自然治癒力とは~免疫編の適応免疫編
私は最近ある食品を1年近く摂りつづけることで自然治癒力が向上し、その結果10年以上患っていた痔ろうが寛解しました。
「なんで?」
と言う理由を探るため、
「自然治癒力」を自分なりにまとめてみました。
自然治癒力>免疫編>適応免疫をまとめてみたのがこの記事です。
この適応免疫は、保有している本や図書館の本、ネット上のサイトなど、少なくとも5~6のソースで調べましたが、どれも説明が食い違うこともあり、どの説明が正しいのか?とすごく悩みましたが、一応こんな感じだろうと理解した内容になります。
もっと素人に分かりやすいものは無いのか?
って思いましたわ。
さて本題の適応免疫です。
適応免疫
適応免疫とはナイーブT細胞とB細胞が、それぞれエフェクターT細胞と形質細胞に変わることによって、外敵を殺す能力が高まり、さらに自然免疫も活性化させ外敵を殺す能力が高まることです。
ナイーブT細胞
ナイーブT細胞とは、一度も抗原に遭遇したことのないT細胞で、CD4+T細胞とCD8+T細胞があります。
CDというのは細胞表面に出ている分子を意味します。
+の意味は細胞表面にCD分子があるってことでプラスではなく、ポジティブと読みます。
エフェクターT細胞
エフェクターT細胞とは、一度抗原に遭遇して活性化されたT細胞です。
CD4+T細胞が活性化されるとエフェクターCD4+T細胞、 CD8+T細胞が活性化されるとエフェクターCD8+T細胞、通称、細胞障害性T細胞(CTL)となります。昔はキラーT細胞と言われました。
エフェクターCD4+T細胞
エフェクターCD4+T細胞は、Th1、Th2、Th17、Tfh、Tregなど各種存在し、サイトカインを放出しCTLや形質細胞を強化したり、自然免疫を強化します。
エフェクターCD8+T細胞
エフェクターCD8+T細胞は、通称、細胞障害性T細胞(CTL)で敵をバンバン殺しまくります。
B細胞
B細胞は形質細胞に変わり、抗体を産生して外敵に結合することで無毒化します。
各細胞の存在割合
顕微解剖学が専門の山科正平さんの「新 細胞を読む」によると、
1)好中球は白血球の約65%
2)好酸球は白血球の約2~3%
3)好塩基球は白血球の約0.5%
医療系HPなどより
4)単球は白血球の約10%
5)樹状細胞は白血球の約5%以下
6)マクロファージは白血球の約1%以下
からリンパ球系は約16.5~15.5%となりました。
山科正平さんによると顕微鏡で見ただけでは、B細胞とT細胞の見分けはつかないそうで、両者で白血球の約3割を占めると記載されてました。
上記計算値とは15%程度異なりますが、参考値として記載しました。
結局、リンパ球系は白血球の約2割といったところでしょうか?
リンパ球内の比率はヤクルトのHPを参考にしました。
NK細胞は10~30%
B細胞は20~40%
T細胞は60~80%
で、その他は不明でした。
なにかのHPで制御性T細胞Tregは白血球の約5%と言われてましたが、これは表には記載していません。
実際のところは?
