触即発の険悪な空気が漂う。こちらが春風駘蕩のお花見日和なら、あちらは嵐の直前の雲行きだ。暗雲を連れて来たのはもちろん――。  マサオが動いた。  さっきより型崩れした紙コップを手に、よれよれと松浦たちのほうへ歩いていく。 「来たぞ」  いち早く接近に気づいた五所川原が、ほかの二人に小声で知らせた。 「暴れたらど

          第九話 愚者 四

          第八話 愚者 三

          もくじ  一方、ブルーシートの辺境地帯――  マサオにどやしつけられても、川崎の態度に変化はない。ぴんと背筋を伸ばしてあぐらをかき、無表情のまま沈黙を貫いている。  矯めつ眇めつ川崎の顔を覗き込んでいたマサオだったが、不意に首に抱きついた。その状態からブランコのように、自分の体を揺らし始める。  松浦と五所川原は、吹き出しそうになった。川崎は、子供におもちゃにされた大仏も同然だった。無反応であることを逆手に取られ、いいように遊ばれている。  だが、二人は、一方で警戒も怠って

          第八話 愚者 三

          第七話 愚者 二

          もくじ 「まったく、勘弁してもらいてえよ……」  肩をすくめて、二人の前に腰を下ろした。五所川原が、災難だったな、と笑いかけ、松浦は、まあお茶でも飲め、と紙コップにペットボトルのお茶を注いでやった。  三人は今日、事情があって酒が飲めない。松浦は夕方からバイトが入っており、川崎と五所川原は、仲間たちの送迎を頼まれている。桜祭りの期間中は、駐車場の出入り口で飲酒検問が行われているから、二人が飲んでしまったら、全員徒歩で帰らなくてはならなくなってしまう。マサオもそれは同じなのだ

          第七話 愚者 二

          第六話 愚者 一

          もくじ  第二広場、スポーツの森――テニスコートや野球場がある――と順々に通り過ぎて、人の流れが減った頃、ようやく第三広場が見えてきた。花の下でシートを広げているグループは、第一広場ほど多くなく、ぽつぽつといった感じ。  真一が到着しても、派手な歓迎はなかった。盛り上がりのピークはとうに過ぎてしまったらしく、間怠い空気が場に漂い、三つくらいに分かれたグループが、トランプをしたり、将棋を打ったり、と思い思いのことをしていた。  目が合った人間に挨拶していたら、奥のほうから、こ

          第六話 愚者 一