もちろん免疫細胞の絶対数は個々人で違うでしょうし、B細胞とT細胞の比率も違うことでしょう。
もちろん、細胞1個の能力も。
私の細胞は、間違いなくヘタレ。
エフェクター細胞になるには
エフェクター細胞になるには、まず抗原提示細胞(APC)から抗原提示をしてもらわないといけません。
その後に、サイトカインを受け取ってエフェクター細胞になれます。
抗原提示とは
抗原提示細胞(APC)の抗原を載せたMHCと、T細胞のTCRとがMHC⇔TCRで合体すると、APCからT細胞に抗原情報が渡されます。これを抗原提示と言います。(CD80などの補助シグナルも要ります)
MHCとは
MHCは細胞表面に出ている分子で、個人毎で決まっており、どの細胞も同じものを持っている。
細胞の表面にかなりの数が出ているようですが、それに言及しているものは見当たりませんでした。
MHC1とMHC2があり、 MHC1は全ての細胞の表面に発現している分子で、通常はそれに自己のペプチドを載せており、CTLの目印としているようです。
MHC2はAPCにしか発現していません。
MHCを検出するのがT細胞のTCRですが、これはT細胞毎に異なります。これも相当数出ているようです。
結局、MHC1とMHC2 ともT細胞のTCRと結合して情報伝達を行います。
1)MHC1による場合
内因性抗原を提示する場合にMHC1が使用される。
内因性抗原とは、自分の細胞のタンパク質や、侵入してきた細菌やウイルスによって産生されたタンパク質がプロテアソームでペプチドに分解されたものを言うそうです。
それがMHC1に載せられる。
MHC1に自己抗原を載せていれば、CTLから攻撃を受けない。
細菌やウイルスに侵入された細胞は、自分を殺せと敵のペプチドをMHC1に載せて、CTLに攻撃させる。
2) MHC2による場合
外因性抗原を提示する場合にMHC2が使用される。
外因性抗原とは、細菌、毒物などを取り込んでリソソームで分解されたペプチドのことを言うそうです。
それがMHC2に載せられる。
APCが提示するのはこの外因性抗原なので、MHC2で提示することになります。
DCの抗原提示
DCは、外敵を丸飲みできず、断片を飲み込んで(飲作用)、その外因性抗原をMHC2で提示するとともに、MHC1でも提示できる。(クロスプレゼンテーションと言うそうです)
この芸当は、DCしかできず、MΦにはできない。
図のように、CD8+T細胞は、MHC1に提示された外因性抗原にしか反応しないので、DCはMHC1でCD8+T細胞に抗原提示を行う。
そしてDCは、 CD4+T細胞にはMHC2で抗原提示をする。
それらの際にCD80またはCD86分子とT細胞のCD28分子とが結合する必要がある。
MHCとCD80/86の両方が相手と結合して抗原提示が完了する。
その際にCD8+T細胞はIL-2を受け取ると、CTLになり、クローン増殖する。
そして CD4+T細胞はIL-12を受け取るとTh1となる。
CTLやTh1は後で出てきます。
MΦの場合
MΦは、外因性抗原をMHC2で提示する。
CD4+T細胞は、MHC2に提示された外因性抗原にしか対応しないので、MΦもCD4+T細胞には抗原提示できるが、MHC1に外因性抗原を載せられないのでCD8+T細胞に抗原提示できない。
私の思うトコロ
MΦが細菌やウイルスに侵入された場合、MHC1にそのペプチドを提示できるが、おそらく半殺しの状態になっているでしょうから、リンパ節まで遊走してCD8+T細胞に会うというのは、事実上できないものと思われます。
それゆえMΦはMHC1を通じた抗原提示にはできないとされているのでしょう。
そこらを解説したものはありませんでした。
違うかな?
詳しい方は教えてください。
ナイーブCD8+T細胞がCTLになるまで
前述のDCの抗原提示で説明しましたが、もう少し詳しく説明します。
ナイーブCD8+T細胞がCTLになるには、
1)樹状細胞(DC)とナイーブCD8+T細胞が
MHC1⇔TCR及び補助シグナルCD80(86)⇔CD28とで合体し
2) DCとナイーブCD4+T細胞が
MHC2⇔TCR及び補助シグナルCD80(86)⇔CD28とで合体し、ナイーブCD4+T細胞がIL-12を受け取り、Th1細胞に変身し、IL-2を放出し、ナイーブCD8+T細胞が受け取ると
3)ナイーブCD8+T細胞はCTLに変身します。
さらにIL-2を受け取り、CTLはクローン増殖します。
CTLに変身するには、 CD8+T細胞が抗原提示を受けて、かつIL-2をキャッチしないとダメってことです。
Th1以外の細胞からIL-2を受けても全然OK。
CTLになると
CTLになると、次のように殺戮能力が高まります。
1)パーフォリン・グランザイム放出で標的細胞をアポトーシスさせる。
2)FAS/FAS-Lで標的細胞をアポトーシスさせる。
3)TNF-γ放出で標的細胞をアポトーシスさせる。
以上の3つの殺人兵器で標的細胞を皆殺しにしていきます。
詳細は省略します。
CTLのクローン増殖
岸本忠三/中嶋彰さんの「免疫が挑むがんと難病」によると、CTLは白血球100万個で1個~10個の存在レベルで、マクロファージやDCは1~5%存在レベルと比較すると、存在しないレベルと言えます。
免疫力が高い人はCTLが10個レベルなのかもしれません。
ちなみに自己を攻撃するT細胞もそのくらいのレベルで存在するそうです。
岸本忠三さんはIL-6の発見者で、免疫分野の世界的大御所の一人で、ノーベル賞をもらってもおかしくないと言われています。
CD8+T細胞の弱点
標的細胞を皆殺し、なぶり殺すCTLですが、CD8+T細胞からCTLになりにくいという弱点があります。
先ほどの岸本さんらの本によると、CD8+T細胞がIL-2を受け取ってCTLになりますが、それより IL-2を受け取りやすい細胞があり、それにIL-2を横取りされるとのこと。
その細胞とはCD4+T細胞で、IL-2を受け取り制御性T細胞Tregになります。
「ナースのためのカンタン免疫学」江本正志、江本善子によると、CD4+T細胞とCD8+T細胞の比率は2~3:1と記載がありました。
CD4+T細胞は、DCに結合する母数が多く、しかもIL-2を受け取りやすい。
さらに悪いことにTregはDCと仲が良く、CD8+T細胞がDCに結合するのを邪魔するそうです。
もろもろのせいでCD8+細胞がCTLに変身しにくいのでしょう。CTLに変身できないCD8+T細胞がうじゃうじゃいると推測されます。
結果、 CTLは白血球100万個に1~10個レベルになるのでしょう。
ナイーブCD4+T細胞がエフェクターCD4+T細胞になるまで
ナイーブCD4+T細胞がエフェクターCD4+T細胞になる
には、 DCやマクロファージと合体して、かつ下図のように分化に必要なILを受け取らないと分化しません。(図中は代表的なILを示す)
こうしてエフェクター機能を持つ様々な細胞になります。
表に、エフェクター細胞の主な特徴を記します。
リクルートはおびき寄せる(ちょっと言葉悪いか)、連れてくる、動員させると言う意味です。
エフェクターCD4+細胞
エフェクターCD4+細胞は、適応免疫細胞だけでなく、自然免疫の細胞や、他の体細胞にも作用して、病原体の防御、その後の組織の修復再生にも関与するようです。
簡単に説明します。
Th1
これはCTLを作るのに主に必要な細胞になります。
Th2
B細胞が形質細胞になるのに主に必要な細胞と言われてますが、最近は雲行きが怪しいようで、Tfhじゃないかと言われています。
Th17
消化管に存在する細胞で、消化管上皮細胞の合成や強化を担い、病原体の侵入を防ぐと言われています。
私の痔ろうの例で言えば、肛門腺の陰窩の上皮細胞が細菌に破壊されたようですが、その上皮細胞を修復再生することを主に手伝ったのがTh17と推測しています。
Tfh(濾胞性ヘルパーT細胞)
2次リンパ組織にある細胞で、B細胞を形質細胞に変えるのは実はこの細胞ではないかと言われています。
Treg(制御性T細胞)
CTLの暴走を抑制する働きがありますが、DCやがん細胞と仲良く、CTLが働かなくなる弱点があります。
最近のがん治療は、こいつをどうにかする方向で動いてるのが多いようです。
Th細胞の特徴の細かいところは表に記載していますので、ご覧になってください。
Thなどが産生するサイトカイン
免疫に関わる細胞は多くのサイトカインを産生し、放出して自分自身や他の細胞に影響を与えるようです。
主なThが産生する主なサイトカインを表にしました。
この表は再生・修復に関係する細胞やサイトカインを調べるために、しらみつぶし的に調べた結果、出来上がりました。
今まで調べた感じでは、サイトカインの放出や受取によって細胞自体の性質が遺伝子から変化し、細胞内で産生するタンパク質ができたり、またCDなどの表面分子が発現したり、引っ込んだりするようです。
受け取ったサイトカインにより臨機応変に変化するところが、免疫細胞の強みでしょう。
しかし、それゆえその仕組みは我々に理解しにくいのだろうと思います。
抗体とは?
さて、適応免疫の主役の一人である抗体はどうやって産生されるのでしょうか?
その前に、抗体の役割とはどんなものか?
復習してみたいと思います。
抗体とは抗原(細菌やウイルスや毒物など生体に悪い影響を与えるもの)に結合することにより
1)細胞に結合することを阻害する
2)食細胞に食わせやすくする(オプソニン化)
3)補体に結合しやすくさせ死滅する
などの効果を発揮します。
つまり抗原を無毒化するってことですね。
B細胞が活性化されて抗体産生するには?
B細胞が活性化して抗体を産生するには、
1)抗原をBCRでキャッチしたB細胞
2)同じ抗原によりAPCにエフェクターされたTh2またはTfh細胞
とが、 B細胞の抗原提示により合体すれば、B細胞は形質細胞になり抗体を産生できるようになります。
BCRとはB細胞表面の抗原をキャッチする分子です。
CD8+細胞がCTLに変身するには、APCの抗原提示を受けること必要でした。
B細胞が形質細胞になるには、自分が自らTh2に抗原提示する。
ってことが違います。
抗原提示を受ける方と自らする方の違い。
です。ここが分かりにくい点ですね。
私もそうでした。
B細胞のプロセス
さてそのプロセスを見てみましょう。
まず、B細胞が抗原をキャッチしないといけません。
B細胞は動脈血管→組織→リンパ管→リンパ節→リンパ管→静脈→動脈血管と巡回してます。
おそらく血管中に流れているB細胞が抗原に出会ったり、組織で抗原に出会ったりして、たまたま抗原を捕まえることができるBCRを持ったB細胞が、リンパ節に行くのでしょう。
BCRはランダムに作られるので、数千万か数億か知りませんが、そのなかのB細胞のうち、抗原にピッタリ合うBCRを持つB細胞が抗原をキャッチすることになります。
B細胞に抗体産生を生じさせるエフェクターT細胞が誕生
時を同じくして、DCかマクロファージが組織で、B細胞がキャッチした同じ抗原をキャッチし、リンパ節に移動します。
リンパ節には、B細胞や後述する形質細胞がいるリンパ濾胞があり、その周りにT細胞がいます。
そのT細胞がいる場所で、DCかマクロファージが、CD4+T細胞に抗原提示します。
その時にIL-4があるとTh2に、IL-21,IL-6があればTfhとなり、B細胞に抗体産生を生じさせるエフェクターT細胞になります。
いよいよB細胞が形質細胞へ
同じ抗原を持ったB細胞と、同じ抗原でエフェクターされたTh2または Tfhがリンパ節で出会い、B細胞がそのどちらかのT細胞に抗原提示し、更に必要なILを受け取るとB細胞は抗体を産生できる形質細胞になります。
この時にいわゆるクラススイッチが起こります。
IL-4を受け取るとIgG1にクラススイッチします。
またMHC2は消失します。
その後、形質細胞はリンパ濾胞に移動し、いくつかのプロセスを経て、形質細胞はクローン増殖し、同じ抗体を産生できるようになるとされています。
そのクローン増殖した形質細胞が、リンパ組織において、またはリンパ管から血管に入り、現場組織で抗体を発射するのではと思います。
実際、山科正平さん「細胞を読む」によれば結合組織で形質細胞が観察されるそうです。
もう1つの変身方法
グラム陰性桿菌の菌体成分であるリポポリサッカライド(LPS)や肺炎球菌の多糖類の抗原(T細胞非依存性抗原)をB細胞がキャッチするとB細胞のみで抗体産生ができるそうです。
まとめ
このようにCTLや形質細胞が働いて標的細胞をやっつけるわけですが、他のエフェクターTh細胞もサイトカインなど放出し、さらに自然免疫細胞も加勢して標的細胞を皆殺しします。
現場では自然免疫細胞と適応免疫細胞が合い乱れて戦ってることでしょう。
どの細胞がどのくらい貢献するかは分からないようです。
外敵の種類や個人の体質などにより違うことでしょう。
私の思うトコロ
細菌やウイルスがクローン増殖するので、それに対応して防御側でもクローン増殖するようになったのが、T細胞とB細胞と思います。
細菌やウイルスのクローン増殖をパクったのか!?
また彼らはその記憶を持った、メモリー細胞になって後世生き続けるのも、外敵の再度のクローン増殖に対応するためでしょう。
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